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2017-08

(農林水産省) 鳥獣捕獲「尾」で証明…ハンターによる補助金不正が相次ぎ、ルール統一へ

以下、読売新聞/ 2017年8月31日記事コピー

 

有害鳥獣の捕獲頭数を水増しして報告し、補助金をだまし取る不正が各地で相次いでいることを受け、農林水産省は、各自治体がそれぞれ定めている補助金申請時のルールを統一する方針を固めた。

捕獲個体の証拠写真を撮影する際、体の向きを統一し、提出する部位は「尾」に限定することで、同じ1頭を複数頭に見せかける手口などを防ぐ。来年4月から適用する。

鳥獣による農作物被害は年間200億円近くに達し、同省は2012年度から、シカやイノシシなど1頭あたり8000円の捕獲補助金を自治体を通じて支給している。補助金申請時には、証拠写真や鳥獣から切り取った牙や耳などを提出する必要があるが、細かなルールは自治体の判断に任されている。

兵庫県や鹿児島県で昨年度、同じイノシシを異なる方向から撮影して複数頭に見せかけたり、補助金が出ない冬季に捕獲したシカの耳を冷凍保存して、後に提出したりするケースが発覚していた。

 

(熊森から)

お金が絡んでくるとどうしても、不正をたくらんでもうけようとする人が出て来ます。

以前、ある県の猟友会長さんが、補助金制度は猟友会内に犯罪者を誕生させるものだとして、有害駆除費をゼロにしてほしいと言われていました。

それにしても、各地でハンターの不正が相次ぐというのは、困ったものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エゾナキウサギの写真集

エゾナキウサギの写真集を見ました。

2010年7月にまだ残雪が残る大雪山にヒグマ調査に行った時のことを思い出しました。

あちこちに穴があいている岩場がありました。

氷河期の生き残りであるエゾナキウサギの巣穴だということでした。

巣穴に手をかざすと、ひんやりとした風が巣穴から出ていました。

エゾナキウサギはこの冷涼な環境がなければ生き残れないということで、何ともはかなくデリケートな生き物であることよと思いました。

写真を撮りたいと思いましたが、警戒をして登山者の前になど出てこないので不可能だと思いました。

 

ところが、写真集を見て、このエゾナキウサギの写真を撮っている人がいることがわかりました。

どの写真のエゾナキウサギも全ての生態が愛らしく、見終わってすぐに、鳴き声と動きを知りたいという衝動に駆られ、ネットに走りました。

解説を読むと、まだ天然記念物になっていないのだそうです。

なぜこんな貴重な生き物がまだ天然記念物になっていないのかと憤りを感じ、文化庁にすぐに電話をしました。

 

<文化庁希少種保全推進室担当者の答え>

 

天然記念物は、文化財保護法に基づき、動物、植物及び地質鉱物で我が国にとって学術上価値の高いもののうち重要なものを指定して、その保存と活用を図る制度です。

 

天然記念物の指定については、通常は事前に地元の教育委員会から指定に向けた相談があり、その後、調査結果などに基づく学術的価値の評価や生息・生育状況、利害関係者の同意など指定の検討に必要な情報を含む意見具申書を提出していただき、その意見具申書に基づいて、文化審議会への諮問などによる、指定に係る検討が行われます。ナキウサギについては、これまでそうした動きには至っていません。

 

なお、北海道中央部では大雪山が天然保護区域として昭和52年に特別天然記念物に指定されており、その指定範囲内では、ナキウサギを含む動物や植物、地質鉱物が特別天然記念物として保護されています。指定範囲に係る現状変更等の行為は規制されていますので、当該指定地において、ナキウサギが絶滅する程にその生息環境が人為的に大きく物理的改変を受ける可能性は極めて低いと考えられます。 

 

(熊森から)

エゾナキウサギもヒグマも北海道の先住民です。私たち人間は、彼らの生息地をこれ以上壊さないように注意し、畏敬の念を持って共存しなければなりません。

 

 

 

兵庫のくまもり植樹地 クマがクマ止め林の柿の青い実を、早や食べ尽くす

8月18日、兵庫県のあるくまもり植樹地を見回りました。

ここは、15年前に柿の木を植樹した場所です。

3年前にも、クマが来て枝をボキボキに折って実を食べました。

その後3年間は実が付きませんでした。

今年、やっと再び実が付いたと思ったら・・・

派手にやってくれました

なぜか3つだけ青い実を残してあとは食べ尽くしていた

 

 

枝の折り過ぎです

 

まだ実が青いのに、もうほとんど食べ尽くしてしまっていました。

地面には、折られた柿の木の枝の残骸が積み重なっていました。

これでは、以後3年間は、また実がつかないと思います。

いかに兵庫のクマは夏の食料がないかです。

枝を折らずに、実だけそっと食べてくれたらなあと思わず願ってしまいますが、習性ですから仕方がありませんね。

 

4年前に植樹した柿の木は・・・

まだ実がついていない

早く大きく育ってほしいですね。

 

ヤマザクラ、ウワミズザクラ、ミズキ、昆虫・・・なぜか、この山にはクマの夏の餌がほとんど見当たりません。

現在、兵庫のクマは駆除対象です。

なんとか踏ん張って、山にとどまっていてほしいです。

 

今年も11月15日からは、兵庫県によって山中でのクマ狩猟が奨励されます。

無謀です。何とか止めたいです。

県庁に問い合わせましたが、今年の狩猟の詳細はまだ決まっていないそうです。

 

 

岩手県盛岡市で初のクマ追い払い中に人身事故 クマ射殺 

8月24日、盛岡市の市街地に近い河川敷で、クマの追い払いに参加していた62歳の猟友会員が、前頭部や左手首をクマに引っかかれるという事件が発生しました。

 

どのような状況だったのか、熊森本部は盛岡市の担当者にすぐ電話で聞き取りました。

 

※クリックすると、地図が大きくなります

 

◎以下、盛岡市農政課担当者のお話(地図参照)

・8月24日の朝6時と8時半に、クマの目撃情報が入った。現場は、盛岡ICの近くで、盛岡市街地にも近い。

クマは奥羽山脈のほうから雫石川を伝って現場に来たと思われる。

 

・雫石川の河川敷で、猟友会10人と警察4名の総勢14名で爆竹を鳴らして追い払いを行った。

 

・猟友会は2人一組となってチームで巡回していた。

 

正午頃に、堤防から下りた河川敷の藪の近くで猟友会の男性が爆竹を鳴らしていたところ、3~4m離れた繁みから突然クマがでてきて、2回の攻撃を受けた。2回目の攻撃を受けたときに、自分の身を守るために持っていた銃でクマを射殺した。

 

・射殺したクマは、体重108㎏、年齢は10~12歳のかなり大きなオスグマだった。

 

・盛岡市で、こうした追い払いを行ったのは初めて。

 

(熊森から)

今回けがをされた方に、お見舞い申し上げます。

熊森本部は、8月21日から24日まで東北地方各県のクマの生息地の調査に行っていました。24日はちょうど岩手県庁で県の担当者と、岩手県のクマ保護体制について話し合っていたところでした。

東北では、山から出てきたクマは当然のごとく駆除の対象とされます。そんな中、今回は残念な結果に終わってしまいましたが、盛岡市が初めて爆竹でクマの追い払いを行ってくださったことは、一歩前進でした。

 

今回のような場合、人は河川敷に下りずに、堤防の上から藪に向かって爆竹をならせば、男性もけがをすることはなく、クマも命を奪われずに済んだのではないでしょうか。

 

ぜひ、次回は追い払いに成功していただき、人もクマも無事に終わってほしいです。

クマは市街地に出たかったわけではなく、河川敷の茂みの中を歩いていたら偶然、市街地に出てしまったのだと思います。

河川敷の刈り払いも、なんとかお願いしたいです。

北海道下川町 なぜ草原の向こうにいるヒグマまで撃つのか ヒグマ捕殺許可権限はどこに

(以下、産経新聞記事より一部抜粋)

 北海道下川町役場森林総合産業推進課によると、下川中のグラウンド付近で8月9日午前7時50分ごろ、突然変異で色素が欠乏した『アルビノ』の個体とみられる全身が白いヒグマが目撃された。

様子を見た学校関係者が写真を撮影し、ボランティアの男性に声をかけてそばに近寄ったところ、ヒグマは学校南東部の下川スキー場の方へ逃げた。

 

下川中学校関係者撮影の白いヒグマ

 

学校関係者は「猟友会の人たちと現場を後で見たところ、木の根にアリの巣を掘った穴があり、ヒグマがアリを食べに学校付近の林道に入ってきていたのでは」と推測している。

9日午後5時ごろ、ヒグマはスキー場付近の牧場の草地で発見された。猟友会が2回発砲したが弾は当たらず、ヒグマは茂みに逃げた。14日になってもこのヒグマの発見には至っていない。この白いヒグマは約4年前、下川中学校の東側の西興部(にしおこっぺ)村で子熊の状態で最初に目撃されている。

今年4月になって、下川スキー場付近で成獣となった状態で目撃され、同町が警戒していた。(WEB編集チーム)

 

(熊森から)

ライフルの音がパンパンと鳴った時、ニュース映像ではこのヒグマはかなり離れた遠い草地にいました。

てっきり追い払っていると思い、下川町役場に問い合わせたところ、駆除しようと思って発砲していたとのこと。

アルビノで目立ってしまうこのクマが、狩猟も有害駆除もされずに西興部でここまで成長してきたのに、下川町はなぜ撃ち殺すのか。

「今、クマがアリを食べに来ているので、しばらく通行止めにします」などと人間側に注意喚起して、非捕殺対応を取れないものか。

または、ドラム缶檻で捕獲し、山に放獣してやれないのか。

北海道では、国有林も民有林もクマの放獣はお断りというので、放す場所がないそうです。

私たち熊森は自然保護団体ですが、自然保護の基本は、他生物の尊重です。これができなければ自然は守れません。

北海道のヒグマ捕殺許可権限がどうなっているのか調べてみました。

 

<北海道のヒグマ捕殺許可のしくみ>

北海道では、環境省から降ろされた捕殺許可権限は、北海道庁が持っていることになっています。

しかし、実際は、捕殺許可権限は全道に14ある北海道庁の出先の各振興局に降ろされています。

さらに振興局は、個々のヒグマのケースには関係なく、春に一括して包括的に、市町村に上限数を決めて捕殺許可権限を降ろしてしまっています。

 

市町村は振興局や道庁に相談する必要はなく、単独判断でヒグマを駆除し、駆除後、振興局に報告すればいいことになっています。

北海道は広いので、振興局の人が現地を見に行く事はないそうです。

 

市町村の担当者が判断すると言っても、ふつう、担当者はヒグマに詳しくないので、猟友会に相談することになります。

実質上、猟友会が、捕殺許可権限を持っていることになります。

駆除すれば、猟友会には駆除費が入ると共に、駆除したヒグマがもらえるそうです。

これでは結果的に、1年中クマを狩猟していることになり、ヒグマが守れないのではないかと思うのですが・・・。

 

ある振興局の担当者にお聞きすると、有害駆除は山中ではできないことになっているし、駆除の上限数も決められているから、以前のように駆除オンリーではなくなっていると言われました。しかし・・・

 

当協会顧問のカナダのフィッツアール先生の話では、カナダではヒグマの放獣もどんどん行われているということです。

北海道はカナダより遅れているようです。

多くの国民は、環境省から北海道に降ろされた捕殺許可権限は、道が責任を持って行使してくださっていると思っています。

実際は、猟友会の行使に任されている部分が大きいとは・・・。

 

ここまで生き抜いたアルビノのヒグマ、神の使いとして最後まで生き抜いてほしいです。

 

 

ヒグマの背こすり 北海道遠軽町

お盆の帰省中である8月13日、北海道遠軽町でヒグマの追い払いを行っている岩井基樹さんを訪ね、調査されている森を見せていただきました。

ヒグマの爪痕

 

森に入ると、エゾマツやトドマツの木にヒグマの爪痕が付いていました。ふだん、柿の木などについたツキノワグマの爪痕を調査している私にとって、ヒグマの爪痕は、さすがに大きく感じました。

砂利道の林道を車で進んでいくと、ヒグマの大きな糞がありました。

フキノ葉を食べたヒグマの糞

 

中身は、ほとんどがフキです。周辺には食べても食べても食べきれないまでのたくさんのフキが生えており、夏のヒグマの主な食料源となっています。

糞の臭いを嗅いでみましたが、臭いはほとんどありません。

クマは消化力が弱いので、食べたものの臭いが糞にそのまま残されます。ふつう、臭くないのが特徴です。

ツキノワグマはもちろんですが、ヒグマもほぼ植物食です。

北海道の「ヒグマの会」副会長の山本牧氏の講演によると、1970年代、1980年代の ヒグマの糞を調査したところ、98%が植物質で、残りの2%は、アリ、ザリガニ、自分の体を舐めた体毛で、ほぼベジタリアンだったそうです。

最近は、有害駆除されて山に放置されたシカの死体や山すそまで農地化された畑の農作物や牧草も食べるようになりました。

クマは人間と同じく雑食性ですから、環境の変化で食べ物も自由に変わります。人間が、クマの食性を変えているのです。

 

 

しばらく進むと、エゾマツの木に大きな爪痕が2つついていました。木に登った様子もなく不思議な爪痕であったため、岩井さんにきくと、

「これは、ヒグマが背こすりをした爪痕です。この木には何度か背こすりしに来ています。」

と教えてくださいました。

ヒグマが背こすりに通うエゾマツ(この奥は人工林)

 

クマの4つの足では、かゆくなっても背中をかくことができません。

背中がかゆくなった時は、背中を木の幹に当て、2本の前足を後ろ手にあげて木に爪をたて、体を固定します。

そして、背中を動かして木にこすりつけます。

この時についた爪痕だそうです。

よく見ると、幹にヒグマの毛がたくさんついていました。

どのクマか知りませんが、なぜかこの木が気に入って、何度もこの木に来ているそうです。

北海道には、熊の住む豊かな森がまだまだ残されています。

 

下の写真は、実家近くの裏山です。

下層植生も豊かな森

 

ここは市街地に近いのですが、時々ヒグマの目撃があるようです。

ここで暮らしていた時には、このような森を当たり前に思っていました。

しかし、熊森で仕事をするようになって、全国各地のクマ生息地を歩く中で、故郷の森がいかに豊かで貴重な森であったのかわかるようになりました。

兵庫県をはじめ、食料の乏しい荒れた森に棲んでいるクマたちに、北海道の豊かな森を分け与えてやりたいです。

兵庫・岡山:国が狩猟獣と定めているからと、頭数基準だけを見て山の違いを考慮せず、クマ狩猟

2017年度のクマ狩猟がどうなるのか、熊森本部は、東中国山地にある3県の各担当部署に問い合わせてみました。

 

8・31 兵庫県鳥獣対策課

今年もクマ狩猟を続行する。

狩猟と有害捕殺を合わせて、平成29年4月1日~平成30年3月31日までの1年間の上限殺数を134頭とする。

根拠・・・(県内推定生息数897頭×0.15=134頭)

 

(今年度のクマ狩猟の詳細は未定)

9月4日午後1時30分~兵庫県環境審議会鳥獣部会(於:のじぎく会館、傍聴可)で決める。

 

8・31 岡山県自然保護課

生息数増加により、17年ぶりに今年からクマ狩猟を再開する。

狩猟と有害捕殺を合わせて、平成29年4月1日~平成30年3月31日までの1年間の上限殺数を30頭とする。

根拠・・・(県内推定生息数205頭×0.15=30頭)

 

(今年度のクマ狩猟の詳細)兵庫県を参考にした。

ツキノワグマの狩猟期間は11月15日から12月14日までの30日間。銃猟のみ。

10月6日にクマ狩猟講習会を開くが、講習会に参加しなくても、銃猟狩猟者のクマ狩猟OK。他府県狩猟者もOK。

狩猟後狩猟者は最寄りの県民局森林企画課又は地域森林課に報告する。

専門員が駆けつけて、体重、体長、年齢(クマを見ればおよそ何歳かわかる)を測定する。クマの遺体は狩猟者が全てもらえる。

 

熊森:何故、上限が30頭なんですか?

岡山県:国のガイドラインに基づき、県内の生息数に捕獲上限割合(15%)を乗じて算出しました。
205頭は、平成28年末時点の県内の推定生息数(中央値)です。

熊森:数えたわけではなく、計算で出しただけの推定生息数の信憑性がまず問題です。次に、山の状態です。私たちは東北地方のクマの生息地を調査してきたばかりです。北海道よりは劣るでしょうが、それでも森の深さ、餌供給量は西日本の山とケタ違いに大きく、別の国の山かと思うほど豊かでした。一方、西日本の山は浅く、奥まで人間が入り込んでおり、開発もすさまじく、山が荒廃。餌供給量は非常に乏しい。いくら日本が中央集権国家だからといって、中央で決めた15%の値を全国一律に使用するのは間違っています。元々、環境省の指導が問題なのですが。全国一律に、スギ・ヒノキを植えよと言われて、スギ・ヒノキに向かない山にまでスギ・ヒノキを植えて失敗した拡大造林の過ちの繰り返しじゃありませんか。
兵庫県も岡山県も、ハンターにクマ狩猟を楽しんでもらうような場合ではありませんよ。地元の皆さんのためにも、クマが山に帰れるように森を復元することが、今一番にすべきことです。岡山県の検討会委員の中で、クマ狩猟再開に反対する委員はいなかったんですか?

岡山県:ひとりだけでした。

熊森:それは、岡山県が環境省指導に賛成する人ばかりを委員に集めているからですよ。もっと多様な意見の人を入れないと議論が深まらないし、政策決定を誤りますよ。1時間程度の講習会を受けたからと言ってどうということはないでしょうが、クマ狩猟の経験がない人でも自由に狩猟して良いなど、クマという動物を舐めすぎです。事故の元ですよ。

 

ちなみに、鳥取県はクマ狩猟を再開しないそうです。

理由は、山中にいるクマまで撃つのはおかしいと思うからだそうです。

一番まっとうだと、熊森は思いました。

 

☆東中国山地のクマ狩猟について、みなさんはどう思われますか。

奈良市D地区のシカ1頭捕殺して解体 一線を越えた奈良県 神鹿文化への冒涜 防鹿柵補助予算0円、シカ捕殺予算2000万円

8月17日、奈良市の東里地区で、見回りをしていた猟友会のメンバーが、罠にかかったおとなのオス鹿、1頭を発見しました。

奈良県は、捕殺されたシカの胃の内容物などを調べ、生態の調査に生かすとして、猟友会に即解体を依頼しました。(調査業者は未定で、今後入札を掛けるそうです。それまで解体部位は冷凍保存されます)

猟期が始まる11月中旬まで、120頭をめざしてシカ捕殺が続けられます。

これまで奈良市一円のシカは国の天然記念物に指定され、「神の使い・神鹿(しんろく)」として保護されてきました。

いわゆる「奈良のシカ」が捕獲されたのは、60年前に、天然記念物に指定されて以降、初めてです。

 

 

(熊森から)

このような捕殺の流れを全国に広めてきたのは、野生動物の科学的・計画的管理を標榜する西洋思考のワイルドライフ・マネジメント派の研究者や彼らと繫がっている業者です。(他の分野での西洋文明の良さはもちろんありますが、こと野生動物との共存に関しては、大量絶滅させてきた西洋の自然対応をまねてはなりません。自然は人間の頭で考えた科学の力でコントロールできるような簡単なものではありません。)

彼らは大学教授などの立派な肩書を使って行政に取り入り、賛同してくれそうな人達ばかりを集めてもらって検討委員会を立ち上げ、その答申として捕殺を行政に進言して実行させるのです。

そういうわけで、今回も、「奈良のシカ保護管理計画検討委員会」で、シカ捕殺に反対した委員はゼロでした。

こういうのを、世間では「出来レース」と言います。

 

一般に、首長や行政担当者は最初は捕殺に抵抗を示しますが、専門知識がないので、偉い先生方から、早く殺さないとシカが無限に増えると脅されると簡単に洗脳されていきます。(実際は、野生動物は環境収容力以上に増えられません。現在のシカ問題は人間が引き起こしたもので、昔のように棲み分けを復活させることが必要です)

こうやって、多くの心優しい日本人の思いとは違う残酷な方向に、物事がどんどん進んでいきます。

奈良県は、天然記念物のシカを殺すという一線をついに超えてしまいました。

戦争と同じです。一線を超えるともう止められなくなり、市民は、何かおかしいと思いながらも、声を挙げられなくなっていくのです。

そのうち、C地区のシカも個体数調整しようとなって行くでしょう。B地区、A地区・・・

しかも、死体をねんごろに葬るのではなく、データをとるためとして、即バラバラに解体しました。

祖先が1300年間守り通してきた奈良の神鹿文化への冒涜です。

 

研究者は論文が書けるし、業者は毎年仕事が入っていいことばかり、きっと喜んでいる事でしょう。

まるで、利権構造です。

シカ被害を減らす目的と言いながら、いつの間にか目的がすり替えられています。

全国どこでもこうです。

120頭のシカを殺しても、胃内容のデータをとっても、農作物被害軽減になどには全く結びつきません。

新たなシカが移動して来るだけです。

 

 

今年度のシカ柵補助金を調べてみました。

何と、奈良県から奈良市農家へのシカ柵補助金はゼロです。(奈良市からの補助金は970万円)

ちなみに、シカ120頭捕殺のために、奈良県から猟友会や大阪に本社のあるコンサル会社に、計2000万円が予算計上されています。

この2000万円をシカを殺すことではなく、D地区のシカ柵を強固にすることに使った方が、シカ害は確実に減ります。

 

こんなおかしなことが許されていくのは、国民が声を挙げないからです。

 

ネットで調べてみたら、2012年度にも、奈良県がシカ捕殺に乗り出そうとしたことがあることがわかりました。

 

(以下、当時のj-castニュースより)

担当部署である奈良公園室などに100件以上、「シカを駆除するな」「撃つな」といった抗議電話が殺到し、業務に支障を来した。電話は日本全国からかけられ、「地元はシカを害獣として殺してしまうが、奈良だけは守ってくれると思っていた」といった内容もあり、凍結にいたった。担当者は、「奈良公園内のシカが殺されることはない」と断言。そして、公園周辺の「人とシカとの共生」について、外国人観光客らから「人と自然との共生が残っている素晴らしいもの」と評価されていると強調し、「これまで1000年続いてきた。これから1000年も続けていきたい」と話した。

 

熊森は、当時の担当者は、 普通の人間の感覚で 、専門家と言われる人達よりもすごくまっとうで正しい判断をされたと思います。

 

p.s 8月25日現在のシカ捕殺数3頭。

大人になったりりしい「とよ」 8月17日、冬籠り前の食い込み期に入っていることが判明

「とよ」オス7才は、青年期を脱して、今や凛々しい大人に成長しています。

 

1日に何十回もプールに入る「とよ」

 

その割に、大好きなプールにカエルが卵を産んだときは、気味悪がってプールに入れなくなるなど、クマ独特の怖がりの一面はしっかりと保っています。

 

この間の「とよ」のことは、日本奥山学会誌Vol5(定価500円)に、日本熊森協会調査研究部員が、「野生ツキノワグマの飼育からわかった行動と食性」(2015年~2017年)という題で研究発表したことをまとめています。

 

日本でこの本だけという、クマを飼った者にしか研究できないおもしろいクマの生態新発見でいっぱいです。日本奥山学会誌Vol5をまだお買い求めておられない方は、ぜひご注文ください。クマに関心のある者にはたまらない内容です。(p12~p31)おすすめです。

日本奥山学会誌Vol5

 

今年の「とよ」の話題としては、何と言ってもお世話隊に心をどんどん開いてきたことです。

以前のようにお世話隊を威嚇したり、お世話隊を見て常同行動をすることもなくなりました。

大変慎重で臆病なクマですが、学習能力は高いのです。

のんびりとくつろいで、金網をよじ登ってひさしの上で休んだり、お世話隊の真横で安心して食事をしたり、プールに入りながら、すぐ横にいるお世話隊の人達を眺めたりするようになってきました。(この変わりよう!)

ひとりでくつろぐ時にしていた行動を、お世話隊の目の前でもするようになった

 

お世話隊の横でも安心して食事をするようになった

 

プールにつかりながら、お世話隊をのんびり見ている「とよ」

 

本当はクマも、人間となかよくしたいのだと思います。金太郎物語のように。

人間が殺しに来るから、クマは、人間から逃れようと、人間をはたいたり噛んだりするようになったのだと思います。

人間に殺されそうになっても、無抵抗でしかおれない弱い動物もいます。

クマは人が素手で闘えば、人間より強い動物です。

人間が調子に乗って森を破壊し尽くしてしまわない為には、森にはクマが必要です。

クマに人間は必要ありませんが、人間にはクマが必要なのです。

 

しかし、8月17日にお世話に訪れると、「とよ」の様子がすっかり変わっていました。

この日、最高気温は32度、最低気温は23度でした。

冬籠り前の食い込み期が始まったようです。

これまであんなに大好きだったキウイやブドウなどの液果フルーツではなく、堅果フルーツのクルミを欲しがります。

そしてなんかとても落ち着かない様子です。イライラしてるようにも見えます。常同行動も始めました。

当分は傍に寄らないようにしようと思います。

何が欲しいのかわかりません。人間が飼育することには限界がありますが、しかたがありません。

 

春、冬ごもり明けにはけっこう太っていた「とよ」ですが、今はかなりやせています。

8月17日の「とよ」

 

自然界ではこの時期、クマは青いドングリやまだイガの青いクリを食べるのでしょうか。

そのようなものは入手できないので、私たちはひたすらドングリの実が落ち始める10月を待ち続けます。

クヌギやアベマキのドングリが落ち始めたら、会員のみなさん、集めて本部に送って下さいね。

お世話隊のみなさん(ボランティア)

 

お世話隊のみなさん、いつもありがとうございます。

「とよ」の飼育に必要な経費は、「くま保護基金」から出させてもらっています。

「くま保護基金」にご寄付くださったみなさん、本当にありがとうございます。

「くま保護基金」は1年後には、会費とは別に会計報告をさせていただきます。

 

 

太郎と花子の獣舎、ペンキ塗りでよみがえる 2頭とも大変元気

和歌山県生石高原のツキノワグマ太郎(28才)と花子(27才)、どちらも大変元気です。

山田さん一家、くまもり和歌山県支部、くまもり本部、くまもり南大阪地区、くまもり京都府支部、みんなで大切にお世話しています。

 

ちなみに、ウィキペディアのツキノワグマの項のクマの写真は花子ちゃんの写真です。

 

6月26日、お世話隊とのふれあいを心待ちにしてくれている花子

 

7月23日 大好きな丸太を抱く太郎(伸び過ぎた爪が見える)

 

お世話係として心配しているのは、2頭共に伸び過ぎた爪です。

動物園のクマたちは、床がコンクリートのため、爪がすり減ってしまうという問題が生じます。

太郎と花子は反対で、高齢と共に爪が伸び過ぎて円形になってきました。

ネコさんのように、爪切りで切ってあげることもできず、はたまた、巻いてきた爪が手足の肉にくい込むことを防ぐ手だてもなく…今後が悩ましいです。

夏はどちらもプールですね。2頭向き合ってプール入り

 

イノシシも元気です。

お世話隊の皆さん、いつもありがとうございます。

お世話隊ボランティア

27年間使用し、サビが目立つ獣舎

7月23日、獣舎のペンキ塗りが控えていましたが、この暑さです。お世話隊のみなさんで、天井に日よけをかけてきてくださいました。

 

 

8月13日に行くと、獣舎のペンキ塗り変えが終わっていました。獣舎は、新品のようにピカピカです。和歌山県庁さん、ありがとうございました。

まだまだ暑いので、黒布の日よけを掛けてきました。これで獣舎内も快適です。

次回は日よけをもっと追加してやる予定です。

 

毎年、太郎と花子のファンクラブにご寄付くださっているみなさん、本当にありがとうございます。

おかげで、私たちも余裕で大切に世話し続けられます。2頭にはおいしい物をどっさりあげています。

幸せな動物たちを見ていると、見ているこちらの人間まで幸せな気分になってきます。

 

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