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熊森が兵庫県築谷尚嗣環境部長と30分間面談

熊森は兵庫県庁を訪れ、築谷環境部長さんにお忙しい中、申し訳なかったのですが、30分間、話を聞いて頂きました。課長さん達も、同席してくださいました。

(結果)

兵庫県のクマは激増ではなく、2010年の大量捕殺によって激減しているのではないかという私たちの話は、森林動物研究センターの研究員から聞いている話と全く違うということで、一蹴されました。ただ一つ、野生動物育成林事業が、名目通り野生動物の餌場づくりになっておらず、県民への詐欺であると言う申し出に対しては、平成24年度からはきちんとやると約束してくださいました。

 

兵庫県にたくさんいると言われているクマたちが、どこにいるのか教えて貰おうと思って行ったのですが、やはりこれは、森林動物研究センターの研究員に聞かなければだめだと言うことが判りました。

 

熊森は、次、研究員に会いに行かせてもらって、いろいろ教わろうと思います。

 

30分はあっという間で、いろいろ聞きたいことも聞けずに帰ってしまいましたが、お忙しい中、お時間を取ってくださったみなさんには、お礼申し上げます。ほんとうにありがとうございました。

 

<以下は、兵庫県農林水産部築谷尚嗣部長に提出した要望書です>

 

 

要望書

日本熊森協会

●野生動物の命を大切にする兵庫県に 

今の兵庫県は、有害駆除や個体数調整、シカ肉有効利用など殺処分ばかり 推進しているようにみえる。これまで種の大量絶滅をもたらしてきた西洋文明手法を、日本の野生動物対応に取り入れないでほしい。野生鳥獣に生息地を保障し・生息地を再生し、防除を推進し、棲み分けによる共存を復活させるべきだ。動物たちに耐えがたい負担を与えている学術研究捕獲を止めること。

 

1、森林動物研究センターは兵庫のクマが激増というが、ドーナツ化現象を加味しているか。

・京都府のクマ捕獲数推移資料・・・クマが絶滅しかけているように見える。隣接県でこのような真逆の相違はあり得るのか。

・熊森の痕跡調査では、クマが激増しているとは思えない。集落周辺の痕跡は新しいが、本来の生息地には、古い痕跡が目立つ→本来の生息地に、なぜかクマが棲めなくなっている。

・2011年度のクマ推定生息数の訂正幅が大き過ぎる。科学的推定というのは、こんなにあいまいなものなのか。

・野生動物保護管理審議会に熊森を入れてほしい。

2、クマたち野生動物に安心して住める場を保障してやってほしい。

・人間が奥山に入り過ぎている。氷ノ山の入山制限を。

 

3、エサ場復元を本気でやってほしい。

①クマ生息地の人工林率が高過ぎる。奥山は強度間伐により広葉樹林に戻すべき

人工林率…宍粟市73%、養父市61%、朝来市66%、豊岡市43%、

香美町43%、新温泉町45%

ナラ枯れ対策  ミズナラやコナラが大量消失している。

③落葉広葉樹林における下層植生喪失対策  シカや温暖化により下草大量消滅

野生動物育成林事業の欺瞞性  1か所2千万円~4千万円。1か所につき、700万円が調査会社に渡っている。

実のなる木の植林が微小すぎる。<事業検証委員会に熊森を入れてほしい。>

 

4、読売新聞11月1日論壇主張のように動物管理官に予算を投入(=頭数調整=捕殺)するより、生き物たちの命を大切にする生息地復元や防除にお金を使ってほしい。

・ワイルドライフのマネジメントなど、人間には不可能。できると思っている人は、自然がわかっていないのではないか。

・第一、クマが何頭いるか絶対にわからない。

・適正頭数が何頭か、これも人間には絶対にわからない。

 

5、森林動物研究センターが知り得た情報を、保護団体に公開すべきである。

・当協会は、GPSからわかるクマ生息場所、捕殺されたクマの理由・詳細データなど欲しい。

・岡山、京都、滋賀は徹底したクマ保護体制をとっており、今年のクマ捕殺数はそれぞれ0頭、2頭、1頭なのに、兵庫のクマ捕殺数15頭、誤捕獲23頭(放獣)2012年10月末現在で、何故原則殺処分なのか。

 

6、外来動物の根絶殺害が無用の殺生になっている。防除に予算を回すべきだ。

2004年、ドングリ運びを指導して下さった研究者の家を訪問  <植物編>

2004年、ドングリ運びを指導して下さった研究者のおひとりの家を久しぶりに訪れました。

<熊森はなぜ、ブナやミズナラなどのドングリは運ばなかったのか>

先生は、全国各地のブナを栽培

階段の所に、全国各地のブナが栽培されており、先生はその違いを熟知されています。「これはどこどこのブナ。ここが違うでしょう・・・」花、芽吹き時期、実・・・等いろいろ違うのですが、黄色に色づいたブナの葉だけでも、よく見ると違いが少しずつあるといわれます。説明を聞いていると、だんだん疲れてきました。そんなわずかな違いを教わっても、わたしたちには覚えられません。要するに、ブナは地域によってDNAが違うのです。

 

ブナは、年平均気温が6度~12.5度の範囲で生育可能です。

 

 

 

 

 

先生は各地のミズナラを栽培

 ミズナラはブナと違って、生育するための年平均気温の幅が大きく、ブナが育たないような暖かさや寒冷地であっても生育できます。垂直分布で見て行くと、ミズナラ、ブナ、ミズナラとなっていくそうです。このブナの上に位置する寒冷地型ミズナラは、秋になると何と葉が茶色ではなく赤に色づくのです。(写真)

このため、ブナより下で育つミズナラか、上で育つミズナラかは簡単に見分けられます。

 

 

 

 

 

<熊森はなぜ、クヌギやマテバシイなどのドングリを運んだのか>

 

先生は全国のドングリ類をすべて栽培し研究

熊森スタッフは、さすがに21種のドングリの名前ぐらいは覚えていますが、よく似たのもあり、ドングリの実だけ見せられても、葉や樹皮がないと、未だに判断に迷うドングリもあります。もちろん先生は、即判定されます。こんなことが出来る人は、他におられるのでしょうか。

 

 

 

 

 

 これは、育てておられる17年目のミズナラに、今年付いた約3000個のドングリです。先生はこうやって、実にいろいろなデータをとっておられます。

 

2004年に熊森が、「クマたちの捕殺を止めるため、どこよりも自然生態系を守りたい団体として、どうやってドングリを運べばいいですか」と、ドングリ運びの相談を持ちかけた時、ドングリ種の分布図や、全てのドングリの発芽温度と生育温度の一覧表などを先生は見せてくださいました。運んでも生態系が攪乱される心配がないドングリ種と、どんなところに運べば大丈夫かなど、こまごまと先生が指導して下さり、一緒に運んでくださったことを思い出しました。

 

あの時の、全てのドングリの発芽温度と生育温度の一覧表はどこで入手されたのか、思いだすと懐かしくなり、たずねてみました。なんと、全て、先生の気の遠くなるような実験データだったとわかりました。先生は、膨大なデータを持ちながら、どこにも発表されません。発表することに等、関心はないのです。自分が知りたいから調べておられるのであって、人に認められたいから調べておられるのではありません。

こんな研究者は、他におられるでしょうか。ドングリの話だけでも、無限に続きます。これまで私たちはドングリについても、実にいろいろ教わり自分達でも学んできました。

 

その後、地球温暖化が進んだためか、特別暖かい冬があり、熊森がここでは発芽しないと思って運んだドングリ種が一部発芽したことがありました。生育はしませんでしたが。そのたびに先生に相談しに行きました。自然界のことは元々人間にははかりしえない部分がほとんどです。しかも今、急速に自然界が人間活動により変化しており、予測できないことが次々と起こっています。

 

今や人間は、奥山の生態系まで、スギだけにしたり、果樹だけにしたり、韓国産のドングリ苗を植えたり、生態系の攪乱どころか、生態系を確実に完全破壊していっています。やりたい放題です。林道の横の崖に吹き付けた草は外来種のオンパレード。融雪剤などの化学物質もどんどん山に持ち込みます。せめて、奥山の生態系だけは手つかずにしておいていただきたいのですが、人々は無批判です。

 

 

 

 

 

京都府のクマたちは生きていけなくなっているのではないか

(1) クマ捕獲数の推移グラフ    (昭和43年~平成22年度)

以下は、京都府におけるクマ捕獲数の推移グラフです。白が狩猟による捕殺数で、黒が有害駆除による捕殺数を表しています。尚、このグラフには記載されていませんが、平成23年度の有害捕殺数は4頭で、平成24年度の有害捕殺数は2頭です。

現在、京都府では、クマの狩猟は禁止されています。

(グラフをクリック頂くと拡大されます)

 

 

 

 

 

 

 

ふつうこのようなグラフは、平成以降だけが提示されますが、昭和43年からが提示されていることによって初めて見えてくるものがあります。クマの捕殺合計数が激減していっているのがわかります。

最後の平成22年度は、夏の食料である昆虫も、秋の山の実りもないという異常年で、食料を求めて人里に出て来た54頭のクマが、有害捕殺されています。

この異常年を除いてみると、クマがますます激減しているようすがうかがえます。しかし、グラフの解釈はいろいろにできますから、これだけでは断言できません。

実際の京都のクマの生息地を訪れてみました。

 

(2)芦生原生林五波峠 (2012、11、7)

少し前まで人間の背丈を越えるササで覆われていた林床ですが、温暖化で枯れたり、シカによってきれいに食べ尽くされたりして、原生林が、まるで都会の公園状態になっていました。臆病なクマは、姿を隠せなくなったこのような所には棲めません。

広大な山が公園状態 → ここではもう臆病なクマは棲めない。

 

 

 

 

ナラ枯れで枯れたミズナラの巨木が、撮影地点の周りを見回しただけで約30本倒れていました。1本の木で、1万個ほどのドングリが実っていたと予測されますから、クマたちは冬ごもり前の食い込み用食料を、もはや原生林で以前のようにはとれなくなってしまっています。

下に生えている緑色の植物は、エゾユズリハやヒメユズリハで、毒性があるため、シカが食べません。

→ ここではもうクマが棲めない。

 

 

 

 

 ほとんどのスギの木に、クマハギの跡がありましたが、最近のものはゼロでした。

→ ここには、もうクマがいない。

 

 

 

 

 

 

ここの原生林には、クマの痕跡はゼロであるばかりか、他の動物たちの痕跡もほとんどありませんでした。2012年度はここでは、シバグリ、ミズナラ、コナラのドングリは、並の下ぐらいの出来で、1平方メートルに30個ぐらい落ちていました。そこそこ落ちているという感じでしたが、食べに来ている動物がほとんどいませんでした。テンの糞がたった2ヶ所、シカの糞が少し。シカも、ここで食料を食べ尽くしたので、里の方へ移動しているのではないでしょうか。トガリネズミの掘った穴2ヶ所。あとは何もない山でした。アカネズミ、ヒメネズミ、ヤチネズミの巣穴見つからず。

クマノミズキを食べたテンの糞。

(クマがクマノミズキを食べると、種子まで噛み砕く 。)

 

 

 

 

 

 

 

<考察> 人工林、ナラ枯れ、昆虫謎の消滅(温暖化?)、シカの食害・・・本来の安心して身を隠せた奥山生息地と食料を失ったクマたちに今必要なのは、

研究者や業者が主張しているような、クマの出没予防専門官の育成でも、「野生動物管理システム」という名の捕殺を含めたクマいじくりまわしでもなく、「昆虫がいて下草の生えた森を取り戻す森復元・再生事業」であると、熊森は思います。

 

さらに大事なことは、人間が1歩も2歩も下がって、彼らの生息地に入らないようにすることです。平地をすべて取った人間は、奥山だけでも、動物たちに返しましょう。これが、21世紀に人類が生き残る唯一の道です。

 

京都府行政は、今年、クマの目撃が多かったにもかかわらず、捕殺を2頭と、最少に押さえておられます。自然保護団体として、熊森は、京都府のクマ対応を高く評価します。

 

7/23、24 東北で進む山林への農地開発とすさまじいナラ枯れ、安易なクマ駆除の実態を視察して唖然②

すさまじいナラ枯れ

兵庫県でもナラ枯れは脅威であるが、兵庫県の山はここまでは枯れていない。

東北の山々のナラ枯れはすさまじく、山がもうスカスカだった。ブナもナラも実がまず付いていなかった。なぜ、こんなことになるのか、諸原因説あるが、わたしたち人間にはどれが本当なのかわからない。地球温暖化、酸性雨、農薬…?いずれにせよ、人間がやったことで、野生鳥獣の豊かだった生息地が壊されていっているのであろうと察せられる。

世界中から食料を集め、食べ残している今の飽食の日本人には、動物たちが食料を失い苦しんでいることを、もはや思いやることすらできないのであろうか。地元では、山から出て来た動物対策として、捕殺しか考えていないようにみえた。

 

枯れ残ったミズナラにも、今年、実がついていない。

 

野生鳥獣が山から出て来てもらっては困るのなら、人間が山の中に、野生鳥獣の餌場づくりをしてやらなければならない時代になっているのではないかと感じた。

 

ちなみにスギなど針葉樹だけの人工林率は、福島37%、山形29%、

宮城50%、岩手44%、青森42%、秋田50%である。

この中には基本的に、動物たちの餌はない。

 

7/23、24 東北で進む山林への農地開発とすさまじいナラ枯れ、安易なクマ駆除の実態を視察して唖然①

(今回の東北調査のいきさつ)

環境省発表によると、今年、東北でのクマの目撃数が、昨年の3倍に増加しているという。山に食料がないのだ。山から出て来たクマたちは、罠にかけられ安易に捕殺され続けている。

このことに胸を痛めた数名のクマ愛好家(非会員)らが、現地に駆け付け、捕殺ではなく、捕獲して奥地に放獣してやってもらいたいと、地元農家らと交渉を開始し、保護活動を展開し出した。

その過程で、熊森も出て来てほしいと強い要請があり、本部が現地に急行し、彼らの案内で、東北の山々や、クマ捕獲の実態を見て回った。その結果、唖然とする実態があった。

 

(1)規制なく進んでいく、東北での山林への農地開発 

その1果樹園

地球温暖化がこのまま進むと、近い将来、東北の平地ではりんごなどが実らなくなるだろうなどと言われているそうだ。果樹農家は、今、競って果樹園をより涼しい所、山の上に移動させ始めたという情報を、これまで地元会員から得ていたが、行ってみてびっくり。

あちこちの山が白く光っている。

車窓から

見渡す限りのブドウのビニールハウスだった

 

最近、これまで見かけることもなかったクマやサルたちが、山から出て来るようになったと地元の声。野生動物たちの生息地を人間が次々とつぶして果樹園にしていっているのだ。野生動物たちが生きられなくなって出て来るのは当然だ。

 

(2)規制なく進んでいく、東北での山林への農地開発 その2畑

クマの生息地と思われる山の中に入っていくと、突然ブルトーザーで平地にされた空間が現れる。ここは最近まで、クマたちの国であったはずだ。米どころ東北の平地は、水田で埋まっていた。畑は山の中に移動させるのだろうか。

 

(3)人間のためにも、山林開発に規制を

県行政に、山林の開発規制をたずねたところ、伐採申請をすればだれでも開発できるという。地元の行政の方は、人間が生きるためだから仕方がないと言われるが、山の斜面を単一植生で覆うと、大雨の時、崩れてくる。山まで果樹園や畑にされて、まず困るのは 餌場や生息地を失った野生動物たちだが、いずれ、人間にも必ずしっぺ返しが来る。

 

昨年の紀伊半島集中豪雨での山崩れ、今年の九州での大雨による山崩れ。山を単一植生で埋めるとどうなるか。教訓 にしてほしい。

 

しかも、国土をすべて人間が取ってしまうのは、まちがいである。もうこれ以上生息地を野生鳥獣から奪ってはならない。人間が生き残るためにも、人間が優しい人間社会を作るためにも。県知事さんに、手紙を書こうと思う。

 

このあたりの山々から、近年、動物たちが出て来始めた理由が、現地に行ってみてはっきりわかった。

兵庫県が「第3期ツキノワグマ保護管理計画案」に対するパブリックコメントを募集中!1月31日締切

兵庫県は、これまでのツキノワグマ保護体制を180度転換し、大量捕殺を可能にする「第3期ツキノワグマ保護管理計画案」(平成24~28年度適用)を作成しました。

◆計画の内容は、
――――――――――――――――――――――――――

1、兵庫県内のクマが7年間で6.5倍に増加した(年間増加率30%)等と、目撃数と捕獲数の増加 を2大因子とする(注)偏った推定計算に基づき、(注:兵庫県は、クマ生息地住民に集落周辺でのクマ目撃を報告するようにと最近再三呼び掛けており、報告に基づいてハチミツ入り捕獲罠を多数設置するようになってきています。このような状況下では、近年、集落周辺に棲むことを余儀なくされているクマたちにとって、目撃数と捕獲数が増えるのは当然で、その数から生息数を推定すると、クマ数が激増したことになってしまう)
2、クマが中間値650頭にまで増加していると推定して、今後は捕獲したクマを原則殺処分し、
3、生息推定数が800頭を超えた時点で狩猟禁止を解除する。
―――――――――――――――――――――――――――
という、恐ろしい内容になっています。

戦後の①拡大造林による奥山生息地の広大な喪失や、近年著しく進む残された②自然林の原因不明の劣化(酸性雨?温暖化?)によるクマたちの食料不足(自然林内の虫、魚などの大量消滅、木々の実りの不調)などの環境悪化については一言もふれておらず、クマが山から出てくるようになったのは、ただ単にクマが大量増加したからだとしています。生きられなくなって奥山から出て来て、集落近くに集結しているクマたちのドーナツ化現象を理解されていないようです。
ツキノワグマの捕殺を推進し絶滅させかねない、兵庫県の計画案の見直しを求めるため、心あるみなさんにパブリックコメントに応募していただきたいです。兵庫県民以外でも、どなたでも応募できます。

◆熊森の見解

この計画案は、クマの人里出没の原因である奥山生息地の喪失や荒廃などによる食料不足について全くふれていないばかりか、「兵庫の山は食料が豊か」と事実誤認している。さらに、科学的根拠を欠く推定生息数に基づき、ツキノワグマが異常増加したとして、捕殺を推進するものとなっており、とうてい認めることはできません。

このような、ツキノワグマの絶滅に拍車をかける計画案を根本的に見直すことを求めます。

【パブリックコメントについて】
Q1「兵庫県第3期ツキノワグマ保護管理計画案」は、どこで見られますか?
A 兵庫県庁のホームページで見られます。

Q2 意見はどうやって、どこに提出すればいいのですか?
A 記載様式は自由です。郵送、メール、FAXでご送付下さい。
【送付先】〒650-8567 神戸市中央区下山手通5-10-1
兵庫県農政環境部環境創造局自然環境課野生鳥獣係
Fax:078-362-3069
e-mail:shizenkankyo@pref.hyogo.lg.jp

Q3 保護管理計画案を読んでみましたが、むずかしくて分かりにくいのですが?
A 分かりにくく書かれていますが、思ったことを素直に書いていただいたらそれで大丈夫です。一行でも声を届けることが大切です。
【住所】 【氏名】 【電話番号】が必要です。

3/14 兵庫県野生動物保護管理運営協議会での森山会長の質問と当局の答え

《3/14 兵庫県野生動物保護管理運営協議会での森山会長の質問と当局の答え》

3月14日、兵庫県野生動物保護管理運営協議会が、兵庫県民会館303号室で開かれました。

上写真は協議会委員のメンバー

下写真の委員と向かい合って座っておられる方々は兵庫県庁担当者と兵庫県森林動物研究センターの研究者たち(兵庫県立大学)や専門員たち(県庁職員)からなる当局

森山会長発言要旨 シカ問題

■地元ではシカ問題が深刻であることはわかりますが、山から出て来たシカを捕殺して解決するというのはあくまで対症療法であると思います。大量に捕殺してもシカが減らないので獲り続けるということですが、どうしてシカが最近そんな状態になったのですか。原因が分からないと本当の対策を立てられないのではないかと思います。

●原因諸説として以下の3つがよく挙げられています。

①シカが増えだしたのはオオカミが絶滅したから⇒しかし、オオカミが絶滅したのは明治ですから、今の事態とは関係がないと思います。

②猟友会員が減ったから⇒猟友会員は1970年頃が最大でした。以前は今より少なかったけれど、シカは人間の所には出てきていませんでした。よって、この説も説明がつきません。

③地球温暖化で雪が減ったからシカの生き残りが増えた⇒では、今年すごく雪が多かったので、シカはどっと減ったんでしょうか?

シカの世界にいったい何が起きているのか、県としての見解を教えてほしいです。

(研究員の答え)

県の見解としては、毎年シカの自然環境の状態が良くて、シカの妊娠率、栄養状態なんかも見てますけど、非常に好調です。妊娠率15%~18%くらいの自然増加で、自然に増加するもんですから、獲らなければやはり自然に増加していく。シカの世界では毎年15%以上増えていくという状況が今起こっているという風に考えています。

森山会長発言要旨 クマ問題
■先ほどの委員が、クマ数は回復しているとして個体数調整の開始を提案されましたが、私はとても危険だと危機感を持ちました。

クマというのは日本最大の動物です。人間活動がここまで大きくなった今、人との共存は大変です。ワシントン条約でクマが保護対象獣に指定されているのは、よほど人が気をつけないと絶滅させてしまう、現にヨーロッパなどでは各地で絶滅させてしまったという経緯があるからです。クマは繁殖力も弱いので、慎重に取り扱うべきだろうと思います。

私たちは去年2010年の大凶作は普通の凶作と思っていません。日本の山で2004年2006年に引き続き、動物が棲めないような奥山の実りゼロという異常事態が起こったのです。たとえば、去年、山火事のように広がったナラ枯れによって、クマは主なエサであるミズナラを大量に失いました。原因はわかりませんが、自然界で人間活動による異変が起きている。それによってクマが生きられなくなって山から出て来た。

去年の夏から秋、冬にかけて、兵庫県でも驚くほど多数のクマが山から出てきました。兵庫県は蜂の巣にクマが付いたとき以外はハチミツを使ってクマを獲らないと決まってるはずなのに、去年現地を巡回していましたら、結構捕獲誘引剤としてハチミツが使用されていました。

こういうことをすると、クマが遠くからも集まってくるため、目撃数や捕獲数がどっと増えるのはあたりまえです。先ほど発表された兵庫県内のクマ生息推定数は、目撃数と捕獲数を2大パラメーターとして算出したという事ですから、それによって推定生息数を出すと、実際よりすごく多くなってしまうんじゃないかと思います。

先ほどからの県担当者の話は、人間の視点だけに偏っています。集落の柿の木を伐ってしまったらクマが来なくなるから伐れと言われますが、クマにしたら山のドングリはなし、カキやクリもなしでは、食べる物がなくて生き残れない。餌を探して町中に入っていくしかない。本当にこんな対応が正しいのかどうか、もっともっと議論をしてもらいたい。私たちは去年の秋に危機感を感じて、地元農林事務所に電話をして、担当者に状況を聞こうとしましたが、「忙しい。1分1秒の余裕もありません。」と断られました。県庁に緊急協議会の開催を要望しましたが、これも断られました。

私たちの祖先はほんとに生き物にやさしかったので、猟友会の方でもよく「三つ熊は獲るな」とか「子グマはよう撃たん」とかそういう人がいっぱいいました。だから、今も日本にまだクマが生き残っているのです。去年の兵庫県行政は、親子グマでも獲るし、子グマも7頭殺しています。こんな方向に日本文明を変えていっていいのだろうか?と思います。

いろんな生き物がいてクマがいて、初めてこんこんと水が湧き出す豊かな森が維持形成されます。そのお蔭で農業用水が得られるのです。動物たちに、この国で一緒に生きようというやさしい気持ちを失ったなら、日本文明は滅びるんじゃないかと思います。

去年同じように滋賀県や岡山県でもクマの目撃数がとても多かったわけですけども、滋賀県は9頭しか捕殺していません。岡山県の捕殺数はゼロです。2004年と2006年の山の実りゼロという大凶作年、兵庫県で捕殺されたクマ数は、7頭と4頭でした。去年は70頭捕殺、いくらなんでもこんなに殺してしまっていいのでしょうか。

昨年、私たちはせっせと地元を訪問しました。地元でも、「これくらいのことでクマを殺さなくてもいいんじゃないか」という声がすごくたくさんありました。他府県でも、多くの集落で、「今年の山は異常だから、柿はクマにあげよう」と、クマをみんなで見守ったところがたくさんありました。これこそが日本文化であって、こういう考え方があるからこそ、日本に豊かな森が残ったし、いろんな動物も残ったのだと思います。、

このような原因不明の異変が山で起きている時に、出て来たクマは全部捕殺してしまえとか、個体数調整を始めようというようなことを、人間がする権利はあるのだろうか。人間が、自然界をここまでいじっていいのだろうかと思います。県民は、去年兵庫県が70頭も絶滅危惧種のクマを有害駆除したことを知りません。マスコミに発表していただきたいし、私たち自然保護団体にも情報を流して欲しい。県だけで暴走しないで、もっといろんな意見を聞いていただきたいと思います。

司会者は、いつものことながら、ありがとうございましたとお礼を言って、会長の発言は議題に取り上げず、次の話題に移ってしまいました。兵庫県では自然保護団体が協議会に参加していると言っても、これでは形だけの参加ですね。

クマと共生、ドングリの森基金創設で条例案 (岡山県美作市)

< 以下、読売新聞からの情報です。素直に喜びたいと思います。>

 昨年秋にツキノワグマの出没や捕獲が相次いだ岡山県美作市は、クマとの共生や自然環境の保全を目的にした「ドングリの森基金」を創設する条例案を、2日開会した市議会に提案した。

 市内の山林を針葉樹から広葉樹に転換することで、熊の餌ドングリを増やし、二酸化炭素の吸収を促して地球温暖化防止にも一役買う。

 基金の財源は、県内外から寄せられた寄付金39万円と市の予算1000万円。同市真殿の市有林(約10ヘクタール)の杉やヒノキを伐採後、基金の利子や伐採した木材の売却益を活用しながら広葉樹に転換していく計画だ。

 同市では、北部を中心に昨年10月頃から熊の目撃が相次ぎ、昨年11月末までに45頭が捕獲された。同情した久米南町の女性が13万円を寄付したのをきっかけに、市内や大阪市の主婦ら計11人が「保護に役立てて」と寄付金を寄せていた。

 安東美孝市長は「保護を願う熱い思いの寄付をいただいた。基金を希少動物との共生、山林の再整備に向けての第一歩にしたい」と提案理由を説明した。
(2011年3月3日19時49分 読売新聞)

大分県・豊後大野市市長に、オオカミ輸入を思いとどまっていただくよう要望を

新聞報道によると、大分県・豊後大野市橋本祐輔市長が、シカ・イノシシの農作物被害対策に、中国のハイイロオオカミを輸入するという構想を打ち出したそうです。100年前に滅びたと言われているオオカミと、現在のシカ数、イノシシ数が関係するなど、ちょっと冷静になって考えてみれば、ありえないことです。狭い日本に、オオカミを導入すればどうなるのか。オオカミにしてみれば、すばしこい野生動物を襲うより家畜を襲う方がずっと簡単ですから、オオカミによる家畜被害という新たな問題を引き起こすだけになるでしょう。可能な方は、市長さんに思いとどまっていただくよう、意見をお伝えください。

豊後大野市役所 〒879-7198 豊後大野市三重町市場1200番地 電話番号:0974-22-1001 FAX番号:0974-22-3361

イエローストン国立公園でのオオカミ導入結果については、もっと長期にわたるモニタリングが必要です。今後、どうなっていくのかは、まだだれにもわかりません。オオカミは肉ばかり食べていると誤解されがちですが、実際はドングリなども多く食べるそうです。オオカミを導入した際、大分県に、オオカミの生存を支えるだけの広大な広葉樹の豊かな森が残っているのか疑問です。

研究者の皆さんに苦言です。行政の皆さんは素人です。研究者の皆さんが、行政から予算を取って、誰もしたことのない実験を行い論文を書きたいという気持ちはわかりますが、「オオカミを導入すれば、植生や小動物が回復し、生態系が正常化する」等という進言は、あまりにも一方的です。研究者の皆さんは、日本の山が荒れているのは、戦後の大開発や拡大造林、酸性雨、地球温暖化など、人間活動によるものが間違いなく大きな部分を占めていることぐらい、ご存知だと思います。シカやイノシシを殺しつくしても、森はよみがえらないでしょう。第一、シカやイノシシは、本来、害獣ではありません。公正なる進言をしていただかないと、行政の判断を誤らせます。

シカ・イノシシ問題について、自然界のことは人間にはわからないことが多いです。しかし、以前は、今のような目撃数はなかったのですから、とにかく、以前の環境に戻しましょう。奥山の放置人工林を強度間伐して自然林を再生し、動物たちには山奥に帰ってもらい、棲み分けを復活し、防除に励むしかないと思います。現地は高齢化した過疎地ですから、行政や都市市民が応援に入らなければならないのは言うまでもありません。

~野生動物たちの楽園にしたい~          第2回福島県国見町広葉樹植樹会

10月30日(土)
「どんぐりの木を植樹しませんか
~ 動物のすめる森復元 第2回福島県植樹会」

〈主催〉日本熊森協会
〈共催〉国見町、桑折町、国見町桑折町有北山組合

福島県国見町が熊森の考えに賛同してくださったことがきっかけで、昨年秋から始まった東北での広葉樹植樹会。動物たちとの共存を願う、東北の方々が集う貴重な機会です。

福島、山形、宮城を中心に東京、神奈川、茨城からも参加者があり総勢44名。
地元国見町、桑折町からは十数名の方々がおいでくださいました。

ここは標高約600mの奥地。アカマツの植林地でした。その伐採地跡に、ブナ、ミズナラ、シバグリ、トチなどの、200本の実のなる広葉樹の苗木を植えていきました。
あいにくの雨天の中でしたが、初対面の方々も、チームワークよくどんどん作業がすすみます。
昨年植えた200本の苗木は、9割が根付いていました。喜びの声があがります。元気な苗木は、私たちの希望の象徴のようですね。こちらはブナ。植樹せずとも、自然に再生しつつある幼木も、たくさんありました。
去年に引き続いて今年も植樹会の世話役をしてくださったくまもり山形県八木支部長から、山形県の今年のクマ状況について、報告がありました。果樹王国山形県では、温暖化のせいもあり、果樹園を、クマたちが棲む標高の高い奥地へ作ることも多いそうです。その果樹園にクマが来て、補殺されています。
集まることが、大きな力に、今こそクマ救えの声を、大きくつないでいきましょう。

今回植えた苗木が大きく育ち、森になるのはいつのことでしょうか。ここには、クマ、サル、イノシシはじめ、いろいろな動物が棲んでいるようです。いつか彼らが安心してすめる場所になるとよいですね。

来年の初夏には、草刈りなど苗木の手入れを行う予定です。成長した苗木の世話は、本当に楽しい作業です。ぜひまた、おいでください。
最後に、国見町佐藤町長はじめ地元の皆様には、今回も準備から当日の車出し、植樹指導など、大変お世話になりました。

心よりお礼申し上げます。みなさま、ありがとうございました。(早く、福島県・宮城県にも手を挙げる人たちが現れて、リーダーが誕生してほしいですね。)

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