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2018-05

同じ国民として、リニア工事に泣く沿線住民を見捨てられない 熊森岐阜がリニアルートを視察

5月20日、日本熊森協会岐阜県支部員23名と本部リニア担当者1名は、岐阜県におけるリニアルートの3か所を視察しました。

地元の「リニアを考える会」のメンバーのみなさんが説明をしてくださいました。

 

①瑞浪市日吉町:残土置き場が崩れたら下の集落に危険が!

 

まず、初めに訪れたのは、リニアのトンネルが掘られようとしており、すでに残土置き場が造られている瑞浪市日吉町です。

ここでは、リニアによって地元住民が得るものは何もありません。

リニアに賛成している人は誰もいないということでした。

リニアのトンネルを掘った時に出て来る残土を運ぶための、ベルトコンベアーがすでに設置されていました。

棚田が広がっていた広大な谷が、残土置き場になっていました。

この谷を、残土が埋め尽くすことになるのです。

すぐ下には、集落があります。豪雨などで残土置き場が崩れたら、集落のみなさんの生命に危険が及びます。

工事開始が差し迫っており、騒音、排気ガス、電磁波など自分たちの身に降りかかってくる危険をどう回避するかで地元は必死でした。

 

 

残土が運ばれる場所。この下には集落が。

 

②中津川市:駅舎の日陰で、米作りが不可能に

 

中津川市では、岐阜県駅と非常口予定地を視察しました。

道の両側に田畑が広がり、交通量も人通りもそれほどない、静かな場所でした。

田植えを終えたばかりの田んぼが広がっていました。

ここに30メートルほどの高さの駅ができます。

田畑は駅舎で日陰になってしまいます。

もう米作りはできません。

市が買い取って田畑を駐車場などにするそうです。

中津川市の山口非常口建設予定地では、すぐ上に、人家がありました。

ここにトンネルを掘ることによって、この人家はどうなるのか不安を感じました。

中津川市の山口非常口周辺

 

③恵那市:電磁波と騒音が不安な住民たち

 

最後に恵那市岡瀬沢地区を訪れました。

この地域では、JR東海に対して地上部リニア走行部分にフードを取り付けてくれるように要望していますが、JR東海は首を縦に振ってくれないということでした。

理由はわかりませんが、地上部全てにフードを付けるとなると、建設コストが莫大になるからだろうと住民の人達が言っていました。

家の数メートル上を、大量の電磁波を放出し、かなり大きな騒音を出してリニアが走るのです。

住民たちは、フードをつける約束をしてくれるまでは、断固として中心線測量をさせないとがんばっておられました。

 

熊森から

岐阜県リニアルート視察に参加して、大企業であるJR東海の利益の為に、何の罪もない住民たちの生活が奪われようとしている現実を目の当たりにしました。

すでにリニアのトンネル掘りが始まっている長野県の大鹿村では、発破のために家にひびが入ったり、裏山が崩れてきたりしているそうです。

2001年に施行された「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」によって、地下40メートルより深い土地は、無許可で使用できることになりました。リニア中央新幹線はこれを利用して、地下水脈を次々とぶっちぎってトンネル工事を進めているのです。取り返しのつかない国土大破壊工事です。

リニアルートの沿線では、多くの一般住民がどうやって声をあげればいいのかもわからず、不安を感じながら生活しています。

リニア建設は、弱い者いじめ以外の何ものでもないと思いました。

 

今、たまたま外部の安全圏にいる私たちこそが、不安におびえている住民の方たちを見捨てず、「リニア工事中止・JR東海は住民の声を聞け」の大声をあげることが必要だと感じました。

 

多くの国民は、リニア工事に泣く住民の実態を知りません。

マスコミの皆さん、なんとかがんばって報道してください!

 

ヒグマが生存しない利尻島でヒグマの足跡発見、地元行政は、今は、捕獲や駆除は考えていない

5月31日、利尻島利尻富士町でヒグマの足跡が発見されました。

 

【5月31日、産経新聞デジタル】

https://www.sankei.com/affairs/news/180531/afr1805310026-n1.html

 

北海道本土から20km海を隔てた利尻島まで、ヒグマが泳いで行ったのでしょうか。

 

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このヒグマはこのあとどうなるのでしょうか。

熊森本部は、さっそく利尻島行政(利尻町、利尻富士町)に電話をしました。

 

<利尻富士町の担当者>

砂浜にあった足跡の写真を北海道総合研究機構に送って鑑定してもらったところ、ヒグマであるという結果が来ました。

しかし、はっきりとした実体は確認されていません。

島民の皆さんは、普段の生活でクマを見たことがないので、驚いています。

今は、人が生活する圏内を警察とパトロールしています。

学校は、集団下校をしています。

今のところ捕獲や駆除は検討していませんが、住宅地に頻繁に出てくることがあれば状況は変わるかもしれません。

私たちもむやみに駆除をしようとは考えてません。

このまま、本土に帰ってもらうか、深い山の中でひっそりと暮らしてほしいです。

 

<利尻町の担当者>

今から106年前の明治時代にも利尻島にヒグマがやってきた記録があります。

その時は北海道本土で森林火災が多発しており、海を泳いで逃げてきたと言われています。

この時は、駆除されました。

利尻島にはミズナラの豊かな森があるので、このヒグマの食料はあると思います。

今回クマが出たのは利尻富士町ですが、利尻町でも注意喚起をしています。

 

熊森から

利尻島は北海道内でも随一の豊かな自然環境が残された島です。

本部スタッフも行ったことがありますが、クマが棲んでいても不思議ではありません。

 

両町では現在、生ごみは家の外に長時間置かないよう、ゴミの収集日に出すことを徹底しているようです。

島内ではクマ鈴が急に売れているようです。

 

【6月1日 北海道文化放送UHB】

https://www.fnn.jp/posts/2018060100000007UHB

 

島民や観光客の皆さんがヒグマと出会わないように注意していただければ、ヒグマとの事故を防ぐことができます。

 

利尻島行政には、ヒグマがまだ島内にいても、泳いで本土へ戻ろうとしても、そっと見守ってくださるよう伝えました。

 

熊森は、今後も動向を追っていきます。

 

【連絡先】

利尻富士町役場 総務課 TEL:0163‐82‐1112

お問合せフォーム:https://www.town.rishirifuji.hokkaido.jp/rishirifuji/1175.htm

10年間連続 駒澤大学高等学校新入生520人にくまもり講演 

今年も5月30日1時限目にくまもりが講演させていただきました。

東京と言っても、学校のある世田谷区は緑あふれる住宅地です。

家々の花壇に花があふれていました。

学校の玄関の菩提樹の大きな木も、ちょうど花盛り。

いい香りを漂わせていました。

 

この学校は毎年夏に1年生を長野県の提携している山村集落に連れて行って、森について学ばせておられます。

2年生は平和学習に取り組まれるのだそうです。

どちらも高校生にとって大切な勉強で、このようなカリキュラムを組まれている先生方に敬意を表します。

講演する森山名誉会長

 

会長の日程の都合がつかなかったので、今年は名誉会長の講演となりました。

くまもり講演を聞く駒澤大学高校生

 

講演の後、毎年、全生徒の感想文が送られてきます。

人間として大切な、まじめさや真剣さ、やさしさを失っていないすばらしい生徒たちです。

銃の前には絶対弱者とならざるを得ない他生物のことも考える優しい文明だけが、自然を守って生き残るという趣旨のお話をさせていただきました。

どれくらい伝わったでしょうか。

感想文が届くのが楽しみです。

 

三重県いなべ市でイノシシ用くくり罠にクマがかかる 山に放獣する予定

以下、中日新聞2018,5,30より

いなべでイノシシ罠にツキノワグマ 猟友会員ら捕獲 

 

三重県は5月29日、いなべ市北勢町川原の山林に仕掛けたイノシシ用のくくりわなに雄の成獣のツキノワグマがかかったため、麻酔で眠らせて捕獲した。近日中に市内の人家から2キロ以上離れた場所に放す。

 県獣害対策課や県猟友会いなべ支部によると、同日午前6時ごろ、わなにクマがかかっているのを見回り中の会員が発見。体長1.4メートル、体重94キロ。10歳を超えているという。県職員らがクマ用のおりに移し、市藤原庁舎で保管した。

 市内では、2015年5月にも北勢町二之瀬でクマが捕獲されている。ツキノワグマは県の希少生物として、捕獲した場合、自然に戻すと決められている。クマに電波発信機を着けて、放獣後は1週間ほど行動を監視する。

 

(熊森より)

2015年のいなべ市でのクマ騒動を思い出します。

熊森本部も、あの時は、いなべのクマを救うため、若いスタッフたちを中心に、午前2時に起きていなべ市にみんなで駆けつけたものです。

もう当時と行政担当者も変わっているかも知れませんが、あの時言われていたように、きちんと保護して放獣して下さるということで、三重県といなべ市に感謝です。

 

旧式の一生外れない発信機を装着するということは、クマに生涯拷問を掛け続けることになりますが、三重県は熊森の要請で、当時、自動落下できる外国製の高い発信機付首輪を購入してくださいましたから、それを使われるのだと思います。

 

どんな生き物の問題であっても、殺さない解決法が一番優れているのです。文化の高さを表します。

 

故東大林学科名誉教授高橋延清先生は、日本の森はクマがいないと森にならないと言われていました。

 

全ての生き物(クマもその中に入ります)がそろった本当の森を、子や孫に残していくことは、私たち大人の責任です。

 

林野庁作成「森林経営管理法案」、5月25日参議院を通過し成立

(熊森解説)

今回の法案は、表向きは「林業の成長産業化」と「森林資源の適切な管理」のためとなっている。

 

しかし、林野庁の本心は、昨今の豪雨による放置人工林の山崩れの頻発化を見るにつけ、戦後の拡大造林政策の失敗を思い知らされ(林野庁は絶対に政策の失敗を認めようとしないが)何とか崩れやすい放置人工林を一気に消し去りたいという焦りではないだろうか。

 

林野庁の発表によると、戦後造林された民有林の人工林のうち、1/3は、管理できており、2/3は、放置されて大荒廃しているということである。これまでも、人工林の7割が放置され大荒廃していると林野庁が発表してきたことと整合性がとれる数字ではあるが、ゆゆしき実態と言わざるを得ない。拡大造林政策により、日本の広大な山林が大荒廃したのである。

 

この放置人工林の半分、つまり全人工林の1/3は、伐期が来ており伐り出し可能な場所にもあるので、森林環境税を使って林業会社や森林組合に間伐ではなく皆伐(主伐)してもらうことにしたのだそうだ。しかし、一気に各地で主伐をし始めれば、国会の議論でも問題視されていたが、材の価格低下や今後の人工林の林齢の偏りなど、弊害が出るのは明らかである。間伐も導入しながら、少しずつずらして主伐をしていくべきであろう。

 

問題は、放置人工林を皆伐した跡をどうするかである。また以前と同じように1ヘクタール3000本のスギ・ヒノキ・カラマツの密植針葉樹単相林を指導するなら、50年後再び同じ状況に陥らざるを得ない。

 

どのような林業をめざして再造林するつもりなのか、林野庁に電話で問い合わせたところ、市町村に任せるということであった。

 

崩れにくい林業地、環境に配慮した林業地、保育に人手がかかりすぎない林業地とするためには、1ヘクタール当たりの苗木数を減らし、針広混交林にするなどの新手法が必要であると熊森は考える。

 

また、これから人口は確実に減っていくし、3軒に1軒は空き家という時代が来る。林業が建材目的でなくてもいい訳で、パルプ用、バイオマス発電用など、海外からの木材を輸入しなくていいように、多様な林業を展開していくべき。このあたりが今回の法案でどうなるのか、さっぱり見えない。

 

さて、放置人工林の残り半分、つまり全人工林の1/3は、林業経営に適さない森林として、「林野庁法案概要」によると、自然に近い森林(複層林化等)に誘導するとある。

 

今回、奥地であったり急斜面であったりして、林業に向かない場所まで人工林にしてしまったことを、林野庁が自ら認めたわけで、熊森としては、この点を大きく評価したい。

 

林野庁に電話をして、具体的にどのような方法で自然に近い森林に誘導するのか訊ねたところ、間伐するということだった。これではだめだ。

 

地域によって違うが、例えば兵庫県で実験した結果、均等に間伐する定性間伐ではスギ・ヒノキ人工林は自然林に戻らない。広葉樹の芽生えや苗は、やがて樹齢の高いスギ・ヒノキの成長に負けてしまうため、高齢人工林が誕生するだけである。自然林化には、皆伐、列状間伐、群状間伐などが必要であることを伝えたが、これも市町村に任せるという答えだった。

 

熊森は、生物多様性保全機能の低下や水源涵養機能の低下、災害多発等を見るにつけ、奥山全域、尾根筋、急斜面、山の上1/3、沢筋の5か所を、花が咲き実がなり生き物たちが暮らせる広葉樹を主体とした自然の森にもどすべきだとかねてより訴えてきた。

今回の森林環境税の使い方によっては、一気にそのチャンスが到来することも考えられる。

複層林化という言葉からは、針葉樹だけの複層林化がイメージされる。そうではなく、自然の広葉樹林に誘導する、天然林に誘導するなど、イメージをはっきりさせて、今後、市町村に伝えるべきである。

 

熊森はこの機会に、署名を展開するなどして、森林環境税を使って林業に向かない山、林業に使ってはならない山を、自然林・天然林に戻そうという声を国中に広げていきたい。

 

今後の日本の林政は、国が東京から一律指導するのではなく、江戸時代のように諸国に任せる方向だということだ。これはいい方向だと思う。

国有林の放置人工林も、一刻も早く同様に処理していってほしいと願う。(完)

 

 

<参議院HPに掲載されている森林経営管理法案要旨>

 

徳島県天神丸風力発電の白紙撤回を その4   5月24日徳島県知事が建設回避を求める意見書提出

・徳島県知事意見書

・徳島県環境影響環境影評価審査会の答申

 

徳島新聞 5月25日 より

オリックス風力発電計画 徳島県知事 回避を求める意見書提出

徳島県の飯泉嘉門知事は24日、オリックスグループ(東京)が美馬、神山、那賀3市町の境付近に計画している風力発電事業の計画段階環境配慮書に対する意見書をオリックスに提出した。想定区域周辺の希少動植物や景観などへの影響に懸念を示し、重大な影響を回避できない場合には事業中止や抜本的な計画の見直しを行うよう求めた。

意見書では、配慮書に生態系などへの影響について科学的根拠が示されていない点を指摘し、追加書類を速やかに提出することも促している。また、希少動植物、景観に与える影響や土砂災害リスクの増大、登山者への影響といった課題ごとに専門家の助言を踏まえた適切な調査と影響の回避、低減を求めている。

知事意見は、河川生態学や景観工学などの有識者でつくる県環境影響評価審査会がオリックスの計画段階環境配慮書に対してまとめた答申をほぼ踏襲する内容となった。答申では、配慮書手続きのやり直しを検討するよう求められたが、環境影響評価法に規定がないことを理由に削除した。

計画段階環境配慮書は計画の立案段階での事業概要や環境への影響を記したもので、配慮書の作成は法に基づく環境アセスメント手続きの一環。県は同日、許認可権がある経済産業省のほか、環境省にも意見書を送付した。

オリックスは知事や経産相、住民の意見を踏まえ、アセスメントの実施計画に当たる方法書の作成手続きに入ることになるが、同社広報部は「知事や住民、経産相の意見を踏まえた上で、方法書段階に進むかどうか検討したい」としている。

計画では、3市町の境にある天神丸と高城山の2990ヘクタールに最大42基、総出力14万4900キロワットの風力発電施設を設ける。2023年10月に着工し、26年秋の営業運転開始を目指している。

県要望ハードル高く、事業の行方は不透明に

オリックスグループが計画する風力発電事業の計画段階環境配慮書に対し、飯泉嘉門知事が出した意見書は、現地の自然環境への重大な影響などを回避できない際の事業中止や抜本的な見直しを迫る厳しい内容となった。

具体的には▽動物の移動経路の分断やえさ場の減少▽渡り鳥の経路阻害や衝突事故▽登山など人と自然とのふれあい活動への影響▽土砂災害リスクの増大-といった懸案を列挙。それぞれに改善を求めている。

県は「脱炭素」を目標に掲げ、再生可能エネルギーの普及拡大を目指している。その県が今回の風力発電所の建設に対し、こうした強い姿勢を示すのは、見過ごせないほど、環境への影響が大きいと判断したためだ。

計画段階での「配慮書」の手続きは、環境保全について早くから検討を始めるとともに、国や県、地元住民らの意見を聞く機会を増やすため2011年の環境影響評価法改正で盛り込まれた。

オリックスは今後事業を進める場合、アセスメントの実施計画に当たる方法書の作成手続きに入るが、県が課したハードルは高く、同社は事業が環境に与える影響をいま一度見つめ直さざるを得ない。今後の事業の行方は不透明になったといえる。

 

(熊森から)

徳島県飯泉嘉門知事、徳島県環境影響評価審査会の委員、反対の声を上げてくださったいくつもの自然保護団体や県民のみなさま、本当にありがとうございます。いくら何でも、徳島の最高の自然が残されている場所に42基の巨大風車建設はひどすぎましたね。まだ気を緩められませんが、とりあえずほっとしました。

 

それにしても、さすが、徳島県の県土を守ろうと、細川内ダムや吉野川第十堰可動化を白紙撤回させた徳島県のみなさん。みなさんは、声を上げる力をお持ちで、素晴らしいと思いました。敬服します。日本も捨てたもんじゃない。まだまだ破滅型開発を止める力は残っていたと思うと元気をもらいました。

 

オリックス社の今後の動きに注目していきたいと思います。山の尾根筋に風車を建てる時代は、環境への取り返しのつかない負荷や効率の悪さを思うと、もう過去のものとなった感がします。

外来種アライグマを駆除しないヨーロッパの合理的精神を見習うべし

NPO法人環境研究所豊明が発行している機関誌「はちどり」VOL46(2018年4月発行)が、ヨーロッパにおける外来種問題を特集しています。

 

それによると、ヨーロッパでも外来種アライグマが急速に増えているそうです。

根絶がほぼ不可能であることもあって、WWFをはじめとする環境保護団体も各国政府も緊急に駆除が必要とは考えておらず、ドイツ最大の自然保護団体NABUも平和的共存の立場です。すでに帰化動物とされており、ふつうの狩猟対象動物です。

 

(熊森から)

日本でアライグマの野生化が正式に確認されたのは1977年だそうです。

40年を経過し、すでに広範な国土で繁殖してしまっているアライグマの根絶など不可能です。

 

<アライグマの分布図:国立環境研究所資料より>

アライグマは多産のため、殺しても殺しても餌がある限りすぐ元の数に戻ります。

 

未だに国民の税金で大量の根絶殺害を続けている日本は、無用の殺生をしているにすぎません。

民家の屋根裏に入られないように屋根に通じる穴をふさぐなど、税金は被害防止に使われるべきなのです。

その方がずっと合理的であり、効果的です。

アライグマは、もはや自然生態系に組み込まれて落ち着くのを待つしかありません。

 

アライグマを見つけて助けようとし、殺すしかないと言われて胸がつぶれる思いをしている人がたくさんいます。

環境省が2004年に作った「特定外来生物法」というバカげた法律のせいです。

この法律で喜んでいるのは、お金をもらい続けることができる駆除業者だけです。

無用の殺生をやめるよう、みんなで声を挙げましょう。

行政のみなさんも意地を張るのはやめて、間違ったと気付いた時点ですぐに取りやめる勇気を持っていただきたいです。

 

 

元外来動物だった多くの動物が、今や日本の生態系に取り組まれて落ち着いています。

ネコ、スズメ、モンシロチョウ、アメリカザリガニ、ドバト、ハツカネズミ、ウシガエル、ドジョウ・・・帰化動物でいっぱい、書ききれません。

 

自然生態系を守りたいくまもりが環境省にやっていただきたいことは、外来動物の輸入を止めることです。

当初から、ずっと主張し続けてきました。

 

福島市が人道的判断、捕獲された2歳グマを迷い込んだだけと判断して奥山放獣

くまもり東京都支部メーリングリストに、以下の情報が掲載されていました。

 

以下は、2018年5月26日の河北新報オンラインニュース記事です。

 

どうするおりのくまさん 福島県「殺処分検討」も福島市が眠らせ山へ

福島市飯坂町で今月中旬に捕獲され、山に放された子グマ1頭について、殺処分が適当と、福島県が考えていたことが25日、分かった。市は「親とはぐれただけ」と別の判断を下していた。
同日の県議会向けの説明会で、自然保護課の担当者が「県としては殺すということで検討していた」と話した。専門家と現地を見た結果として「かなり人慣れしており、(放しても)住宅地に出てくる可能性がある」と考えたという。
市によると、体長1メートル、体重35キロの雄のツキノワグマ。飯坂温泉周辺で相次ぎ目撃されたクマとみられる。11日に捕獲され、市は麻酔で眠らせて12日に山に放した。
市農業振興室は「2歳の子どもで、親とはぐれて迷い込んだだけ。山奥で放しており、戻ってくる可能性はない」と説明する。
県自然保護課の担当者は「捕獲は市の業務。聞かれれば助言するつもりだった。市は過去の事例を踏まえて適切に対応したと思う」と話した。

 

(熊森から)

東京都会員が、月曜日になったら福島市担当者にお礼を言うそうです。

久々に心温まるニュースですね。

くまもり本部2018年6月度 自然保護ボランティア募集(初参加、非会員も歓迎)

熊森協会本部では、各分野のボランティアを募集しています。

会員・非会員に関わらず、多くの方々にご参加していただきたいです。

学生さんや若い方も、みなさん誘い合ってご参加ください。

ご参加いただける方は、活動日の3日前までに電話、FAX、メールにて熊森協会本部事務局までご連絡ください。

本部電話番号 0798-22-4190

本部FAX番号 0798-22-4196

メール contact@kumamori.org

 

2018年6月の活動予定

 

<いきものの森活動>

毎月第3火曜日、他

6月2日(土)植樹地の草刈り(宍粟市波賀町原 リンゴ園裏山)

6月19日(火)植樹地の草刈り(宍粟市波賀町原 リンゴ園裏山)

午前8:00に阪急夙川駅南口ロータリーに集合してください

  • いきものの森活動は人工林の間伐や実のなる木の植樹、クマの潜み場の草刈りや柿もぎなど、兵庫県北部を中心に実施しているフィールド活動です。参加者のペースに合わせて活動を進めていきますので、どなたでもご参加いただけます。

現地までは本部が用意した車にご乗車いただけます。

雨などで中止になることもあります。

昨年の草刈り風景

 

<環境教育例会(於:本部事務所)>

6月4日(月) 毎月第1月曜日

  • 小学校や保育施設などで、森や動物の大切さを伝える環境教育を実施しています。環境教育例会では、授業に向けての練習や打ち合わせ、プログラムの作製を行います。絵本の読み聞かせや紙芝居にご興味のある方、子どもがお好きな方、ぜひご参加ください。

保育園児への環境教育

 

<とよ君ファンクラブ(大阪府豊能町高代寺)>

6月5日、12日、18日、26日

(第1,2,4週は火曜日、第3週のみ月曜日)

  • 大阪府豊能町で保護飼育しているツキノワグマのとよ君のお世話です。

現地までの交通手段は本部にご相談ください。

ひさしの上の餌を取りに行くとよ

 

<太郎と花子のファンクラブ(和歌山県生石町)>

6月24日(日)(毎月第4日曜)

参加費:1000円(交通費)

  • 和歌山県生石高原で保護飼育しているツキノワグマの太郎と花子のお世話です。

    いわしの一夜干しをもらってご機嫌の太郎

環境教育以外は兵庫県ボランティア保険(4/1~3/31の年間500円)への加入が必要です。

自車参加も可能です。

たくさんの方のご応募をお待ちしております。よろしくお願いします。

熊森から見た「森林経営管理法案」3月6日閣議決定、4月19日衆院通過、現在参議院で審議中

林野庁が出してきた重大な法案が、今国会で審議されています。

残念ながら、現在の状況ではこの法案に関心を持っている国民は、林業者以外にはほとんどいないと思います。

森林経営管理というのは、林業のことだと思ってしまうからです。

 

実は、この法案は、この国の水源の森、生物の多様性、国土のグランドデザインを大きく変える、重大な法案です。

しかし、99%の国民は、そんな法案が国会で審議されていることすら知らないのではないでしょうか。

マスコミが大きく取り上げないからです。

一般国民は、マスコミが騒いでくれないと気づきませんから、マスコミのみなさんは使命感を持って、国民に今どの問題を大きく伝えるべきか、判断していただきたいです。

 

林野庁の「森林経営管理法案」の趣旨は、まとめると以下のようになります。

林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の両立を図るために、

①山主に、経営管理の責務を持ってもらう。

②経営管理ができない山主の山は、市町村が経営管理を行うか、意欲のある林業経営者に委託する。

 

 

「森林経営管理法案」は、2019年度から実施されることになっている国民一人1000円徴収、年間620億円の森林環境税の前提となる法案で、「戦後林政の大転換」と呼べるものです。

戦後の拡大造林政策で造りすぎた人工林の材が売れずに延々と放置されて内部が大崩壊、水源涵養機能、生物多様性機能、土砂災害防止機能など、森林の持つあらゆる機能が低下し、もうどうしようもないところまで行って行き詰まってしまっている現状を大転換しようという訳です。

 

AERAは、「データ捏造」疑惑が浮上した森林環境税関連法という見出しで、「森林経営管理法案」を論評しています。

 

こんな大事な問題に取り組もうという時に、「データ捏造」疑惑など、あってはならぬことです。

どういうことかと調べてみたら、林野庁がこの法案を説明するために作成した資料「林業の現状」に、森林所有者へのアンケートの結果、「8割の森林経営者が経営意欲がない」とわかったと書かれてあったそうです。そもそもアンケートには、「経営への意欲」を聞いた質問は存在していなかったのだそうです。さらに、「意欲の低い森林所有者のうち7割は主伐の意向すらない」と断じられていたのだそうです。

森林所有者などから猛烈な反発が出て、林野庁は「誤解を受けた」として、4月19日、資料の文言を修正したそうです。責任転嫁はよくありません。

 

熊森としては、林野庁がどうして今や誰の目にも明らかな戦後の拡大造林政策の失敗を認めようとしないのか、残念でなりません。

人間は神様ではないのですから、良かれと思ってしたことが失敗することもあります。

林野庁が素直に失敗しましたと認めたら、ほとんどの国民は拍手すると思います。

森林所有者が、主伐して材を売ろうとしないのは、彼らに意欲がないからではなく、材を出せないような奥地や道も造れないような急斜面に国の指導でスギやヒノキを植えてしまっていたり、材は出せるけれど人件費や運搬費がかかってかえって赤字になってしまうなど、伐採できない理由があるからです。

そんなことは、ほとんどの国民が知っていることです。

 

拡大造林政策を考え出した林野庁も、それに乗った山林所有者も、そんな政策が人目のつかない奥地で展開されていたことに気づきもしなかったわたしたち多くの国民も、みんなここで反省して、未来のために出直しましょう。

 

戦後の森林政策の一番の失敗は、山を全て林業という人間の経済活動にだけ使おうとしたことです。

生きられなくなった森の動物たちは泣いています。

花粉症の人達も苦しんでいます。

渓流釣りの人達も渓流魚が激減して怒っています。

「森林・林業再生プラン」の失敗は、日本と条件の違う国のモデルを真似ようとしたことです。

山は地方によってみんな違うのに、東京で考えた一つのモデルを全国に強要したことです。

 

山にはさまざまな機能があるのに、それを忘れて、スギやヒノキの林ばかりにしてしまったら、弊害が出るのは当然です。現在放置されている広大な人工林は、手を入れても仕方がないから放置されているのです。

 

熊森は、これらは原則として伐採して森林環境税で自然林にもどしてしまうべきだと考えます。近い将来3軒に1軒が空き家になると言われています。建材としてのスギ・ヒノキの爆発的な需要は見込めないでしょう。

自然林を再生することにより、涸れた川がよみがえり、土砂災害が減り、農家の獣害が軽減される、このような朗報を期待します。

 

さまざまなな立場の人たちが、「森林経営管理法案」

「林野庁法案概要」に、意見を述べています。

 

・自伐型林業推進協会

4月24日 問題法案が衆議院通過 「自伐」重視と環境破壊の矛盾

・日本農業新聞 5月11  日「乱伐の恐れ、山守る林家の声を 主伐推奨荒廃進む」

・日本農業新聞 5月16日現場の不安拭う審議を

 

クマ、サル、シカ、イノシシなどの大型野生動物の住む森をこの国に保全するという熊森の理念からこの法案をチェックしてみましたが、国から森林環境税を得た市町村が、民間から預かった人工林をどのように経営管理しようとしているのか具体的なことが書かれていないため、今の段階では評価のしようがないです。

 

林業は大事な産業ですから、林業が林業として成り立つしくみを林業家に作ってあげてほしいというのは、熊森もずっと願ってきたことです。

 

今後熊森は、奥山など林業に向かない場所は自然林に再生していくよう、市町村担当者や市町村議会議員のみなさんに全力を挙げて訴え続けて行きます。

 

p.s この法案によって、江戸時代の藩ごとの責任ある森林保全制度が再現される方向に進んでくれればいいなと思います。

現在、山林の境界が不明となっている場所が多くあります。その点をどうするのか林野庁に問い合わせてみましたら、現段階ではその対策はまだ考えていないということでした。

 

 

 

 

 

 

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