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2010-11-05

どんぐり運び 延長のお知らせ

くまもりはクマたちが冬眠できるまで、狩猟期間中も山にドングリを運び続けることを決定しました。
今後も、ドングリや規格外果実を、くまもりまでお送りください。
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鳥取県さん、腹すかしたクマを殺さんといてやってくれ、お願いや (大阪在住H氏の大奮闘)

大阪で商売を営むH氏(非会員)が、1ヶ月ほど前、熊森本部に飛び込むようにして入ってこられました。がっしりした体格でこわもてのH氏。熊森に何か言いに来られたのかと、一瞬、私たちは身構えました。しかし、H氏の口から出た言葉は、

「殺されたクマの胃の中は、からっぽやったんやて。えさがないから出てきただけやないか。何で殺すねん。もう耐えられへんわ。クマがかわいそうやないか。なんとかしてやってくれ。毎日毎日全国で、腹空かしたクマが殺されていってるんや。熊森の会員、何人おるねん?みんな何してるねん!」と、うめきにも似たものだったのです。

何日か後に、H氏、再び熊森本部に、今度は元気良く飛び込んでこられました。「鳥取県が、26頭のクマを今年捕まえたというので、そのクマをどうしたのかきいてみたら、4頭殺して、あとは放獣したというんや。鳥取にドングリをいっぱい持って行こうと思う。放獣するとき、いっぱいくわしてやったらええんや」

さっそく電車に乗って、H氏、鳥取県庁へ。わかってもらえなかったようですが、めげずに、こんどは鳥取県のクマ生息地役場へ。「むずかしいことはわからん。お願いするしかない。お願いや、腹すかしたクマ殺すのだけはやめてやってくれ。かわいそうやないか。もう、たえられへんのや」H氏は、鳥取県民に協力者が必要と感じ、大阪の、鳥取県人会を訪れることまでしました。もちろん、熊森鳥取県支部にも電話。その純粋さと行動力は、18年前の中学生たちと同じです。

最近、H氏に電話したら、「今、鳥取です。今日は電車違う。車や。ドングリいっぱい積んでるから、車でないとあかんねん。思てるだけでは世の中変わらんで。自分が動かな」元気な声が返ってきました。「お願いします。殺さんといてやってほしいねん」大きな体を曲げて、鳥取のクマ生息地を、頭を下げてまわっているH氏の姿には、熊森スタッフ一同も、胸を打たれます。本当は、日本の自然や森、動物を守っていく力を持っているのは、このような人たちなのです。

そういえば、昔、私の周りには、H氏みたいな大人が、たくさんいたような気がします。人間の心を失っていないあたりまえの人間たちです。

新潟県のハンターから、新潟のクマが絶滅するという悲痛な叫び

新潟県のハンターから、熊森本部に電話が入りました。

クマを有害駆除するには、法的には、有害とする理由を書いて、行政に駆除申請し、許可を得てから罠をかけます。

しかし、新潟県ではこのような手続きは作動しておらず、ハンターが罠かけをしてクマをとってから、有害駆除しておいたと行政に言う。言わない人もいる。行政は、見にも来ない。新潟のクマはハンターの獲りたい放題ということでした。

クマは、日本では狩猟するとき、罠を使ってはいけないことになっています。これでは捕まえるのがなかなか大変です。しかし、有害捕殺するとなると、罠の使用が許されます。罠に蜂蜜を入れると、簡単にクマがかかるため、ハンターは、狩猟ではなく、有害駆除でクマを獲ろうとするのです。新潟県のクマ生息推定数は、600頭とされていましたが、平成16年から18年の3年間で、768頭が有害捕殺されています。(環境省発表) 狩猟を合わせればもっと多くのクマが殺されているわけです。

当時、新潟県庁にとんでいって、担当部署に、クマを絶滅させてはならないという話をしましたが、担当者はまったく関心が無いという感じでした。生息推定数以上のクマを殺しても、何の疑問も感じない自然保護課だなんて!生物の多様性を保全することの大切さが、いまだに伝わっていないのには驚きました。新潟県民の中から、クマを滅ぼすという人間の自滅行為に歯止めをかけようとする人が、勇気を出して現れないと、状況は変わらないと思います。

新潟はナラ枯れもものすごくて、クマがもう生きられない。その上に保護の動きも全くない。新潟のクマは、今年も獲りたい放題に獲られている!もう絶滅する!ハンターの訴えは悲痛でした。

新潟県庁環境企画課鳥獣保護係に電話をしてみました。有害駆除の許可権限は市町村に委譲している。県としては調査していないが、きちんと作動していると信じているということでした。保護係の職務を全うするには、いくつかの県内事例を抜き出して、駆除申請の記載状況が本当だったかどうか、チエックしてみる必要があると、調査をお願いしましたが、「やります」とは、言ってくださいませんでした。

体を張って1頭のクマの命を救った富山県亀田支部長

2006年11月9日。この年も、なぜか、今年のように、山の実りなしというありえない大凶作年でした。当時の富山県亀田支部長が富山の山奥を見回っていると、突然、ガサッという音がしました。そちらを見てびっくりしました。クマが柿の木にかけられた違法くくり罠に片足がかかってぶらさがっていたのです。実がゼロのこの柿の木にまで登って実をさがそうとしたクマに、亀田さんは哀れを感じたといいます。亀田さんを見て驚いたこのクマは、逃げようとして暴れた瞬間、うまく木のまたに座った形になりました。

亀田さんは、このあたりの柿の木を見てびっくりしました。どの木にも、びっしりとくくり罠がかけられているのです。「違法罠群発見!」亀田さんは、携帯で直ちに熊森本部に電話。富山県庁に放獣を頼んでくれるよう連絡するとともに、持っていたビデオカメラで、あたり360度の景色を撮り始めました。民家などどこにもない奥地にかけられた違法罠群であることを証明するためです。

すると、猟友会の車が少し遅れてやってきました。銃を持った人たちが出てきて、このクマを撃ち殺そうとしました。亀田さんは必死に抗議しましたが、聞き入れられません。ついに亀田さんは、このクマの前に立ちはだかって、「どうしても撃つというのなら、私を先に撃ちなさい」と、体を張ったのです。交渉は夜遅くまで続き、亀田さんの撮った証拠ビデオを世に出さないという条件で、和解が成立しました。

このクマは翌朝、麻酔をかけられ、罠からはずされて、放獣されました。この地域で、クマが放獣されたのは、初めてということでした。

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