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2017-05-03

なんと兵庫県姫路市にクマ、くまもり本部が急行

4月から5月にかけて姫路市北西部を中心にクマの目撃が相次いでいましたが、5月3日朝の神戸新聞デジタルによると、ついに捕獲罠がかけられたということです。

どういう状況なのだろう。熊森本部は、急遽、姫路市の現場まで駆けつけました。

地元の方たちに、どこにクマが出たのかきくと、みなさん丁寧に教えてくださいました。

写真1:4月28日~5月1日にクマの目撃があった現場(赤枠内)

写真2:クマの目撃があった場所は、姫路市により立ち入り禁止となっていた

 

現場は、竹林や2,3mの常緑樹が生い茂る山のすそ野で、スーパーや宅地が隣接していました。近くには絶えず車が流れる国道もあります。

くまもりとしては、一番に避けたいのが人身事故であり、立ち入り禁止措置がとられていることにとりあえず、ほっとしました。

 

 

○地元の人達に聞き取りをしてみました。

・ここ3日間ぐらい、夜10時30分~11時くらいになったら、1mぐらいのクマらしきものが現れる。

・クマらしきものが現れるとき、竹林の中で竹を踏んで割れる音が聞こえる。

・この辺は子供もたくさんいるので、不安。

・現場には、大きなべたっとした糞が落ちている。

・このあたりの山では、シカはよく見かける。サルも時折出てくる。クマが出てくることは滅多にない。でも昨年秋から何度かこの近くでもクマの目撃があって、今はこの山にもクマが住んでいるのだろうと思っている。

・住宅地やスーパーなど、人間の生活域が近い。クマが今後も出没するのは危険だと判断し、クマの捕獲罠設置を行政に申請した。

・現場に落ちていた大きな糞は、兵庫県森林動物研究センターが持って行って調べた。その結果クマの糞だったそうだ。

 

 

付近にクマの痕跡がないか見てみると、クマの糞らしきものが落ちていました。中には昆虫の残骸らしきものが入っていました。

クマの糞らしきもの。乾燥しているが、発見当初はもっと大きかったようである。

 

以下は、ここに設置されたクマ捕獲罠の写真で、クマ誘引物は米糠とのことです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(この写真は、神戸新聞デジタルより)

 

この後、ひとりでウオーキングしている方に、「クマが出ているので、鈴など音の出るものを携帯してください」と伝えたり、外に生ごみを置いておられる方に、「生ごみはクマを引き寄せます。生ごみは屋内で管理してください」など、伝えて歩き回りました。みなさんに、「教えてくれてありがとう」と、喜んでもらえました。

 

(熊森から)

捕獲されたクマはどうなるのでしょうか。奥山に放獣すべきと熊森は思います。連休が明けたら県に電話してみます。

 

それにしても、「県内に生息するツキノワグマは、絶滅の恐れから長く保護されてきたが、個体数の増加を受け、県は昨年11月、20年ぶりに狩猟を解禁した。兵庫県森林動物研究センター職員は、(クマは)食べ物に困っているとは考えにくく、頭数の増加で出没範囲が広がったのだろう。」といっていると、県側のコメントを一方的に掲載している神戸新聞の報道姿勢には、苦笑してしまいます。

 

確かに、兵庫県はクマ捕殺を控えてきましたが、戦後人間が破壊した広大な生息地は一切復元してやっていません。保護の片手落ちです。狩猟を解禁したことを評価したり、頭数増加などと数からしかクマという生き物を見なかったり、食べ物に困っていないと一方的に決めつけたりする県の主張を、何の疑問も持たず県民に垂れ流す報道姿勢を、とても恐ろしく感じました。県の職員よりもずっと長い年月、兵庫県のクマを調べてきた熊森協会に、どうしてコメントを求めて来ないのか、私たちにはその報道姿勢が理解できません。

住民たちが10日間ほど 見守っているうちに、見かけなくなった若グマ

この時期、親離れしたばかりの子グマが、各地で人里に現れては騒がれています。

 

4月中旬、クマ生息地の住民から、道路横で衰弱した子グマが1頭寝ている。まるでぬいぐるみのようなクマだという情報が本部に入りました。

3日間ほど見守っているが、母熊が現れる気配はないということで、地元の方々もこの子グマを思いやって心配そうでした。

うーん。あの愛情深い母グマが、今年生まれの子グマを見捨てるはずがありません。

母グマが病死した?母グマがイノシシなどの罠にかかってしまった?母グマが密猟された?

子グマだけでは生き残れないので、保護飼育することになるのだろうか?

くまもりとしてはどう対処すべきか悩みながら、とりあえず現地に向かいました。

 

 

地元の人に教えてもらったところに行くと、小さなクマが1頭、フキノトウを無心に食べていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

クマが食べたとみられるフキノトウのあと

 

 

あたりはフンでいっぱいです。(専門家にこのフンを送った所、後日、根っこなど地下のものが入っているので、アナグマのフンではないかと言われました。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

繊維質でいっぱいのフン

 

 

このクマ、確かに小さいけれど、今年生まれのクマではありません。すでに親離れしたクマなのでしょうか。

地元の人達に、「助けてやって」と、頼まれましたが、自力で生きていけそうです。

ただ、こんな人目のつくところにいたら、誰かが行政に通報して捕獲されてしまう恐れがあります。

 

心を鬼にして、追い払うことにしました。

山に向かって追い立てていくと、クマはぐんぐん逃げ始めました。

 

 

 

 

 

 

 

土手をかけあがって逃げるクマ

 

 

さらに追い詰めていくと、大きな木の上にするするとのぼって、不安そうに下にいる人間の動向を見ています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高い木の上から不安そうに下を見下ろしているクマ

 

地元の人達には、とにかく見かけたら、山の方に追い上げてくださいと伝えて帰りました。

 

 

うーん、人間を疑わず人間に親しみを持っているクマ…、こんな時、祖先はどう対処していたのだろうか。

このままだと金太郎の世界になってしまいます。

太郎を育てられた故東山省三先生は、金太郎の話は、昔どこの集落でもあった実話だとわかったと言われていましたが・・・

今の時代、行政がそんなことを許すはずがありません。

 

 

後日、地元から再び電話がありました。

このクマ、人間が畑仕事をしている横で、のんびり昼寝して、逃げてくれないというのです。

困りました。とにかく追い払ってもらうしかありません。

そうこうしているうち、雨の日がやってきました。

なぜか、この日を境に、このクマはぷっつり姿を見せなくなったそうです。

 

 

フキノトウはもう大きくなってしまい、土手の草は農家にツクシごと刈り取られてしまいました。

山を見ると、柔らかい新芽がいっぱい芽吹いてきていました。

今頃はきっと、おいしい若葉をついばんで山の中を移動していることでしょう。

もう人間の所になど来るんじゃないぞ。生き延びろよ。

思わず抱きしめたくなるほどかわいかった若グマの写真に、心の中で叫びました。

 

 

教訓

①地元の人達の心に、生き物に共感するやさしい文化が残っているから、これまでクマは絶滅を免れてきた。

②クマは、季節ごとに刻々と変化する食べ物を追って、移動していく。

 

 

 

 

北海道庁が、ヒグマ管理計画(素案)に対するパブコメ結果を発表

1 意見等の募集期間

平成28年12月12日(月)~平成29年1月13日(金)

 

2 意見募集結果

北海道ヒグマ管理計画(素案)についての意見募集結果

 

応募者4団体・23人 102件だったそうです。

 

北海道庁が受け入れた変更はたった3件(以下)

 

1.ヒグマによる軋轢→人とヒグマとの軋轢(軋轢をヒグマだけのせいにするのはおかしいの意見に対して修文)

2.エゾシカの捕獲個体残滓→エゾシカの捕獲個体の不要部位(生き物の遺体をゴミ扱いする記述はおかしいに対して修文)

3.ヒグマ出没時の主要な通報先となる警察の役割を明記せよ→項目追加

 

問い合わせ先

北海道環境生活部環境局生物多様性保全課(動物管理グループ)

〒060-8588 札幌市中央区北3条西6丁目 道庁12階

電話番号 011-231-4111(内線24-394)

ファクシミリ 011-232-6790

電子メール kansei.shizen1@pref.hokkaido.lg.jp

※迷惑メール対策のため、「@」を全角にしています。

メールを送信する際は半角に置き換えてください。

 

(熊森から)

学識経験者や行政担当者は、その職務上、野生動物を命あるものとしてではなく、研究物体や害あるものとみなす傾向に陥りやすいため、彼らに任せておくと野生動物との共生共存がむずかしくなります。

 

今回採用されたのはわずか3件のみでしたが、生物としての正常な感性を失っていない一般国民が、学識経験者や行政担当者が間違った方向に進まないよう、絶えずかれらに声を届けて連携していく必要があります。

 

毎日の生活に追われている国民には、このような取り組みを行う余裕がないため、年金生活者の皆さんには特にがんばって声を上げてもらいたいです。

 

以前ドイツに行ったとき、教員などの生活が安定した公務員が、市民社会のリーダーとなって様々な分野に真摯な声を上げているのを見て、日本との違いに衝撃を受けました。本来、民主主義国家で市民社会のリーダーとなるべきこのような立場の人たちが、日本では残念ながら、残業に次ぐ残業で過労死寸前にまで陥っています。

 

非正規雇用の若い人たちもまた、その不安定さから、他者のことまで考える余裕がありません。

 

このように厳しい社会状況ではありますが、一人一人の国民が他者のことや社会に関心を持ち、自分の頭で考えて意見を言う流れを、熊森は作っていきたいと思います。このことが、人類が今後も地球上で生き残れる生き方を選択していけるかどうかを決めます。

 

 

山梨リニア工事でシカやイノシシが人里に移動の異変~第4回ストップ・リニア!訴訟傍聴報告

4月28日ストップ・リニア!訴訟第4回口頭弁論を傍聴してきました。137名の方が傍聴券を求めて並び今回も抽選となりました。

 

第4回目の口頭弁論では、リニア実験線がある山梨県の住民より、実際に起きている被害とこれからの延伸工事によって引き起こされるであろう被害についての陳述がありました。

 

山梨県笛吹市の現状については、野澤今朝幸市議はじめ3名の方が陳述され、トンネル掘削による水枯れの問題が述べられました。飲み水に使っていた井戸水や水田に用水していた谷川が枯れてしまったことに加えて、「地表の水が失われることによって、水飲み場やヌタ場を失ったイノシシやシカなどの大型獣が、周辺の人里まで降りてくることが、以前より頻発」するようになったということです。

 

リニア建設工事によって、動植物の生息地であった森の自然環境が破壊されていっているのです。このままリニア建設が進めば、リニア沿線すべての地域で同じような被害が発生することになります。生きられなくなって山から出てきた野生動物たちを待っているのは、行政による殺処分です。

JR東海は、私たちの命をはぐくんできた豊かな水源の森や多様な生物たちが、リニア工事によって危機に瀕していっていることが見えないのでしょうか。

 

この訴訟の中で、私たち原告側は、被告側に対し、「どこにどういう施設(車両基地など)ができるのか明らかにしてほしい」と求め続けています。今回は、裁判長が被告側にその計画を提示するよう求めました。被告側は次回以降の口頭弁論で、(国土交通省が)そもそも何を認可したのか、どういう基準でどういう具体的事象に沿って認可を下したのか、を示さなければならなくなりました。

 

今回の口頭弁論には、熊森会員さんも数名駆けつけてくださり、遠く山口県からご参加くださった方もいらっしゃいました。リニア沿線住民以外の方も、是非リニア問題に関心を持っていただき、日本の豊かな水源の森を残すために、取り返しのつかない国土大破壊、リニア工事即刻中止せよ!の声をみんなであげていきましょう。

東京地裁前の集会にて 4月28日

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