くまもりHOMEへ

ホーム > アーカイブ > 2013-11-02

2013-11-02

11月5日 門崎顧問による札幌でのヒグマに関する講演のお知らせ

演題 「羆とは、そして札幌の市街地に羆が出て来る本当の理由」 UHB 大学主催
講師:北海道野生動物研究所 所長 農学博士・獣医学修士 門崎 允昭       

  1938(昭和13)  帯広市生

日時 11月5日(火),10:00~11:30    入場無料
会場 札幌市中央区大通西3丁目 道新大通館8階、道新ホール

 

 

 先ず、熊について、包括的にお話しする。熊類とは、どう言う動物を言うのか。その形態(身体のつくり)と生態(生活状態)の 特徴。熊類の起源。日本の熊の由来について。それから、北海道の羆の生息域と生息数の変遷。北海道の羆の生態について。羆による北海道での人身事故の実態 について。羆に遭遇しないための対応と遭遇した場合の対処法。羆から見た札幌圏の自然。札幌の市街地に羆が出て来る理由とその対策について。 羆の棲む北海道の自然との積極的な係わり方について。私が北海道で「人と羆は共存すべきだとする理由」。最後に、アイヌと羆について、アイヌ民族が「イオマンテ、イオマンデ、(熊祭り、熊送り)」を行った理由について私の考えを述べる。

「若者よ、狩りに出よう」 獣害対策の担い手作り促進  という福井県地元新聞記事を読んで

以下、熊森関係者から届いた文です。

環境省主催の「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」が福井県
で開催されたことを伝えるニュースです。同フォーラムは、
これまで9県で開催されてきました。

環境省はハンターを増やし、獣害を減らそうとしています。

農作物がシカやイノシシに荒らされる被害が多発し、農家が
困っているという事情はわかります。

それについては何らかの対策が必要だと思います。

しかしながら、「すごいアウトドア!!」「あなたの知らな
いハンティングの魅力とは!?」などと遊び半分でハンター
増やす環境省の政策には違和感を覚えます。

安易に動物の命を奪うことであり、そもそも根本的な問題解
決にはならない可能性もあります。

たしかに森でクマに出合うケースが増えていますが、本来ク
マは臆病な動物で人と出合うことはありません。人の気配を
敏感に感じとり、クマのほうから避けます。

ではクマが頻繁に人の前に姿を現すようになったのはなぜか。
これは原生林が伐採されたり、あるいは人工林に代わったの
ちに放置されたために、動物の水やえさがなくなったことが
原因の1つと考えられます。

クマはもともと広葉樹の原生林にすんでいました。

広葉樹林は、自然界の母ともいうべき存在で、秋には実をつ
け生物に餌を提供し、晩秋、土のうえに葉を落とし、土壌を
豊かにします。

落ち葉が腐ってできる腐葉土は1年で1ミリ程度とされ、何百
年もかけてできた30センチくらいの表土で覆われると安定し
た森になります。

この土壌にしみ込んだ雨が、清浄な地下水となり、あるいは
湧きだして、生物にとって(もちろん人間も含まれます)の
命の水となります。

ところが原生林は減少の一途をたどってます。クマの出没は
このことと関係しています。

それはシカも同じです。

環境省や自治体はシカの年間捕獲目標を拡大しようとしてい
ます。

そして「シカの増加はハンターが減少したからだ」ととなえ
る研究者もいます。

「すごいアウトドア!!」「あなたの知らないハンティング
の魅力とは!?」などと遊び半分でハンター増やす環境省の
政策もこれに基づくものです。

この説明で使われる図表は「全国狩猟者登録数の推移」の
1975年以降の部分です。

http://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs4/menkyo.pdf

これを見るとハンター数は1975年~79年をピークにして減少
しているので、ハンターの減少が獣害の増加の原因と見るこ
とができます。

ですが、「全国狩猟者登録数」は1950年10万人以下と現在よ
りも少なかったのです。そして、その頃には獣害の報告はほ
とんどありませんでした。

つまり、統計資料の都合のよい部分だけ抜粋し、政策の正当
化を図っていると見られてもしかたがないのです。環境省は
「全国狩猟者登録数」の1920年から現在至るまでをオープン
にしてから、ロジックの再構築をすべきでしょう。

実際には、シカの捕獲に力を注ぐのは対症療法に過ぎないの
ではないかと思われます。

なぜクマやシカが人里に出てくるのか、根本的な原因を考え
て対策を立てるべきです。

多くの奥山がスギの木材生産地となり林道が張り巡らされ、
近年は戦後植林されたスギ・ヒノキの人工林が放置され、ク
マやシカは棲みかを追われました。

やるべきことはクマやシカのすむ場所をいかに保全するかで
す。

とりわけクマは生態系ピラミッドの頂点に立ち、生活のため
に大きな面積を必要とすることから「アンブレラ種」と呼ば
れます。

このような種の生息環境を保全することが、その傘下にある
その他の生きものを環境改変などの風雨から守ることにつな
がります。

忘れてはならないのは、そうすることが森を守り、水を守る
ことになり、人間の生活にとってもっともメリットがあると
いうことです。

10月20日 地元新聞に見る「福井県での狩猟の魅力まるわかりフォーラム」の報道

以下、10月21日地元新聞記事から

 

 「若者よ、狩りに出よう」 獣害対策の担い手作り促進

拡大 福井県内外の若手ハンターが免許取得のきっかけや狩猟の魅力を紹介したトークセッション=20日、サンドーム福井

福井県内外の若手ハンターが免許取得のきっかけや狩猟の魅力を紹介したトークセッション=20日、サンドーム福井
拡大 模擬銃を構えてハンター気分を味わう若年層

模擬銃を構えてハンター気分を味わう若年層

 狩猟免許を持つ人が高齢化し減少する中、獣害対策の担い手でもある狩猟者育成を目指した「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」が20日、福井県のサンドーム福井で開かれた。約350人が、若手ハンターらのトークやジビエ(野生鳥獣の肉)試食を通し、狩猟の楽しさや社会的意義を学んだ。

環境省が昨年度から企画し、本年度は本県を含め9カ所で開かれる。

一般企業の営業職を経て狩猟免許を取得した齊田由紀子さん(30)=三重県在住=が司会者とのトーク形式で講演した。鳥獣害対策を担う自治体外郭団体への 就職を契機に狩猟の世界に入った齊田さんは「週末の朝、猟に出掛けるのは他のレジャーと変わらない感覚」と説明。その上で「不安に思う人もいるかもしれな いが、有害捕獲では農業者から感謝してもらえる。ぜひ捕獲に参加して」と呼び掛けた。

齊田さんと県内外の若手ハンターの計5人のトーク セッションもあった。狩猟の魅力について岐阜県の永吉剛さん(30)は「暮らしに直結している。食卓に天然の肉が並ぶこと」、長野県の専業猟師、加藤尚さ ん(49)は「子どもが探検に行くような感覚を大人が毎回味わえる」と説明した。

一方、獲物の命を奪うことについて福井市の男性(42)は「(今は専ら有害捕獲で)集落のバックアップあってのこと」と述べ、別の同市の男性(36)は「肉を得られることに感謝し、責任感を持ち最後まで食べることが大事」と述べた。

会場では、模擬銃やくくりわななどの展示に加え、シカの骨でだしをとったラーメンなどジビエ関連で3団体が出展。美浜町の猟師らでつくる「自然と共に生きる会サンガ」によるシカの角を使ったアクセサリー作りも人気を集めていた。

模擬銃構え、ジビエ食す 20~30代関心

狩猟フォーラム会場には20~30代の若い世代の姿が目立った。模擬銃を構えたり、シカの角のアクセサリー作りなど多彩な企画を楽しみながらハンティングの魅力に触れた。「狩猟の意義をもっとアピールすべき」との声もあった。

小浜市と県猟友会小浜支部が無料提供した「OBAMAジビエラーメン」。シカの骨でだしをとり、イノシシの肉が入った風変わりなラーメンのブースの前に長 蛇の列ができた。初めて獣肉を食べた大野市の会社員中島嵩さん(23)は「想像と違って臭くない」と驚き、「ジビエを食べれば増えすぎた獣を減らすことに つながると学んだ。友達に勧めたい」と話した。

女性の姿も見られた。福井市の梅田実生子さん(23)は環境省への就職が決まっており、里山保全に役立つ狩猟免許の取得を目指している。“主婦ハンター”齊田由紀子さんの講演を聞き「女性でもやれるんだ」と親近感を深めていた。

獣害を食い止めるため、今年わな猟の免許を取った越前市の会社員酒井辰典さん(37)は「命を奪う狩猟には『怖い』という先入観がつきまとう。意義や魅力をもっと伝えるべき。猟友会や行政は今回のようなフォーラムをどんどん開いて」と話していた。

 

<参加した熊森関係者から>

350名も来ていたのかなあ。20~30代の若い世代の姿が目立ったと書かれているけれど、そんなにいなかったよ。壇上で、「猟に出掛けるのは他のレジャーと変わらない」と言ったのは一人だけで、あとの人はそれなりに命を奪うことへの葛藤を語っていた。新聞の書き方が、このフォーラム翼賛になっているように感じる。環境省の発表は、先日、熊森と約束したと聞いたような内容にはなっていなかった。

 一方的に動物を悪者にした当日会場の各種展示から

IMG_1511

IMG_1510

IMG_1512

 

10月17日 環境省記者クラブでの記者会見

環境省担当官との話し合い後、環境省の「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」の問題点を訴えようと、記者クラブを訪れました。

 

事前に会見アポを取ってから行ったにもかかわらず、会見時刻になっても、当番のテレビ局の方がカメラなしで、一人来られただけでした。しかも、何故か、連絡などしていないのに、先ほどお会いした環境省の担当官2名がやってきて、後ろに座られました。

s-IMG_1500

環境省記者クラブには23社の新聞社が入っているそうです。私たちは、現場を歩き続けている自然保護団体の考えも聞いていただきたいと思って、自分たちのお金を使って大変な思いをして上京しているのに、聞いてみようという記者がひとりもいないとは、がっかりです。

 

これまでも、何度か環境省の記者クラブで記者会見をさせていただいたことがありますが、アポを取って行っても、1~2社が来てくれたらいいところで、記事に取り上げてくださったことは、これまで1回もありません。

 

環境省記者クラブは、行政側の発表しか書かないのでしょうか。もしそうなら、本当に悲しいです。多様な考えを国民に提示していただかないと、国民は正しい判断が出来なくなってしまうと思います。

 

ちなみに、当番記者の方は、私たちの話を聞いて、「日本の奥山で起きていることなど全く知らなかった。今日初めて聞いた」と言われていました。

奥山問題は、記者さんの知らない世界である。これは仕方がないと思います。しかし、だからこそ、まったく利権なしで動いている私たち市民団体の話も聞いてほしかったのです。

 

 

 

 

10月17日、 「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」の中止、または抜本改革の要請書を持って環境省へ

環境省担当官と午後1時から3時までの意見交換会のアポが取れました。

今、全国を巡回している環境省主催「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」の内容があまりにもひどいので、とりあえずこれだけでもなんとか直してもらいたいと、熊森から、会長、副会長、調査研究員の3名が上京しました。

 

新橋からタクシーに乗って、「環境省まで」と告げると、運転手さんが、「ここで20年も運転手しているけれど、環境省までと言われたのは初めてだ。環境省ってどこにあるんだ」と言われました。これまでもタクシーに乗ったとき、何度か運転手さんに同様のことを言われました。地方から環境省を訪れる国民は、ほとんどいないのだろうかと思いました。

 

霞が関の中央合同庁舎に着きました。

環境省側からは2名の係官が出てこられました。ひとりは去年の春ここに来られた方で、もう一人は今年の春からここに来られた方でした。

日本の行政は、ふつう3年、短い人は1年で担当者が変わっていきます。

21年間も日本の森や野生動物、奥山の保全・再生に、寝ても覚めてもかかわってきた私たちとは、残念ながら、ほとんど話が合いませんでした。自然観や動物観が、私たちとかなり違うように感じました。

s-IMG_1496

環境省担当官に、環境大臣石原伸晃様宛の要請文を手渡す森山会長

 

<熊森から環境省への主な要請>

①今、シカはどこにいても撃たれます。ここにいたらいいよという場所(=生息地を)を、まず決めてやってください。<生息地保証>

 

②捕殺対応だけではなく、被害防除、追い払い、避妊・去勢など非捕殺対応も検討してください。<非捕殺対応の検討>

③「すごいアウトドア!!」というキャッチコピーでシカやイノシシを殺すのは、他生物の生命への尊厳を忘れた恥ずべき行為なので、即刻このコピーを変えてください。<生命尊重思想>

 

④ハンター数が減少の一途をたどり始めた1970年以降だけのハンター数の推移グラフを見せて、ハンターが減ったからシカ・イノシシが増えたのですと世論誘導するのは、国民だまし。今や、環境省付き研究者たちの「ハンター減少説」は、完全に破たんしています。

地球温暖化等人 間が引き起こした地球環境問題が、現代のシカ問題を引き起こしているのに、まるで、シカがシカ問題を引き起こしているかのごとく、シカに全責任を負わそう とするのは、人間として恥ずかしい。即刻やめてほしい。

人間が狩猟によって野生鳥獣の数を減らし続けないと、野生鳥獣の数が増えすぎてしまうという学説な ど、どこにもない。自然界は、自らの力で、絶妙のバランスを保つ。人間が入っていない未開の地ほど、自然は豊かです。

<対症療法ではなく根治療法を。本当の原因を国民に知らせること>

⑤自然界や山が荒れ、多くの狩猟鳥獣が激減している。むしろ今、一般的な狩猟を禁止すべきである。

今、地元の人たちが困っている、シカ、イノシシ、サル、クマなどの大型動物問題に対応できる被害防除専門官などを育成すべきだ。

レジャーハンターやスポーツハンターなど増やしても、大型野生動物問題など解決しない。「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」は、単なるイベントであり、税金の無駄遣いである。若い女性をプロパガンダに使うのは恥ずかしいので、やめてほしい。

 

 

<環境省の答え>

①生息地保証は環境省の仕事ではない。

②非捕殺対応は考えたことがない。

③このキャッチコピーはすごく気に入っている。このコピーによって、「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」への参加者が増えたから、変えない。

④グラフの一部だけを提示することに問題はないと考えるが、(熊森が強硬に求めるので)、次回の福井県のフォーラムから、1970年以前のハンターが今より少なかったときのグラフも見せることにする。

⑤考えが違う。

 

<参考>環境省発表データをもとに熊森が作成したグラフ。

全国狩猟者登録数(黒の折れ線)とシカ捕獲数(水色)の推移

全国狩猟者登録数とシカ捕殺数の推移

フィード

Return to page top