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「兵庫県第3期ツキノワグマ保護管理案」パブコメ ②数十年間山を歩き続けてきた民間研究者たちがそろって証言「クマたちは、もう生き残れない」

「兵庫県第3期ツキノワグマ保護管理案」パブコメの意見提出締切日が近づいてきました。

中国山地の奥を数十年間歩き続けて来られ、今も歩いておられる民間研究者たちに意見を聞いてみたところ、見事、みなさん同じ意見でした。

・クマは、人間圧により、地球規模で絶滅しようとしている。これは、世界中の研究者の一致した意見だ。

・かつてクマたちが棲んでいた奥山生息地が、開発や針葉樹林化によりクマたちの棲めない山になって久しいが、日本では全くと言っていいほど奥山の復元策が進んでいない。

兵庫県のクマ生息地の人工林率宍粟市73%、朝来市66%、養父市61%、豊岡市 44%、香美町44%、新温泉町45%

・奥山生息地を失ったクマたちは、しかたなく集落周辺に潜んで生きるようになってきているため、目撃数、捕獲数、人身事故…どれも増えていくのが当然である。1頭のクマに、多くの人間が遭遇する環境になってきている。これをもって、クマ数激増と見なしてはいけない。(ドーナツ化現象)

・若い研究者たちが最先端科学技術を使い、コンピューター画面とにらめっこして出した生息推定数が、なぜ現実とかけ離れたものになってしまうのかというと、かれらが数字と格闘するだけのバーチャル世界に埋没してしまっており、時間をかけて山を歩き続けていないことと、エリート過ぎてクマという弱者の立場に立ってものを見ることができなくなっているから、クマの行動が理解できないのだろう。若い研究者たちにとって、クマは研究対象物体にしか過ぎないため、生き物としてのクマや命としてのクマを理解できなくなっているように感じる。

・山を歩き続けていたら、奥山にも里山にも、クマたちが安心して棲めるところが、もはやないことがわかってくるはずだ。自然林の中に、以前豊富にあったクマたちの食料が、なぜか消えている。クマたちの悲しい悲鳴が聞こえてくるはずだ。若い研究者たちは、網をかぶらなければ山中を歩けないほど虫だらけだった以前の山を見た経験がないから、今、自然林で起きている異変に気付けないのは仕方がないかもしれない。

→人と会うことなく安心して棲める生息地を保全・復元してやらない限りは、たとえ一時的にクマ数が増えたとしても、クマたちが生き残ることはできない。長期的には確実に絶滅に向かっている。クマに対して駆除促進や狩猟再開を持ち出すべきではない。

・去年の秋、奥山でたわわに実った木々の実りがあちこちで風に揺られているのをいくつか見かけたが、まったくクマたちが食べに来た跡がなかった。以前なら、クマの痕跡でいっぱいになっていた。

くまもり授業を始めて10年目の小学校で環境教育

なんと今年で10年目!毎年、環境教育授業をさせていただいている尼崎市の小学校に、1月17日(火)、今年もスタッフ7人で授業に行ってきました。

2年生の授業で、「今日は、私と一緒に森の王様が来てくれました。さて誰でしょう?」とお姉さんが言うと、「クマのツッキンや!」とみんなお見通し。毎年、クマのツッキンに会うのを楽しみにしてくれているという子どもたち。覚えてくれていて、うれしいです。

「クマは、いろいろなところで糞をしたり、木に登って枝を折ったりして、森づくりをしているんだよ。」と言うと、クマが木に登るの?と、子どもたちは半信半疑。でも実際のビデオ映像を見て納得。「へえーすごい。あんな上まで登るんだね。」先生もびっくり。森で暮らすクマの穏やかな姿にみんな釘づけでした。

1年生の授業の一幕:クマの食べ物クイズ
クマは季節を通じていろんなものを食べるんだよ。

3年生の授業の一幕:広葉樹の根っこ
地面の下には、根っこが網の目の様に絡みあってしっかりと張られているよ。

授業のあとは恒例の給食タイム。クラスで一緒にお昼ご飯をいただきました。クマや森のことに留まらず、「どこで活動しているの?」「どんなことをしているの?」と、子供たちは熊森についても興味津々。いろんなお話ができました。

私たちにとって、奥山の森の生態系はとても大切なもの。でも、都会で暮らしていると、日頃、森や野生動物と触れ合う機会は多くありません。だからこそ、そのすばらしさや危機的状況を知った者が、保全の必要性を伝えていこう。そして、環境教育を通じて、森や動物を守るために活動したいという仲間を増やしていきたい。改めてそう思った一日でした。

【実施授業】
1年生…もりとどうぶつ
2年生…森とどうぶつ(植物+動物=森)
3年生…森の力と動物

「兵庫県第3期ツキノワグマ保護管理案」パブコメ  ①実質は進んでいない野生動物育成林事業

兵庫県では、2006年(平成18年)~2009年(平成21年)の4年間に、森林税であるみどり税(県民ひとりあたり年間800円負担)約4.6億円を使って876ヘクタールもの広大な山で、「野生動物育成林事業」が行われたことになっています。

一般県民のみなさんは、さぞ、野生動物たちの餌場が復元されたことだろうと思われるでしょう。しかし、当協会が昨年、現地検証や調査を行ったところ、確かに事業費は使われていましたが、野生動物の餌場を復元するためにはまず使われていませんでした。

以下、くまもり通信70号(2011年12月当協会発行)より抜粋

実態は、まるで鳥獣被害防止事業

21ヶ所の整備報告を見ると、そのうち19ヶ所は、バッファゾーン事業のみ、またはバッファゾーン事業と奥地広葉樹林整備事業(=広葉樹林の間伐)

がセットになったものでした。

バッファゾーンというのは、集落裏の山裾(広葉樹林が多い)を何十メートルかの幅で、動物たちが人里に出てきにくいように帯状に皆伐することで、人間のための鳥獣被害防止事業です。野生動物の餌場はかえって減少します。

クマのために奥地に広葉樹を植えた事業は、21ヶ所中、たった2ヶ所だけでした。

しかも、2ヶ所共、餌場復元効果ほぼなし

A町総事業費2341万円…30haの事業面積の中のたった1.79ha に、ケヤキ(実がならない)とコナラが500本ずつ植えられていただけでした。元々この山のほぼ全て29haは、広葉樹林。竹や広葉樹を9ha間伐したそうです。

B町総事業費2158万円…28ha の事業面積の中の4ヶ所計わずか0.35haをくり抜いて、実のなる木600本を植えたそうです。しかも、どれも苗木の生育は悪く、2ヶ所は、シカよけ網が破れたり倒されたりで、シカが入り、苗木がほぼ消えていました。周囲の人工林を12ha間伐したとのことですが、弱間伐のため林内は暗く草も生えていませんでした。

まもりは、昨年末、この予算を本来の奥山生息地の広葉樹林復元に使ってほしいと県に要望しに行きました。県の回答は、このような予算の使われ方は、地元の要望だからやむおえないということでした。

県民みどり税の導入にあたっては、奥山広葉樹林復元にも使うということで、私たちも賛成した経緯があります。これでは約束違反だとして、都市市民が税の負担を拒否したら、みどり税は成り立たなくなるのではないでしょうか。

くまもりは、人間が壊した野生動物たちの奥山生息地の復元に取り組まずに、山から出て来た野生動物たちに害獣のレッテルを張り、保護管理というわけのわからない日本語訳を用いて、実際は、動物たちを殺すことに目を向けている「兵庫県第3期ツキノワグマ保護管理案」の見直しを求めます。(注:このような野生動物対策は、兵庫県独自のものではなく、環境省の方針です)

愛知県に残された貴重な里地里山を巨大造成するトヨタテストコースの見直しを求める署名

他団体が集めている署名ですが、ぜひご協力ください。署名用紙は、ここをクリックしていただければ取り出せます。

「21世紀の巨大開発の見直しを求める」サイトはこちら  http://bio-diversity.info/

兵庫県が「第3期ツキノワグマ保護管理計画案」に対するパブリックコメントを募集中!1月31日締切

兵庫県は、これまでのツキノワグマ保護体制を180度転換し、大量捕殺を可能にする「第3期ツキノワグマ保護管理計画案」(平成24~28年度適用)を作成しました。

◆計画の内容は、
――――――――――――――――――――――――――

1、兵庫県内のクマが7年間で6.5倍に増加した(年間増加率30%)等と、目撃数と捕獲数の増加 を2大因子とする(注)偏った推定計算に基づき、(注:兵庫県は、クマ生息地住民に集落周辺でのクマ目撃を報告するようにと最近再三呼び掛けており、報告に基づいてハチミツ入り捕獲罠を多数設置するようになってきています。このような状況下では、近年、集落周辺に棲むことを余儀なくされているクマたちにとって、目撃数と捕獲数が増えるのは当然で、その数から生息数を推定すると、クマ数が激増したことになってしまう)
2、クマが中間値650頭にまで増加していると推定して、今後は捕獲したクマを原則殺処分し、
3、生息推定数が800頭を超えた時点で狩猟禁止を解除する。
―――――――――――――――――――――――――――
という、恐ろしい内容になっています。

戦後の①拡大造林による奥山生息地の広大な喪失や、近年著しく進む残された②自然林の原因不明の劣化(酸性雨?温暖化?)によるクマたちの食料不足(自然林内の虫、魚などの大量消滅、木々の実りの不調)などの環境悪化については一言もふれておらず、クマが山から出てくるようになったのは、ただ単にクマが大量増加したからだとしています。生きられなくなって奥山から出て来て、集落近くに集結しているクマたちのドーナツ化現象を理解されていないようです。
ツキノワグマの捕殺を推進し絶滅させかねない、兵庫県の計画案の見直しを求めるため、心あるみなさんにパブリックコメントに応募していただきたいです。兵庫県民以外でも、どなたでも応募できます。

◆熊森の見解

この計画案は、クマの人里出没の原因である奥山生息地の喪失や荒廃などによる食料不足について全くふれていないばかりか、「兵庫の山は食料が豊か」と事実誤認している。さらに、科学的根拠を欠く推定生息数に基づき、ツキノワグマが異常増加したとして、捕殺を推進するものとなっており、とうてい認めることはできません。

このような、ツキノワグマの絶滅に拍車をかける計画案を根本的に見直すことを求めます。

【パブリックコメントについて】
Q1「兵庫県第3期ツキノワグマ保護管理計画案」は、どこで見られますか?
A 兵庫県庁のホームページで見られます。

Q2 意見はどうやって、どこに提出すればいいのですか?
A 記載様式は自由です。郵送、メール、FAXでご送付下さい。
【送付先】〒650-8567 神戸市中央区下山手通5-10-1
兵庫県農政環境部環境創造局自然環境課野生鳥獣係
Fax:078-362-3069
e-mail:shizenkankyo@pref.hyogo.lg.jp

Q3 保護管理計画案を読んでみましたが、むずかしくて分かりにくいのですが?
A 分かりにくく書かれていますが、思ったことを素直に書いていただいたらそれで大丈夫です。一行でも声を届けることが大切です。
【住所】 【氏名】 【電話番号】が必要です。

1月8日 社会問題に目を向けた子どもたちのミュージカル

地球人口70億人突破、人口爆発が止まらない、来るべき食糧難、水不足、核兵器を含む戦争の危機、環境破壊、放射能汚染・・・・・社会のことをまじめに調べれば調べるほど、今の子どもたちは、未来が絶望的になっていくはずです。そんななかで、社会問題に目を向けた子供たちが作ったミュージカルを、東京小平市で見る機会を得ました。

歌え♪命の星のメッセー

どんなミュージカルになるのか、内心不安でもあり怖くもありました。しかし、見に行って本当によかったと思いました。子供たちの熱演もすばらしかったし、 台本も見事でした。2025年の地球にワープしてみると、人間の子供たちも、動物たちも、みんな、環境破壊や放射能汚染で生きていけなくなって苦しんでい ました。

ミュージカルに登場した人間の子供たちや動物たちが望んでいるのは、ぜいたくでもなんでもなく、きれいな水や空気、汚染されていない大地や食料でした。私 たちが子供の頃は、当たり前に存在していたものばかりです。みんなが、「生きたい!」と叫んでいるのが伝わってきて、涙が止まりませんでした。日本中の大 人たちに見ていただきたいミュージカルでした。

帰り道、大人が大人としての責任を果たさなくてどうする、思考停止や白紙委任から脱出して、今まで以上に声をあげ行動しようという力が湧いてきました。作、出演者、裏方・・・、このミュージカルに関わったすべてのみなさんを讃え、心からの感謝を伝えたいと思います。

1月21日 本部森再生チーム本年初出動 チェンソーでスギ間伐43本

本部くまもり森再生チームの活動場所である兵庫県北部の山々は、今、雪に埋まっています。というわけで、森再生チームの出番は、例年、春からです。しかし、今年、地元から、雪のない山があるからと、新年早々、間伐を依頼されました。調査がてらに、4名で出かけまし

ヒノキの放置人工林です。外から見ると、青々としています。しかし、中に入ってみると・・・

これはひどい。内部は真っ暗で、草1本生えていません。そのため、表土が雨で流れ落ちてしまって、地面はガサガサです。ヒノキの放置人工林は、スギの放置人工林以上に、荒廃するのです。

これでは、クマどころか、虫も棲めません。

しかし、兵庫県行政の依頼を受けた兵庫県立大学の研究者たちは、兵庫の山は戦後、はげ山がなくなり、森林面積が拡大し、動物たちの餌は山に豊富にあると発表しています。ほんとうに、メディアと兵庫県民のみなさんに、この山の実態を見ていただきたいと思います。

近くで、カキの種がいっぱい入ったフンを見つけました。大きなフンでしたが、時間がたっているようで、あらかたが消えつつありました。クマのフンではないかと思われました。里のカキを食べて生き延びたんだろうか。どうか元気で生きていてほしいと思いました。

行政は、クマがカキを食べに人里に出て来ないようにと、カキの木を地元の人たちにどんどん伐らせています。このような話を聞くたびに、人間として、心が凍りつきそうになります。

山の調査をいくつか終え、昼食。

その後、チェンソーで、山主から頼まれたスギの放置人工林の間伐を行いました。本日の成果は43本です。ずいぶん山が明るくなりました。

熊森がボランティアで山を間伐してくれるというのを聞いて、山林所有者からの依頼が次々と誕生しています。

生きられなくなって山から出て来た動物を害獣として殺すのではなく、人工林を間伐して広葉樹林を復元し、動物たちが山に帰れるようにする。くまもり活動は、獣害に悩む地元の人たちのためにもなります。

このようなやさしい流れを全国に広めるため、今年も、熊森は会員のみなさんの会費を使って、本部、支部、地区、一丸となって森再生活動を大展開していきます。みなさん応援して下さい。

細見谷渓畔林での幹線林道の建設を 1月19日、広島県が断念!

広島県に最後に残されたクマの棲む豊かな自然林、
(安芸太田町)細見谷での幹線林道の建設を 1月19日、広島県が断念!

(広島県庁担当者)「今回の断念は、環境保全のためで はなく、財政難が唯一の理由です」

細見谷を西中国山地国定公園特別保護区に格上げし、ツキノワグマの聖域にするという大事な課題が、保護団体に残されていることがわかりました。

川の横の現在の地道林道。ここの拡幅舗装工事が撤回されました。

3月12日、細見谷渓畔林訴訟に対する判決がおりるそうです。ご注目下さい。

自然林再生のためのチェンソー講習会のお知らせ

熊森本部では、自然林再生のための人工林の強度間伐を、今春より次々と予定しています。実施するにあたっての、技術講習会を下記の日程で開催します。ふるってご参加ください。

ステップ1(座学)
第3回 2月4日(土)  10:00~16:00 

10:00 本部事務所集合

受講料    会員500円 一般1500円

定員      6名(先着順)

持物      筆記用具、軍手、昼食、保険証をご持参ください。

間伐や除伐など、山林の手入れをするのに威力を発揮するチェンソー。といっても、いきなりチェンソーを渡されても、エンジンはどうやってかけるの?

燃料は何をつかうの?などなど分らないことがたくさん!研修会ではそんなチェンソーのノウハウをしっかりと身につけることができます。

●チェンソーを使った安全な間伐研修をステップ1~ステップ3の3段階に分けて開催します。

※(ステップ2、ステップ3は来春実施予定)

●伐倒、チェンソー未経験の方でもご参加頂けます。

●軽量チェンソーを何台か本部で用意していますので、女性でも十分参加できます。

●最小遂行人数は3名です。

申込み方法  一般財団法人 日本熊森協会まで 電話・メール・FAXでお申込みください。(担当:斉藤)

☆ご不明な点は必ずお申し込み前にご質問ください。

↓ 講習会の様子

1月14~15日「1万人の脱原発世界会議 2012 YOKOHAMA」開催!

横浜で1万人規模の脱原発大集会が開催されるということなので、みなさんにお知らせします。インターネットでも、全世界に発信されるそうです。

以下は、合同出版社からの情報です。

2012年1月14~15日開催 「脱原発世界会議 2012 YOKOHAMA」
[前売りチケット完売間近!]
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世界の叡智をあつめ「原発のない世界」を実現するための具体的な行動を生み出す集会。
コンセプトは、「インタラクティブ(双方向コミュニケーション)」。
総勢1万人の大集会(各種分科会/シンポ/イベント/展示/活動交流の場)に是非ご参加ください。

公式サイト:http://npfree.jp/

■日時:2012年1月14・15日(土・日)
■場所:パシフィコ横浜
〒220-0012 横浜市西区みなとみらい1-1-1
http://www.pacifico.co.jp/visitor/accessmap.html
■チケット:★売り切れ間近! http://npfree.jp/ticket.html
脱原発世界会議オフィシャルWEBショップ「脱原本舗」または、ローソン
にてお買い求めください。
■内容:プログラム詳細 http://npfree.jp/program.html
参加ゲスト一覧 http://npfree.jp/program/guest-lisg.html

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