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2010-10-22

10/20 付け A新聞報道「猟師減り、野生鳥獣の数が増加」は、恥ずべき世論操作

A新聞の野生鳥獣関係記事には、毎回驚かされます。今度は、山から野生鳥獣がどんどん出てくるのは、猟師が減ったからだというのです。しかも、その資料提示の仕方が、資料の一部だけ見せて全体を隠し、事実と正反対の方向に世論をもっていくという、行政がよく使う手法です。
(A新聞記事中のグラフより)

A新聞のように、近年の銃猟免許所持者の推移だけを取り上げると、いかにも狩猟者は減少の一途のように見えます。しかし、実は、銃猟免許所持者の推移は、以下のようになっています。(環境省資料より)

過去、狩猟者が今より少なかった時代でも、奥地に豊かな森が残っていたころ、野生鳥獣が今のように山から出てくることはありませんでした。野生鳥獣が人里に出てくるようになったのは、猟師が減ったからというのは、完全なる世論操作。国民をだますものです。

COP10 – 22日

愛知県会員Iさんが経営されているホテルに、COP10関係者の方々が泊まっておられると聞き、T&Mは朝ごはんを食べながら彼らとお話をしたく、朝からホテルにお邪魔させていただきました。そして、願っていたとおり、COP10の会議に出席している西アフリカから来られた4名にお会いでき、話すことができました。その内の一人は、IUCNの職員の方で、そしてIUCNと共に活動している生物多様性保全の団体の方々でした。IUCNは、国を環境・野生動物保全のIUCNの取り組みに巻き込むために23年間の時間をかけて交渉を続けたそうです。すごい粘り強さ!政府と協力して、取組みしたことで、今や国土の15%は開発や乱獲などができない保護地区になっているそうです。やはり、国を取り込んでいかなければ広範囲の保全はできないので、国を巻き込むほどの活動にする必要があるとアドバイスを頂きました。朝から、本当に充実した時間でした。時間は、かかるかもしれないけど、熊森も国を巻き込んで、豊かな水源の森を守り、再生し、野生動物との棲み分けができる社会にしなくては!

お腹いっぱいに朝ごはんを食べたT&Mは、いざブースへ!最近はずっと「西高蔵駅」からブースに行っていたのだけど、久しぶりに「日比野駅」からブースに行こう!と日比野駅に降り立ったら、一人の女性に「ブースはどうやって行くのですか?」と声をかけられ、その後、お話ししてみると、なんと、その方は、西宮からブース展示の手伝いで名古屋に来られたとのこと!西宮市民の彼女は、日本熊森協会のことを知っておられました。彼女は、「お米の勉強会」を開催するなど、在来の種の保全活動をしておられるとか。種も、遺伝子組み換えや外国産の種が多く日本にはいってきて、在来の種が少なくなってとのことです。色々教えていただき、勉強になりました。ありがとうございます!

ブース会場の正面玄関に到着。私たちのブースまでの道中、19日のくまもりフォーラム発表会にて、インドのお話をしてくださったニックさんに出会いました。ニックさんは、インド政府の方と歩いておられ、紹介を受けました。インド政府もブース展示をしているとのことです。知らなかった~。

今日は、Tにとって最後のCOP10。T&Mは、19日に行えなかったくまもり紙芝居を上演することを決定。11時30分に、2名の子どもたちと数名の観客を前に上演!同時に、読売新聞の記者さんとカメラマンが来てくださり、取材をしてくださいました。

紙芝居後、Tは、東京へ旅立つ~。Tよ今まで、ありがとう!お元気で~

相棒がいなくなったMは、寂しいかったけど、COP10でたくさんの人に日本の森や野生動物の現状を知ってもらうために、そして日本熊森協会の活動を知っていただくため最後までブースに立つぞ!

気を取り戻し、今日も、世界の森林生態系の保全についての情報を仕入れるために、会議場に入る。国際林業研究センター(Center For International Forestry Research)が主催する、土地利用による森林の保全と開発に関するサイドイベントに出席。フランス・ネパール・ベトナム・日本・アフリカにおける、5名の講演者によるそれぞれ地域での森林環境の保全と開発についての状況のお話でした。ネパールやアフリカなどでは、大型野生動物のために(ネパールではトラと象)(アフリカでは象など)が住める環境を保全するために、隣国との協力で、国境を越えた国立公園や保護地区を制定し、守ると同時に、その地域に住む住民が貧困の影響で森林自然などの搾取を行い、環境破壊をしないように、住民を違法狩猟などから野生動物を守る監視員として雇ったり、森林環境に配慮した農業(アグロフォレストリー)を行うように推進したりと、野生動物と住民のことを考えた政策が行われている話を聞きき、日本にも野生動物と豊かな森を開発から守れる保護地区みたいな制度があればいいのにと思いました。日本については、森林総合研究所の方が講演を行われ、奄美大島や沖縄での、森林開発において、地元住民と弁護士が、国を相手に訴訟を起こしていることや、バブル経済期にスキー場やゴルフ場をつくって森林の開発が進んだことや、京都の嵐山での桜と松の植樹で、自然景観が戻った話などでした。講演後にインドネシア人の方が、日本の野生動物保全について質問したら。よく分からない返答でした。すべての講演後、そのインドネシア人の方の席に行き、日本の森と野生動物の現状を話したところ、「そうだったのか!日本は、特に野生動物の保護区などは設定していないのだね。」との返事、レッドリストにものっているツキノワグマがどんどん捕殺されている状況を伝えると、唖然とした表情でした。インドネシアも、トラが生息する地域は、保全のための地区を設けるなどの対策をしていると教えてくれました。彼は、WWFインドネシアの職員の方でした。COP10の開催国だからこそ、保護区制定など本格的に野生動物と豊かな水源の森を守っていってほしいと強く思いました。

くまもりブースに戻り、ボランティアの方々と共に、熊森の広報に務めていたところ、台湾でクマと住民が共生できるように、環境教育を行っている女性がブースに来てくださいました。彼女は、台湾では大学教授で、住民へのクマに関する環境教育を研究・実施をしているとのことでした。熊森協会の環境教育に興味を持っていただき、今後も相互に情報交換をしましょ!と名刺交換をしました。その後、アメリカ政府の環境政策に携わっている方が、ブースに来られました。日本の森と野生動物の話をしようとしたら、彼女は、「大丈夫、日本の森と野生動物のことは知っているわ!たくさんの人工林が、野生動物の棲息地を奪って、里に下りてくるのでしょう。」と、私が言おうとしたことをもうすでに知っていたので、びっくり!「その問題に取り組んでいるのね!いいことをしているわ。頑張って!応援するわ。」と応援エールをくださいました。昨日のカナダの森林政策担当官の方に続き、もしや結構、日本の人工林問題と野生動物については知られているのかな?と思いました。

今日も、ボランティアの方々に支えていただきながら、ブース展示を無事終わることができました!ボランティアの皆さん、お疲れ様でした。ありがとうございます。そして、クマのために、ドングリをブースに届けてくださった皆様、ありがとうございます。

COP10チームより
(Tは現場を離れましたが、Mから届いた原稿をアップするお勤めを果たします!よろしく!)

SOS!木の実ゼロの異常事態。人もクマも守るためにわたしたちができること

今年は、山に木の実ゼロの異常事態が発生しています。

そのため、クマたちが、食料を求めて人里に出てきては、捕殺されています。
これでは、クマが絶滅してしまいます!
クマは多くの地域で絶滅危惧種なのです。
日本の水源の森を造ってきた動物たちの命を守るために、わたしたちにできることがあります!

熊森は、クマ生息地の役場、猟友会、住民のみなさんの御協力を得て、クマたちが集落に入って来ないように、ただ今、集落の外にクマたちの食料をどんどん運んでいます。
これは餌付けではなく、今年のような山の実りの大凶作の異常年、クマを殺さずにクマ問題を解決するための緊急措置です

クマたちに食料を提供すると、人や作物が守れます

これ以上クマを殺したくない、クマ生息地の行政、住民のみなさん、クマたちへの食料運びに御協力ください。熊森からクマの食料を無料で送らせていただきます。
メールや電話で、至急ご連絡ください。非公開、極秘OK。秘密は守ります。(当会への連絡はこちらのページから。)

クマが里に下りてくる問題の最大原因は、今年2010年の大食糧難なのです。(参考記事:「2009年、2010年の兵庫県の山の実り比較」)

2004年、2006年も凶作年であったので、クマたちが里に下りてきて大量に捕殺されてしまいました。(環境省によるクマ捕殺数データPDF H16~18年末 H18年~H22年現在)。

クマたちが出てくるのは山の実りが無いことが根本原因です。決して悪さをするために来るのではありません。

大量のドングリを送ってください!

熊森は、クマたちが出てきている所に、大量のドングリやクリを運んでいます。
近隣地域の学校や公園のドングリを送ってください。

ドングリ引受先としてご協力下さっている方々のリストは以下です。
http://kumamori.org/news/blog/2010/10/19/about_animals/856/

当協会は、兵庫県本部をはじめ、各県でクマに食料を運んでいます。

求む、不要のクリ、リンゴ、カキ、ナシ

熊森は、クマがこれ以上殺されるのを止めるため、商品にならない廃棄処分用の果実を農協や業者の方々から買い取るための緊急予算を組みました。
安く売ってくださる方、または、交渉してそういうところを見つけてくださった方は、至急ご連絡下さい。
(当会への連絡はこちらのページから。)

クマが集落に出て来ないよう、クマの食料になりそうなものは全て片付けよという行政の指導は間違っています。これではクマは死んでしまいます。仕方なく、街中に出ていくことになります。そうなれば、クマも人もパニックを起こし、人身事故が続発するという最悪の結果をもたらします。

国も地方行政も、クマを殺すことしか考えていません。地元の人たちやクマたちがこの秋を無事に越せるよう、わたしたち国民がどんどん動き始めましょう。

10/21 くまもりは連日、クマが集落に出てこないように、食料を持って現地を走りまわっています

連日、全国各地でクマが人里に出てきては、大量捕殺されています。多くの国民は、テレビのニュースを見て、毎日毎日、胸を痛めています。人道上、生態系保全上、直ちに捕殺を止めなければなりません。祖先伝来の分かち合いの精神が、今年のような大凶作年には必要です。写真のくまもりボランティア部隊は、10月21日、総計550キロのドングリ、カキ、クリを2台の車に乗せて、クマが出てきているところへ運びました。

現地では、毎回、地元の人や猟友会の人たちが道案内をしてくれます。いくつかの町では、行政担当者も胸が痛くてたまらないといって、そっと協力してくれます。奥山は空っぽです。クマたちは昼間は、民家の裏にそっと潜んでいると思われます。クマが出てくると思われるところに50キロずつ食料を置いて回りました。森の動物たちへの食料提供「愛の宅急便」を、子供たちや一般国民の力で、全国に広げていきましょう。クマたちが殺しつくされてしまう前に。

学識経験者といわれる人の中には、「餌付けをしてはいけない」と、言う人もいます。しかし、生きられなくなっている動物に、まして絶滅しようとしている動物に食料を提供することは、決して餌付けなんかではありません。

10/16 付け A新聞報道「(クマは)うんと増えている」には、驚きました

A新聞10月16日付け1面下の有名なコラムに、—-今年は里での悪さが目立つ。—–として、最近のクマの人身事故例が2例挙げられていました。その後、「(クマは)うんと増えているというのが、定点観測の実感です」—-と言う有名な写真家Mの言葉を紹介して、絶滅寸前のクマを、クマがうんと増えていることにしていました。写真家Mの言葉をまにうけて信じている人がいたなんて、驚きました。

わたしたちは奥山の元クマの生息地を歩き続けています。はっきり言いましょう。今や、本来のクマ生息地にはクマがいず、奥山は空っぽになっています。山に食料がまったくないという大変な事態が起きているからです。かつて、人前になど姿を現すことはなかったクマたちが人間の所に出てくるようになったのは、よほどのことがあったからで、冬篭り前の食い込み用食料を必死で求めてでのことです。その証拠に、山の実りが良かった2009年には、クマはほとんど山から出てきませんでした。こんなことは、子供でも知っています。

クマは大変臆病な動物です。今、人の姿が消えた夕暮れに、そっと出てきて必死で食料を探し続け、人の姿が現れ始める早朝に、そっと姿を消しています。しかし、人に見つかってしまうと、恐怖のあまり人から逃げようとして前足で人をはたいて逃げます。これが人身事故と呼ばれるものです。もしクマが、ここまで臆病な動物でなかったら、かれらのえさではないので、人間に出会っても、知らん顔をしていることでしょう。

欧米では、クマが出てくると、みんな家の中に入って戸を閉め、クマを刺激しないようにして、クマが山に帰るのをそっと待つそうです。日本では、クマが見つかると、猟友会やマスコミ関係者が、みんなでクマ捕り物を開始。追い掛け回します。クマの心臓は、もう破裂しそうになっています。出会った人を片っ端から前足ではたいて逃げ道を作ろうとします。クマの人身事故は、クマという動物への対応間違いから、人間が引き起こしているのです。厚いガラスを突き破って建物の中に飛び込んでまで、人間から隠れようとしているクマの恐怖がなぜわからないのでしょうか。最後、みんなでクマを追い詰め、クマが行き場をなくして動くと、人に向かってきたので撃ち殺しましたというのが、日本の猟友会の決まったせりふです。クマという相手の立場に立って考えてみることを、お願いしたいです。そうすれば、こんなコラムは、絶対に書けないはずです。

写真家Mが、自動撮影カメラで、クマがうんといることを撮影したと言っているから事実じゃないかと言われるかもしれません。しかし、わたしたちは、自分の目で、クマが山にいないこと、クマの痕跡がまったく奥山にないことを確かめています。目視ほど確実なものはありません。

10/19  生物多様性COP10くまもりブース訪問記

生物多様性COP10に参加される海外のみなさんに、何とか日本の森や動物の危機を伝えたい。この一心で、くまもりは、15万円(!)という高い借り賃と、期間中、本部スタッフ2名まで出してCOP10 会場にブースを出しました。愛知県や岐阜県の会員にも応援を頼みました。

ブースを出してみて、びっくり。後に見える国際会議場とは、完全に場所も道路も分断されており、参加される海外のみなさんとは、会えないようになっていたのです。

これでは意味がない。しかし、マスメディアの方々や、近くの住民の方々が、次々と訪れてくださるようになり、くまもりブースはすぐに、自然保護を本気で語り合う熱い場になっていきました。訪れたこの日も、閑散としたブース展示場の中で、くまもりブースには(中央、緑の旗が上がっているところ)人々が集まり、熱気にあふれていました。

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