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カテゴリー「くまもりNEWS」の記事一覧
NHKテレビニュース神戸放送局 11月2日
- 2016-11-03 (木)
- くまもりNEWS
ツキノワグマ猟解禁前に講習会 より (テレビニュース画面)
兵庫県で、ツキノワグマの狩猟が20年ぶりに解禁されるのを前に、ハンターたちが、安全対策などを確認する講習会が開かれました。
県庁で開かれた講習会には、ツキノワグマの猟を希望するハンター、およそ90人が参加しました。
はじめに、県森林動物研究センターの担当者が、「クマはふだんは用心深く、人に気づくと隠れたりするが、追い詰められると、相手を攻撃して逃げ出す性質がある」として、猟の際にはクマの反撃に警戒するよう呼びかけました。
また、講習会では、▼クマを確実に仕留めるための銃の使い方や、▼ハンター同士で事故を起こさないよう、つねに銃口の向きを確認するなどの安全対策について、説明があったということです。
ことしは全国各地で、クマに人が襲われる被害が相次ぎ、県内でも、先月17日に、宍粟市で60歳の男性がクマに襲われて、手首を折るけがをしました。
兵庫県は、こうした被害を防ごうと、今月15日から、20年ぶりにツキノワグマの猟を解禁することにしており、940頭と推定される県内の生息数を、800頭前後に減らしたい考えです。
参加した兵庫県猟友会の西川義丈会長は、「クマは木にも登るし、動きも素早いので、不安もあるが、事故を起こさないよう、しっかり気を付けて、猟に臨みたい」と話していました。
ハンターの声
「シカとかイノシシが主やからねえ。どうしても熊が自分の方に向かってきたときはしゃーないなと。わざわざクマを撃ちたいとは思いません」
「出てきたら、まあ許可出てるから撃とうかなと思います。基本的には取らない方がいいと思います。カキを植えるとかドングリを植えるとか、そちらの方に進むべきやと思います」
一方、ツキノワグマの狩猟解禁に反対する西宮市の自然保護団体、「日本熊森協会」は、講習会が行われた県庁前で、ハンターたちにチラシを配りながら、猟をしないよう呼び掛けました。
協会の室谷悠子副会長は、「ツキノワグマは、環境の悪化で山奥に住めなくなっており、そうしたなかで、猟を再開するのは問題だ。合理性がない。山の事情をよく知るハンターたちだからこそ、クマ猟を行うべきではないとわかるはずだ」と話していました。
「クマが怖い」という言葉が怖い
- 2016-11-02 (水)
- くまもりNEWS
「クマにあったらどうするか」(ちくま文庫)を読みました。アイヌ最後のクマ撃ちと言われる姉崎等氏から見た、北海道のクマと森が語られており、大変興味深い本です。
姉崎氏は2013年に90歳で亡くなられています。姉崎氏の語りをこの本にまとめられた片山龍峯氏も、もう亡くなられています。
生前、熊森と接点がなかったことを本当に残念に思うと共に、本を残してくださったことに心から感謝します。
「クマは私の師匠」と生前語っていた姉崎氏は、クマを追う一方、広葉樹の少なくなった山を憂えて、クマが暮らしやすい自然環境を守ること を訴え続けておられました。木の実がならない針葉樹の人工林が増えることの弊害と、クマが暮らせる山の自然を守ることの 大切さを訴え、「動物と人間の境界線が大事と考えていた」と娘さん。クマを知り尽くした人の語る言葉は貴重です。ブログでも何度か紹介していきたいです。
以下、ある章の姉崎氏の言葉をまとめてみました。
(1)「クマが怖い」という言葉が怖い
クマが怖いものだっていう、その言葉が怖いんだよね。クマが暮らせるようなある程度の環境を作ってやると、クマはそんなに怖くないんだってわかると思う。
山で働く人たちは、クマの足跡を見ても、「おう、クマの足跡だ」って普通に思っているだけ。クマがいるんだけど、それで人を襲うかっていうと襲わない。
いつの間にか、人もクマも学習して、出会わないようにうまく暮らしている。
ところが都会近くにクマが出たら、集団下校だとか、ハンターを頼んで山をワーワー騒がしくする。するとクマの方もいつもと様子が違うから、精神的に緊張する。
クマに対して人間も学習しないといけない。クマは危険なものだっていう考え方を改めないといけない。一般の人がクマを見ると、クマに襲われた本や新聞を見て、すぐに危ないと騒ぐ。人もクマもゆっくり学習できる時間が必要。
(くま森から)
「クマが出た」と、テレビで連日、大の大人がギャーギャー騒ぎ立てるのを、本当にやめてほしいと思う。
クマが人間の所に出て来て何をしたかというと、何も変わったことなどしていません。お腹がすいたから、何かを失敬して食べただけのことです。動物だから、おなかがすくし、山にえさがなければ、生きるために山から出て、里に食べ物を探しに来る。当たり前のことです。
キャスターは、落ち着いた声でゆったりと解説してほしいと思う。ギャーギャー騒ぎ立てて報道すると、そんなに大変なことなのかと、国民がクマを怪物のように恐れだす。まさに、その言葉が、クマを怖くするのです。
今、姉崎さんの言われるように、動物と人間の境界を再構築することが大事です。その時、クマと人の境界がなくなる原因を作ったのは、クマではなく一方的に人間であったという事実は、人として忘れてはならないでしょう。
本部11月2日 安全講習会に参加の狩猟者のみなさんに、クマを撃たないようにお願い
- 2016-11-02 (水)
- くまもりNEWS
今日の午後、兵庫県クマ狩猟再開のための安全講習会が、兵庫県庁西館で開催され、県庁担当者によると90人の猟友会の方々が参加されました。明日も同じ講習会が予定されており、残りの方が参加される予定です。
熊森本部は、兵庫に800頭もクマはいないとして、参加者の猟友会のみなさんに、「クマを撃たないでください。共に、森の再生をしましょう」と、みんなで必死に呼びかけました。
西館入り口付近で「クマを撃たないで」と、猟友会員にチラシを配って呼び掛ける熊森本部
「クマを撃ちたいから来ているのに」と、熊森のチラシを返してくる人や、チラシを読みながら説明会場に入って行かれる方など、反応はさまざまでした。
猟友会員の言葉から
「人殺しグマを退治せなあかんやろ」
「あんたら心配せんでも、そんなに獲られへんと思うで。山に入ってもクマに会うことなんかないもん」
「集落の裏にクマがいるというけど、猟期が始まると一斉にどこかに消えてしまうで」
「長いこと狩猟してないんやから、狩猟せな増えすぎてしまうやないか」
「山が荒れてクマが棲めないというけど、まだシカがあんまり入っていない山もあって、そこにはクマがおるよ。見てるもん」
やはり、みなさん、クマを撃とうと思って集まって来られていました。
(熊森から)
ー兵庫県のクマが爆発増加して940頭になっているー
事実誤認でも、権力とマスコミがバックに付くと真実になって行く。恐ろしいことだと思いました。
生息地を壊されたクマが、里に次々と出て来て、地元のみなさんが困っておられるのは本当ですが、爆発増加していることにして、狩猟で殺して終わろうとする。こういうことを考える人間のきたなさ、他生物への思いやりのなさを、本当にもう人間やめたくなるほど恥ずかしく思います。いつか、真実が人々に伝わる時がきっと来ると思いますが、その時は手遅れかもしれません。
ともあれ、熊森は、何があっても、これからも真実を伝え続けていきます。
人間が狩猟などしなくても、本来、自然界は全く困りません。絶妙のバランスをとっていきます。人間が手を入れる度に、自然は劣化してバランスが取れなくなっていくのです。
兵庫県のクマ狩猟再開を考える くま森緊急集会
- 2016-11-01 (火)
- くまもりNEWS
①10月22日(土) 兵庫県民会館(神戸市)
第1部 佐藤八重治氏 講演会
実直そのものの佐藤氏の体験に基づいたお話に、みなさん聞き入っておられました。クロちゃんを飼育してみてわかるようになったこと、「クマはとてもかしこくてやさしい動物なんですよ」ということが伝わったと思います。
クマ狩猟なんて、スポーツじゃない。人身事故を増やすだけだというのが、20年間クマ撃ちに携わった佐藤さんの結論です。
第2部
意見交換会
活発な意見交換ができました。
(熊森から)
クマを1頭仕留めるとあまりにも高く売れるため、利権が絡んできます。
佐藤さんがクマ狩猟をやめようと思った大きな原因の一つは、ハンターたちの違法行為があまりにも多かったことだそうです。
人間、もうかるとなると、狂いだす。犯罪の温床になっていきます。以前、暴力団員の家宅捜査をしたとき、押し入れから熊の胆がたくさん出てきたというニュースがありました。熊の胆が、暴力団の資金源になっていることがわかりました。
本来、春の熊の胆が高値で売れるのですが、他の季節の熊の胆を春の熊の胆と偽って売る方法があります。実際にあるところの猟友会の方たちから、実物を見せていただき、説明を受けました。「バレませんか」と尋ねると、「一つ80万円で売る。バレたことはない」という答えでした。
今回の兵庫県のクマ狩猟再開が、人身事故や、密猟、無届け、熊の胆偽装などの犯罪を引き起こすもとになることは十分に考えられます。
その時は、クマ狩猟再開を進めた兵庫県森林動物研究センターの研究員や、県担当者は責任をとっていただかねばならないと思います。
②10月23日(日)兵庫県朝来市和田山公民館
西宮市の熊森本部から会場に行く道中、佐藤氏は車窓から兵庫の山々を見られて、「兵庫の山にはクマなど棲めないよ。どんな生き物も棲めないよ。山形にはここまで内部荒廃した山はないよ」と、山の荒廃ぶりに驚きの声をあげ続けておられました。
第1部 佐藤八重治氏 講演会
第2部
意見交換会
クマ生息地のどまんなかで実施したため、地元猟友会の方も何人か来てくださいました。
「山なんか死んどるわ」
この地元の声を、都市部のみなさんにも聞いていただきたかったです。そのうち①も②も、発言内容をまとめてみたいと思っています。
今回の兵庫県のクマ狩猟再開は、兵庫の山は大変豊かであるという前提の上に成り立っています。
食料豊富な山があるのに、あつかましくも人間の所にクマたち野生動物が出て来たのは、増えすぎた証拠であり、獲ってしまえというわけです。
しかし、おもしろいことに、地元で集会を持つと、まずこの前提が嘘であることを、熊森が説明しなくてもみんな知っているのです。クマが臆病で平和的な動物であることを知っている人もたくさんいます。
地元集会での意見を、県庁の鳥獣対策課のみなさんや都市のみなさんにぜひ聞いていただきたいと思いました。地元のみなさんの声を聞いて、今回の兵庫県のクマ狩猟再開が、地元や猟友会の声を聞かずに企画されたものであることを改めて実感しました。
佐藤さん、遠く山形県から来てくださり、本当にありがとうございました。兵庫県民がクマ狩猟再開問題を考えるいいきっかけを作って下さいました。
10月15日秋田県クマ捕殺数すでに県内過去最多450頭、県が猟友会に狩猟自粛を要請
- 2016-11-01 (火)
- くまもりNEWS
以下、秋田魁新報より
秋田県自然保護課によると、本年度に捕獲されたクマは15日までに計450頭に達し、統計が残る1963年度以降最多だった2001年度の420頭を超えた。個体数を調整するため春先に計画的に行う捕獲(=春グマ狩り)は今年、19頭だった。残りの431頭は全て有害捕殺で、全体の96%が住宅地や農地の近くで出没したことになる。地域振興局別では北秋田の119頭が最多で、仙北が78頭、鹿角、雄勝が53頭ずつと続いた。
県が定めたクマの保護管理計画では、保護のため年間の捕獲総数を推定生息数の10%までにすると定めている。県は今年4月時点の県内の生息数を1015頭と推定していることから、今冬の狩猟期間の対応を検討。19日に県の助言機関である県野生鳥獣保護管理対策検討委員会から「クマ猟を自粛すべき」との意見が出されたことも踏まえ、狩猟自粛の要請を決めた。
(くま森から)
いくらなんでも、生息推定数の半分を1年で殺してしまうなど、駆除し過ぎです。人間で言うと、1億2700万人の日本の人口を、一挙に6350万人にするのと同じです。
年間の捕獲総数を推定生息数の10%までにするというきまりはどうなったのでしょうか。
さすがに環境省から獲り過ぎだという指導が入ったのではないかと思いましたが、何もないそうです。(うーん、何のための環境省か)
一体、秋田県で何が起きているのか、秋田県庁自然保護課に聞いてみました。
秋田県では、クマの捕殺許可は、県の出先が持っています。
<2016年度 月別捕殺数一覧>
4月…7頭
5月…16頭
6月…43頭
7月…70頭
8月…180頭
9月…99頭
10月15日現在…35頭
担当者の話では、今年は雪解けが早くて、早くからクマが穴から出て来ていたそうです。昨年ブナが豊作で、一斉にメスグマが子を産んだらしく、子グマがたくさん見られたそうです。秋田では、有害捕殺したクマの体は、丸ごとハンターのものになるそうで、その際、胃内容などの報告を義務づけているということです。夏に人里に出て来て駆除したクマの胃内容は、ほとんどが空っぽという報告だったそうです。秋田のクマの夏の食べ物がなかったことがわかります。
明日から11月、かなり寒くなってきているので、今後はもうあまり人里には出てこなくなるのではないかということでした。冬籠りに入るのは12月の初めごろだそうです。秋田では捕獲罠にかかったクマは全て捕殺することになっています。「子連れグマを獲るな」というようなしばりはないそうです。
県としては、狩猟の自粛を猟友会に呼びかけましたが、呼びかけただけだそうです。去年、狩猟期に秋田で捕獲されたクマは5頭ぐらいということですから、狩猟を自粛したところでほとんど影響はないと思われます。
問題は、どうしてこんなに多くのクマが、夏に人里に出てきたのか。何か秋田の山も一挙に森林荒廃が進んできたのではないかと心配です。しかし、今月に開いた有識者の会議でも、そのような異変は発表されなかったそうです。耕作放棄地が増えているということでしたが、それは何も今年に始まったことではないので、今年、大量のクマたちが山から出てきたことの説明にはならないと思います。
春に北秋田市のネマガリダケの現場で死者が4人出たことが、クマは危険、山から出てきたらみんな殺してしまえとなったのでしょうか。残念ながら、秋田県には熊森の支部がないため、どうしてこんなに大量捕殺されることになったのか、くまもり本部も今のところはつかめていません。飽食日本人に、野生鳥獣との共存姿勢など、なきに等しいですね。
クマ狩猟を実施している岐阜県のクマ生息林調査
熊森本部は、10月16日、研究者にもご参加いただいて、総勢9名で岐阜県のクマ生息林を兵庫県の山と比較しながら調査しました。
初めに調査した山は奥飛騨にある山で、70年程前に1度伐採されています。そのため、先駆種のカバノキ科やシデ類が多い林でした。下層植生はオタカラコウにそっくりのメタカラコウや、オオイタドリ、アカソ、アキノキリンソウ、カメバヒキオコシ、マルバユキザサ、マルバフユイチゴなどです。
この山の向かいにある国有林は、森林遷移の最終である極相状態の非常に豊かな山です。天然のブナやミズナラと、クロベ、チョウセンゴヨウ、サワラ、シラビソ、オオシラビソ、トウヒなどの針葉樹が生えています。将来的には、このあたりの山は、伐採後放置すると、この国有林のような針広混交林に遷移していくと思われます。
国有林
国有林内はササが繁茂していました。ここには、20年前の兵庫県の山の姿が残っていました。クマ狩猟を認める訳ではありませんが、こんな林なら隠れ場があり、そう簡単にはクマも狩猟されないだろうと感じました。
部分的にササが一斉開花しているところがありました。
チマキザサ?チシマザサ?この時期の判別はむずかしい。
この辺りの地質はとても崩れやすく、あちこちで崩れていました。山が崩れることも自然なので、人家に影響がない限り、放置しておけばいいと思います。
ところどころ、巨大な堰堤が造られていますが、それにヒビが入っていました。
この日は、この下流の宿に宿泊しました。この堰堤が崩れたら集落が影響を受けると言われて、そういう場所では何とかしなければならないと思いました。
宿舎で、御主人からイヌワシやクマの話を聞きました。
地元の人達にとって、クマがいるのは当たり前だそうです。庭のクリの木にもクマが来るそうです。クマを見かけて通報するのは観光客だと言われていました。
クマの存在を許容している人々は、このような奥地に行くと今でも全国どこでも普通におられます。クマは本来、平和愛好家で、人と共存できる動物なのです。兵庫のクマの専門家と呼ばれる研究者のみなさんに、この真実を知っていただきたいです。
次の日、10月17日は飛騨高地にある白川郷の近くの山を見に行きました。
このあたりは自然林がとても多くて、動物が棲めそうな山がたくさんありました。
カモシカの角研ぎの跡がありました。
チョウセンゴヨウマツについたカモシカの角研ぎ
古いクマの爪痕も見つけました。
ウワミズザクラについたクマの爪痕
林道を1時間ほど車で走っていると、突然、車の10メートルほど前を、黒い大きな動物が一瞬横切りました。クマかカモシカでしょう。
樹齢120年ほどのブナ林や、遷移段階の白樺林、その上には樹齢200年ほどのブナ帯など非常に豊かな植生でした。また極相状態の針広混交林も残っており、動物にとってはいろいろな種類の自然林が点在する本当にいい場所だと感じました。
岐阜県の人工林率は、県平均44%で、林業県として有名です。しかし、奥地にはまだ豊かな自然林がたくさん残っていることがわかり、ほっとしました。地方や県によって、山のようすが随分違います。
ここは道路を作ったからでしょうか。山が恐ろしく崩れていました。
山も野生動物も、人間が手を付けると、取り返しのつかないことになっていきます。
今回、日本にまだ残っていた動物の棲める森に入っていろいろと勉強することができ、幸せでした。わたしたち人間の心身まで豊かになりました。(但し、お年寄りは、山の樹木の葉の量や実りの量が昔と比べて激減していると嘆かれます。昔を知らない私たちには、本来の自然がわかりません)
兵庫県クマ狩猟希望者140人募集に、2つの重大な計算ミス(追加編)
- 2016-10-18 (火)
- くまもりNEWS
兵庫県が今回140人の狩猟者を募集しているのは、計算ミスによるものです。
①坂田宏志氏のツキノワグマの個体群動態の推定(兵庫県2015 年)によると、
2015年の個体数は、人為的死亡個体数を引く前の段階で中央値940.0頭(90%信頼限界では691.1~1,212頭)、2015年末の段階で中央値919.0頭(90%信頼限界で670.1~1,191頭)で、2014年から個体数が増加していると推定された。
と書かれています。
ならば、2015年の有害捕獲後のクマ数は919頭ですから、2016年度は119人しか狩猟者を募集できないはずです。
②さらに、環境省の安定生息数800頭に、兵庫県はこだわっているようですが、環境省は、成獣が800頭いれば安定としています。
兵庫県が環境省規定に従ったというのなら、919頭の推定総数のうち、成獣ではない数を引き去らねば安定個体群かどうか判断できません。
実際の兵庫県のクマ数で計算してみます。
4 歳以下が幼獣・亜成獣とされていますが、
兵庫県のクマ総数からから、とりあえず1歳及び2歳の幼獣数を引き去ってみましょう。
兵庫県の発表によると、
2015年の終わりの熊生息推定数総数は919頭です。
2014年の終わりは、813頭ですから、1歳グマは919-813=106頭います。
2013年の終わりは、688頭ですから、1歳グマは813-688=125頭誕生したはずです。
兵庫県は生まれた子グマの生存率を0.933としているので、1年後に生き残った2歳幼獣は、125×0.933×0.933=108頭となります。
つまり、2016年の初めに於いて、熊生息推定数総数は919頭であり、1歳児2歳児の合計106頭+108頭=214頭を引くと、成獣は705頭です。
兵庫県が環境省の規定に従うためには、2016年頭のクマ成獣は705頭ですから、2016年度は1頭も狩猟できない訳です。
10月11日の井戸知事の記者会見で知事に「推定生息数が絶滅する恐れが当面ないレベル(800頭)を上回る940頭まで回復してきたと推計されています。」と言わせた担当部署の認識ミス・計算ミスは、大きな責任問題だと思います。クマの命を奪う兵庫県の計算がいかにずさんなものであるか、推して知るべしです。
喜びも悲しみも人間と同じようにあるクマの命を、数合わせゲームのようにもてあそぶ兵庫県のやり方に乗りたくはありませんが、乗ったとして、この2点を計算し直して、狩猟者数を募集し直すべきです。きちんとした数が出るまで、狩猟希望者の募集は中止すべきです。
当協会は10月8日、兵庫県当局に対してこの件で公開質問状を提出しました。
お返事が来たら、ブログでご紹介します。
猟友会員のみなさんに告ぐ・・・兵庫の山は大荒廃、クマ狩猟者に登録しないでください
- 2016-10-18 (火)
- くまもりNEWS
兵庫県は、10月11日か~10月26日までの期間、クマ狩猟希望者(定員140名)を募っています。
私たちはこれまで、何人もの兵庫県のクマ生息地(但馬地方)の猟友会の方々が、クマを狩猟したい猟友会員などまわりにいないと証言されるのを聞いてきました。
10月17日の神戸新聞にも、以下の記事がありました。(一部抜粋)
同センターが昨秋、猟師約850人に実施したアンケートでは「クマを撃ち たい」としたのは15%。禁猟前には養父市で4頭を狩った丹波市の男性も数年前、猟 銃を手放し、「知る限り、周りに進んでクマを撃ちたいという猟師はいない。犬を殺さ れることもあり、銃を持っていても怖い」と話す。
猟友会員のみなさんは、誰よりも兵庫の山をご存知です。兵庫のクマが人間に生息地を破壊されて生きていけなくなっていること、食料を求めて集落の周辺に出てきて目撃数や捕獲数が増えているが、それと生息数が増加したかどうかは関係ないこと、クマは爆発増加などしていないこと、みんな感覚でご存知です。
森林動物研究センターの研究員と県の担当者が組んで、兵庫のクマが爆発増加したことにしていく様を、茶番だと笑っておられたのは猟友会のみなさんです。今のように生息地を破壊したままクマ狩猟を再開したら、クマが滅びてしまうことがわかっておられるのも、猟友会のみなさんです。狩猟を再開することによって、獲り過ぎてしまうのではないかと大変危惧されていましたね。
兵庫県の猟友会員のなかには、高いお金を払って、海外へライオンなどを撃たせてもらいに行っている人もいるようです。丸腰の猛獣の命を高価なライフル銃で奪うことが、快感を伴う遊びになっているのでしょう。
そのような人が今回のクマ狩猟再開に応募されるのではないかという猟友会員の声も聞いています。
誰よりも山のことクマのことを知っておられる猟友会員のみなさん、どうか兵庫県のクマ狩猟に応募しないでください。
今回兵庫県が、クマ狩猟を再開するにあたって、猟友会の声と地元の声を聞かなかった理由は、狩猟を再開すべきという声がないことを知っているからでしょう。
一体誰が兵庫のクマ狩猟を再開したいのでしょうか。
10月13日 とよ君近況
- 2016-10-14 (金)
- くまもりNEWS
とよは、お寺のみなさんの愛情を毎日たっぷりと受けて、とても元気に育っています。
くまもりお世話隊も、とよの世話をそれはそれは楽しみにして、毎週木曜日に出かけています。(参加希望の方は本部までご連絡ください)
プールの給水係も、とよの為にせっせと水を運んでいます。(こちらも手伝ってくださる方を募集しています)
会員作製の、とよ君の専用水飲み容器(ステンレス製)が新しく設置されました。
すごく立派です。これで、こぼさずに済むね。
さっそく、とよはジャボジャボ水を飲んでいます。
秋になって、食い込みがどんどん進んでいます。ドングリを集めて下さる方々から届いたドングリです。
秋になって食べるものは、ブドウ・栗・ドングリ・柿・リンゴなど(好物の順)です。
ドングリは、コナラ・アベマキ・クヌギしか食べません。お送りくださる前に種類のご確認をお願いします。
うれしいな みなさんありがとう(最近1週間の食べ物:クリ・ドングリ40㎏+果物+クマフード)
ひさしの上に置かれた柿を発見
クマだからね、こんなところにさっと登れるよ
木の上につるされたブドウを発見
クマだからね、木にも簡単に登れるよ
お世話隊のみなさん、いつもありがとうございます。
これまで獣舎に入れられたとよを不憫に思っていたけれど、兵庫県の山にいたら今年から、スポーツやアウトドアとして、山にひっそりいるだけで人間にライフル銃で撃ち殺されるんだよ。
痛いだろうな。つらいだろうな。どんなに悲しいか。クマだって人間と同じ心を持っているのに、それがわからない人たちがいるのかな。
銃で撃たれても、野生の方がクマにはいいという人がいるけれど、自分が撃たれることがないからそんなこと言っているんだろうな。
兵庫県知事、ツキノワグマ狩猟20年ぶり解禁決定を発表
- 2016-10-13 (木)
- くまもりNEWS
兵庫県井戸敏三知事は10月11日の定例記者会見で、ツキノワグマ狩猟20年ぶり解禁を発表しました。
以下は、10月12日に放映された NHK News Up 20年ぶりクマ狩猟再開へ 保護との両立は?です。
兵庫県でも目撃増加
兵庫県では、今のところ人的被害はありませんが、ここ数年は、人里近くでもクマの目撃情報が数多く寄せられるようになりました。目撃の件数はことしに入って9月までに334件で、6年前から多い状況が続いています。
このうち、兵庫県中部にある多可町ではことし6月、クマが道路を横切る様子がドライブレコーダーに写りました。現場はこれまでほとんど目撃がなかった地域にあり、町では山登り大会が中止になるなどの影響も出ています。
また、クマの目撃が増えている県北西部の養父市では、地元の警察が目撃地点や時間帯をまとめた地図を配って、住民に注意を呼びかけています。
出没の理由は
クマの出没が増えていることについて、兵庫県森林動物研究センターは、ツキノワグマの生息数の増加と行動範囲の拡大によるものだとしています。
センターによりますと、県内のツキノワグマの生息数は現在、推定で940頭。兵庫県が狩猟を禁止して保護を始めた20年前は100頭未満だったとされ、およそ10倍に増えたことになります。さらに、ことしは、えさとなる木の実が不作で、食べ物を求めてクマの行動範囲が広がったとセンターは見ています。
クマの狩猟解禁へ
このままでは人が襲われる被害が起きかねないとして、兵庫県はツキノワグマの狩猟を20年ぶりに解禁することを決めました。狩猟期間は冬眠前で動きが活発になる時期に合わせて、11月15日からの1か月間とされました。また、生息数を減らしすぎないようハンター1人につき1頭の捕獲を許可し、県全体での捕獲数は140頭までとなりました。ツキノワグマは絶滅のおそれがあるとして、九州、四国、中国の各県や東京都や京都府など22の都府県が狩猟を禁止していますが、解禁を決めたのは兵庫県が初めてだということです。
反対の声も
この決定に対し、兵庫県内の自然保護団体は「狩猟の解禁で再びクマが絶滅の危機にひんする」と反発を強めています。この団体は6600人余りの反対署名を県に提出して、「クマが人里に出没するのは環境の悪化が原因であり、生息数が増えたからとは言えない。狩猟が始まれば、クマが人間を怖がり、事故を引き起こすおそれがある」として狩猟の再開を取り消すよう求めています。
今後の行方は
兵庫県は「人的被害を避けるためのやむをえない措置だ」として、理解を求めていくことにしています。また、ハンターが捕らえたツキノワグマについては、兵庫県が発育の状態や繁殖経験の有無などを調べ、今後の保護政策に生かしたいとしています。来年度以降も狩猟を認めるかどうかはいまのところ未定で、人的被害の未然防止と野生動物の保護をどう両立させていくのか、兵庫県の今後の取り組みが注目されます。
(熊森から)
兵庫県では、クマの生息地であった奥山冷温帯の多くの山が、人工林も自然林も人間活動によって大破壊されており、もうクマたちが棲めるような状態ではありません。兵庫の奥山を1度でものぞいてみたことのある人は、年々棲めないまでに劣化していく奥山と、過疎化高齢化が進む人里を見て、クマの人里現象を理解できるはずです。
人間のためにも、被害防除と生息地復元を!殺さない対策が一番優れており、それ以外は、一層生態系を混乱させて失敗に終わります。
今回、狩猟再開反対の声があることを取り上げてくださったのは、NHKだけでした。本当にありがとうございます。これからも受信料を払おうという気になりますね。異論のあるものに対しては、両論載せてくださらないと、一般国民は何が正しいのか考えられません。
クマ狩猟再開の問題点に気づき、中止を求めてきたみなさん、10月末に予定されている第2次集約に向けて、今後も黙々と反対署名を集めていきましょう。本部では、他生物に畏敬の念を持つ祖先のやさしくてすばらしい文化を守るために、次の動きを考えています。みなさん、がんばりましょう。