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2011-09-07

9月7日鳥取県庁 クマは原則殺処分に方向転換を発表

以下、2新聞記事

クマ、原則殺処分に 県が保護管理計画を見直し(日本海新聞より)

2011年09月07日

2010年度のツキノワグマの大量出没を受けて、鳥取県は6日までに「ツキノワグマ保護管理計画」(07年10月~12年3月)を見直す方針を固 めた。県内でのクマの生息数が200~450頭を超え、増加傾向にあるとの判断から、有害鳥獣捕獲(有害捕獲)の場合は人への恐怖心を与えてから放つ学習 放獣は行わず、原則殺処分とする方向に転換した。計画途中の見直しは中国地方では初めて。

県公園自然課によると、県内では10年度に延べ134頭が捕獲され、同年8月には鳥取市内の男性がクマに襲われて死亡するなど人身事故も2件発生。果樹園での農作物被害なども報告された。

現行計画では、有害捕獲で捕らえたクマは学習放獣している。10年度は放獣後に再度現れた個体など40頭を殺処分としたが、住民からは個体数を減らしてほしいとの要望が強く、県は計画を変更する判断に踏み切った。

計画変更後は、イノシシやシカのわなに誤って掛かった錯誤捕獲のクマは、これまでと同様に学習放獣で対応するが、人家近くに出没し、農作物に被害 を与えるなどした個体は殺処分。県はクマの生息数を、捕獲頭数が8頭だった09年度のレベルに減らす目標を立てており、今秋にも「個体数調整」が行われる 可能性もある。

ツキノワグマ:捕獲、原則殺処分 県保護管理計画、大量出没で変更 /鳥取(毎日新聞)

県公園自然課は、ツキノワグマが昨年度、大量出没したことを受け、捕らえられたクマは原則殺処分し、個体数を減らすことを盛り込んだ「ツキノワグ マ保護管理計画」の変更案をまとめた。6日、狩猟団体や農業団体などの関係者9人を招いて県庁で公聴会を開き、全会一致で承認された。県環境審議会を経 て、今月中旬に告示される。

昨年度は134頭が捕獲され、40頭が殺処分された。人身被害も2件発生。昨年8月18日には、鳥取市用瀬町で80代の男性がクマに襲われ死亡した。

昨年度の調査では、県内の生息数は250~400頭と見られ、捕獲した73頭の年齢を調べたところ、比較的若い個体が多かったことから、健全な繁殖を行っていると推測される。2016年には530~850頭に増加すると見込まれるため、個体数を減らすことにしたという。

これまでは捕獲しても、とうがらしスプレーなどをかけるなどして恐怖を植え付けて森に帰す「学習放獣」を実施し、再度出没した場合に殺処分してい た。変更案では、親子グマ、子グマを除いては、学習放獣せず原則殺処分することになった。同課は「2009年以前の頭数にして、人との共存を図っていきた い」と話している。

 人間の本能である、動物へのやさしさを簡単に捨てないで

以前よく熊森の集まりに来てくださっていたある女性に、ひさしぶりに会いました。「命を大切にする社会をめざして、今、シカ肉の有効利用運動をしています」というようなことを言われ、驚きました。どうしてシカ肉を食べることが、シカの命を大切にしたことになるのですかとたずねると、殺された命を食べてやり無駄にしないことは、シカの命を大切にしたことになるのだそうです。こんなこと言うのは、人間だけでしょう。

動物のすめる山を復元してやり、シカが山中に帰って人に殺されることがないようにしてやるのが、シカの命を大切にすることだと思います。殺さないことにまさる、動物へのやさしさなどありません。みなさん、野生動物頭数管理派(そんなこと人間にできっこない)の研究者や行政のプロパガンダに乗って、人間の本能である動物へのやさしさを簡単に捨てることがないようにお気を付け下さい。

半農半X

京都府綾部市の生まれで、今もそこにお住いの塩見直紀氏が、2、1世紀の生き方として唱えられた半農半X。8月28日、神戸で、塩見氏のワークショップがあって、行ってきました。30名ぐらいの参加者の中に、クマ森会員が5名もいてびっくりしました。

塩見氏の半農半X思想は、今や台湾に広まりつつあり、毎年、彼は講演依頼を受けて台湾に行かれているそうです。ご著書が中国語に訳される動きも出てきており、中国に広まる道も見えてきて、さらに韓国にも広がりそうになっているのだそうです。土と生きる生き方が、アジアから全人類に広まっていくかもしれません。

但馬のどこかに豊かな山が残っているのですか 本部 氷ノ山調査

8月21日は、あいにくの雨模様でしたが、23名で、兵庫県最後のクマ生息地氷ノ山の調査に行きました。行く道中、内部が砂漠化した人工林が延々と続いているのを見ていると、この19年、膨大な予算(=私たちの税金)が投入されているのに、全く兵庫の森が良くなっていないことに気づきます。それどころか、いっそう動物たちが住めなくなっているのです。

県行政や、兵庫県立大学の先生たちは、いつも、戦後、どんどん兵庫の森は豊かになって、動物が棲みやすくなったと言われます。この認識の違いはどこから来るのかいつも不思議です。今回は、「但馬のどこに豊かな森が残っているのですか」と、いつも怒ったように言われる、但馬の山を数十年間調べ続けてこられた地元研究者に、氷ノ山を案内していただきました。先生の頭の中には、拡大造林を行う前の戦前の豊かだったふるさとの奥山が、今も脳裏に焼き付いておられるのです。

氷ノ山に着くと、さすが兵庫県側にブナの森が385ヘクタール(県下最大)残されたというだけあって、見ているだけで癒されます。しかし、久しぶりに見た登山道の幅は、観光客を呼び込むために以前の3倍ぐらいにまで広げられており、山が神秘性を失って公園のような感じになっていました。去年、氷ノ山を訪れた観光客は32万人ということで、オーバーユースだと感じました。これでは、踏み荒らされる広葉樹の根っこが悲鳴を上げてしまうと感じました。地元観光協会にたずねると、まだどこからも、入山制限の声など出ていないということでした。荒廃が顕著になってからでは遅いので、早く手を打ってほしいものです。

大段ガ平という所には、大きな駐車場があり、春には、山菜取りの車が連日100台ぐらい来て、300人ぐらいが袋を持ってスズコ(チシマザサのタケノコ。クマの大好物)採りに熱中するのだそうです。クマをはじめとする野生動物たちのここにしかない貴重な食糧です。昔の日本人と違って、制限を外からかけないと、今の日本人は自粛などしないと感じます。

もちろん今回、森から、先生から、新たに多くを学びました。そのことは、ブログには書ききれないので、会報に載せたいです。

フォーラム ナラ枯れの特効薬は何かin立命館 

8月20日に京都で、NPO法人森びとプロジェクト委員会が主催する<第4回森と生きるキャンパスフォーラムin立命館>があり、研究熱心な熊森会員も多く参加しました。

●午前中は、京都市内の神社仏閣のスダジイなどのどんぐりの木をナラ枯れから守るために、あの手この手で取り組んでおられる大学の先生方や自然保護団体の方々のお話を、現地をいっしょに歩きながら聞かせていただきました。定員は100名という事でしたが、130名ぐらいの方々が熱心に参加されていました。

●午後からは、会場を立命館大学朱雀キャンパス講堂に移し、「ナラ枯れの」特効薬は何か?」というフォーラムがもたれました。こちらの方には約350名の方々が参加されました。

10人ぐらいの研究者の方々がそれぞれ別の角度から、非常に興味深い発表を壇上でなされました。カシノナガキクイムシによる枯れもあるが、ムシに関係ない枯れもあるということでした。ナラ枯れの原因が特定できないと、真の対策は立てられません。諸説もっともでしたが、謎が深まったような気もしました。複合原因かもlしれません。

この日はナラ枯れ問題に集中しましたが、昆虫が激減したり、木の実の実りが悪くなったり、日本の森は、今、大変です。森の動物たちは悲鳴を上げています。人間活動によって、自然の森に何かとんでもない大異変が起きているのではないかという気がします。原子力エネルギーと同様、人間の頭では、複雑系の森の生態系などとらえきれないと感じました。ダニを研究されておられる研究者が、地球上にダニは6万種ぐらいいて、自分はそのうち600種ぐらいの名前と生態が分かる。それぞれのダニ種が、森の中で見事にそれぞれの仕事を分担しており、いなくていいダニはいないと言われていたことがとても心に残りました。地球上のすべての生物の命への畏敬の念が大切ですね。

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