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2016-12-21

「希望の牧場ふくしま」に、東北応援くまもり基金の残りを寄附

来年の3月で、東北大震災・福島原発事故から6年です。

あれ以来、福島第一原発の見える14キロ地点の浪江町で、取り残されたようにして、ただただ330頭の牛たちの命を思い、ずっと育てて来られた「希望の牧場ふくしま」の吉沢正巳氏たちのご苦労はいかばかりのものだったか。

想像するだけでも、恐ろしくなります。何にも変わっていないからです。

吉沢氏から、「この先の5年間も被曝牛と共にこの場所で運命を共にしていこうと思う」といううニュースレターをいただきました。

 

3・11大震災・原発事故は、もう多くの国民にとって風化された過去の記憶かもしれませんが、吉沢氏は、「3・11大震災・原発事故は、本質的に今も継続中の日本の大題問題だ」と言われます。「復興オリンピックなど、東京のエゴイズムだ」とも言われます。そう言われてみたら、そうだろうと思います。

 

除染のために表土をはぎ取って入れた黒いフレコンバッグ3000万袋は、家の横の仮置き場に積み上げられたままです。中間貯蔵処分場の建設が絶望的に行き詰っているため、仮置き場が最終処分場化しつつあるそうです。

 

今の所、線量の高い浪江町には帰還できませんが、いずれ戻りたい町民が2割、戻らないが5割、わからないが3割なのだそうです。吉沢氏は、浪江町は、被曝別荘地帯になるだろうと言われています。常時住むことは不可能。そんな絶望的な状況の中で、

吉沢氏は、「国県町が何とかしてくれるのを待っているのではだめ。自分から動いて行動する中で小さな希望が見えてくる」と言われます。このあたりは熊森の感覚とまるで同じだと思いました。

 

東北応援くまもり基金の残りが少しあったのを思い出して、解約し、希望の牧場ふくしまに全額送ることにしました。

東北応援くまもり基金の使途報告は、これが最後となります。

当協会に対するネット情報の中傷や批判について

20年前に当協会を設立するときに、会の名前を何にするか、ずいぶんみんなで考えました。

結果、当協会の名前は熊森協会であって、森熊協会ではありません。

つまり、熊の棲む森を守る会であって、森に棲む熊だけを守る会ではありません。

 

 

わたしたちは、日本の森の生態系の頂点に位置すると言われている熊をはじめとする水源の森を形成する全生物とその自然環境を守る会です。

よって、クマの保護団体でもあり、水源の森の保護団体でもあるのです。

 

私たちの会の設立趣旨の深さが理解できずに、ネット上で、当協会にさまざまな批判や攻撃を続けている匿名者がおられます。中には全くの嘘物語を延々と紡いで、ネットに載せておられる方もいます。

 

たとえば、Wikipediaの日本熊森協会という項目の記述は、匿名者たちが勝手に書き込んで作ったもので、間違いが多々あります。

Wikipediaに当協会が自ら書き込むことはできません。

以前、多々間違って記述されているので、訂正してほしいとWikipediaにお願いしたことがありますが、

匿名の記述者たちと論争するように言われてやめました。

無責任な匿名者と延々と続くであろう論争をする時間的余裕など私たちは持ち合わせていません。

 

 

Wikipediaさんにお願いしたいのは、誰が見ても異論のない基本的な項目以外は、当協会に関する記述を全部消していただきたいということです。Wikipediaの発想は、性善説100%の人間社会なら、価値あるすばらしいものとなりますが、現実の社会はそうではありません。

 

 

匿名者の方には、熊森について記述や批判をする前に、正々堂々と名乗って、熊森を取材しにきて、事実を確認してから、記述や批判をして頂きたいと思います。

あなたが、ご自分の誤解に基づいて勝手に無責任な記述や批判をされることによって、わたしたちがどれほど迷惑をこうむり不愉快な思いをしているか、考えてみられたことはあるのでしょうか。

 

賢明な国民の皆さんには、Wikipediaをはじめとするネット上に氾濫している匿名者の熊森記述や熊森批判を鵜呑みにされないように願います。

水源の森の保水力と野生鳥獣の生息との密接な関係

一度人間活動によって失われた水源の森の保水力を取り戻すことは、並大抵のことではありません。

何百年もかかるのです。

 

 

山からの湧水が消えた!このような取り返しのつかない事態を招かないように、ふだんから誰にでもできる簡単な水源の森の健全性をチェックするポイントがあります。

それが、当協会がシンボルにしているクマをはじめとする野生鳥獣の生息状況です。

野生鳥獣が豊かに生息している山は、保水力豊かな森で覆われている健全な森です。

日本で最高の保水力を誇る森は、熊が生息している森です。

以上が、だれにでもわかる・できる簡単なチェックポイントです。

 

以下、当協会顧問で水ジャーナリストの橋本淳司先生のブログからです。

日本の水道普及率は97.5%(平成22年)です。

都道府県別に水道普及率を見ると、100%普及している東京都、沖
縄県などがある一方で、熊本県の86.1%、福島県の89.6%と低い
地域もあります。単純に考えると約300万人が水道の通っていない
地域に住んでいることになります。

そういうと、こんな反論を受けます。

「だからといって水が飲めないわけではないだろう。そうした地
域の多くは山村にあって、沢水や湧き水や地下水などに恵まれた
地域なのだから」

たしかにそうなのです。いや、そうだったというべきでしょうか。
じつは最近になって事情が変わってきているのです。

数年前、宮崎県北郷町(現日南市)で沢から水が消えたことがあ
りました。

ここは鰐塚山地の東端部にあたり、町全体が山地となっています。
町の総面積の約88パーセントが森林で、その大半は飫肥杉(おび
すぎ)の人工林です。
沢水に頼っていた稲作は、新たに農業用水を利用せざるをえなく
なりました。

町の人は水が消えた理由をこう言います。

「山を人工林に変えてしまったから、こんなことになったんだ。
もっと早くに気づくべきだった」

四国山地の中腹にある高知県大豊町でも、同じようなことが起き
ました。沢水やわき水に頼って暮らしていた人たちから「水が涸
れた」という訴えが相次いでいるのです。

「ちょっと前まで山のわき水をホースで引いてタンクにためて飲
料水にしていた。それがどんどん減り始めた」

こんこんとわいていた清水の量は2000年頃から減り始め、ついに
タンクに水がなくなり、町の水道を引かざるを得なくなりました。
どちらの町の関係者も、山の保水機能がなくなったためと考えて
います。

放置された人工林は、遠くから見ると樹木が整然と立ち並び、緑
に輝く立派な山に見えるのですが、一歩踏み入れると、真っ暗で
地面にはほとんど草が生えていません。

かつてスポンジのように水を保つ力のあった土壌は、植え替えら
れたスギやヒノキが放置されるようになると、カチカチのコンク
リートのようになりました。水をためる力はなく、降った雨は山
にとどまることなく、すぐに低いほうへと流れていきます。

日本は世界でも雨の多い地帯であるモンスーンアジアの東端に位
置しています。国土の四方を海に囲まれ、あらゆる方向から湿気
をおびた風が吹き込み、それが日本列島の背骨である山脈にぶつ
かり、雨をもたらします。

ただし日本列島を、仮に東西に切断してみると、その断面は先の
尖った三角形のようであり、三角形の頂点である山から、海に向
かって勢いよく水が流れていきます。

もしも手近に三角柱の積み木があったら、コップから水を注いで
みてください。水は勢いよく流れていってしまうでしょう。次に
積み木におしぼりをかけてください。ここにコップの水を注いで
もすぐには流れていかないでしょう。このおしぼりこそが森なの
です。森が保水力を失えば、山に降った雨は一気に海まで流れて
いってしまうでしょう。

生活に使っていた清水は、雨のたびに濁ってしまったり、枯れた
りしているのです。
 

(熊森から)

今年も山からどんどん野生動物たちが出て来ました。当然のことながら、地元のみなさんは悲鳴を上げられ、役場に何とかしてほしいと訴えられました。一番簡単な解決法は、野生鳥獣を殺すことです。こうして、今年も大量の野生動物たちが殺されました。

 

しかし、こんな見方はできないでしょうか。

野生動物たちは、「山が荒れて棲めないよ!近々、湧水が消えるよ」ということを人間に伝えてくれている大切なメッセンジャーだということ。

 

私たち熊森のミッションは、人間活動によって動物たちが棲めないまでに荒廃した山を、動物が棲める豊かな森に再生させ、動物たちが昔のように山へ帰れるようにして、人間との住み分けを復活させることなのです。

 

 

 

 

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