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2012-08

7/23、24 東北で進む安易なクマ駆除の実態を視察して唖然 ③

東北では、いまだにこんなに簡単にクマたちが殺されていたのか。唖然としました。

事例1 スイカ畑にクマが出た!

(確かにクマの足跡が畑についていました)


指摘1 ここは山の中。クマの国に農地を開墾。

指摘2 追い払い、防除策(電気柵など)など皆無。

指摘3 谷に捨てられた売れないスイカが、クマを誘引している。

   

皮の白い色が見えるまで、きれいに食べ尽くすのがクマ。

 

このような状態で、クマを即、有害駆除してしまうなどあんまりです。非会員の方たちが、畑の持ち主に、「クマを誘引しないように、廃棄スイカは土に埋めてほしい。電気柵はクマに有効なので、防除努力をまずしてほしい」とお願いしてくださったところ、畑の持ち主さんは了解して下さったそうです。

この町の畑には、クマ捕獲罠があちこちに設置されていました。

  

どの罠の中にも、クマの大好物であるハチの巣が入っていました。

指摘4 これでは、関係のないクマまで、山から出てきます。

1つ目の檻は、有害駆除許可書がついていませんでした。(違法)

2つ目の檻は、有害駆除許可書はついていましたが、許可期限が1か月前に終わっていました。(違法)

クマやサルをおびき出すようなことを人間がして、出て来たら、防ぐ努力も何もせず、即、有害駆除申請して捕獲し、動物を罠にかけて殺してしまう。人間にそんな権利があるのでしょうか。そこには、生き物の命への尊厳がありません。県行政に改善を申し入れました。

どうしてもクマを捕獲しなければならない時は、

放獣が困難な箱罠ではなく、ドラム缶型檻にして、

クマがかかるや否や、餌のありそうなところに運んで放獣して下さるように申し入れました。生き物の命を大切にすることが、結局、自然を守ることに繋がります。行政の方々は、私たちの主張をていねいに聞いてくださいました。しかし長年の慣習があります。どこまで改革して下さるか、見守っていきたいと思います。

 

●この後、県庁記者クラブによって、報道の在り方などの改善をお願いしました。

要望:どこどこにクマが出たという事象だけ書くのではなく、原因と対策も書いてほしい。

何人かの記者さんが共感して下さいました。今後の記事に期待します。

 

 

7/23、24 東北で進む山林への農地開発とすさまじいナラ枯れ、安易なクマ駆除の実態を視察して唖然②

すさまじいナラ枯れ

兵庫県でもナラ枯れは脅威であるが、兵庫県の山はここまでは枯れていない。

東北の山々のナラ枯れはすさまじく、山がもうスカスカだった。ブナもナラも実がまず付いていなかった。なぜ、こんなことになるのか、諸原因説あるが、わたしたち人間にはどれが本当なのかわからない。地球温暖化、酸性雨、農薬…?いずれにせよ、人間がやったことで、野生鳥獣の豊かだった生息地が壊されていっているのであろうと察せられる。

世界中から食料を集め、食べ残している今の飽食の日本人には、動物たちが食料を失い苦しんでいることを、もはや思いやることすらできないのであろうか。地元では、山から出て来た動物対策として、捕殺しか考えていないようにみえた。

 

枯れ残ったミズナラにも、今年、実がついていない。

 

野生鳥獣が山から出て来てもらっては困るのなら、人間が山の中に、野生鳥獣の餌場づくりをしてやらなければならない時代になっているのではないかと感じた。

 

ちなみにスギなど針葉樹だけの人工林率は、福島37%、山形29%、

宮城50%、岩手44%、青森42%、秋田50%である。

この中には基本的に、動物たちの餌はない。

 

7/23、24 東北で進む山林への農地開発とすさまじいナラ枯れ、安易なクマ駆除の実態を視察して唖然①

(今回の東北調査のいきさつ)

環境省発表によると、今年、東北でのクマの目撃数が、昨年の3倍に増加しているという。山に食料がないのだ。山から出て来たクマたちは、罠にかけられ安易に捕殺され続けている。

このことに胸を痛めた数名のクマ愛好家(非会員)らが、現地に駆け付け、捕殺ではなく、捕獲して奥地に放獣してやってもらいたいと、地元農家らと交渉を開始し、保護活動を展開し出した。

その過程で、熊森も出て来てほしいと強い要請があり、本部が現地に急行し、彼らの案内で、東北の山々や、クマ捕獲の実態を見て回った。その結果、唖然とする実態があった。

 

(1)規制なく進んでいく、東北での山林への農地開発 

その1果樹園

地球温暖化がこのまま進むと、近い将来、東北の平地ではりんごなどが実らなくなるだろうなどと言われているそうだ。果樹農家は、今、競って果樹園をより涼しい所、山の上に移動させ始めたという情報を、これまで地元会員から得ていたが、行ってみてびっくり。

あちこちの山が白く光っている。

車窓から

見渡す限りのブドウのビニールハウスだった

 

最近、これまで見かけることもなかったクマやサルたちが、山から出て来るようになったと地元の声。野生動物たちの生息地を人間が次々とつぶして果樹園にしていっているのだ。野生動物たちが生きられなくなって出て来るのは当然だ。

 

(2)規制なく進んでいく、東北での山林への農地開発 その2畑

クマの生息地と思われる山の中に入っていくと、突然ブルトーザーで平地にされた空間が現れる。ここは最近まで、クマたちの国であったはずだ。米どころ東北の平地は、水田で埋まっていた。畑は山の中に移動させるのだろうか。

 

(3)人間のためにも、山林開発に規制を

県行政に、山林の開発規制をたずねたところ、伐採申請をすればだれでも開発できるという。地元の行政の方は、人間が生きるためだから仕方がないと言われるが、山の斜面を単一植生で覆うと、大雨の時、崩れてくる。山まで果樹園や畑にされて、まず困るのは 餌場や生息地を失った野生動物たちだが、いずれ、人間にも必ずしっぺ返しが来る。

 

昨年の紀伊半島集中豪雨での山崩れ、今年の九州での大雨による山崩れ。山を単一植生で埋めるとどうなるか。教訓 にしてほしい。

 

しかも、国土をすべて人間が取ってしまうのは、まちがいである。もうこれ以上生息地を野生鳥獣から奪ってはならない。人間が生き残るためにも、人間が優しい人間社会を作るためにも。県知事さんに、手紙を書こうと思う。

 

このあたりの山々から、近年、動物たちが出て来始めた理由が、現地に行ってみてはっきりわかった。

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