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2011-09

兵庫の森、動物、人を守るつどいin姫路 103人  (1)「山は林内が大荒廃 しており、動物が棲めなくて出てくる」 

メディアは、スギの人工林に言及して下さい

紀伊半島豪雨で崩れている山は、ほとんどが国の指導で戦後に植えられたスギの人工林であり、人災です。しかし、どこの新聞社の記事にも、人工林の「じ」の字も出てきません。メディアは、本当の事態を国民に伝えてください。動物を棲めなくして山から追い出した、外観は青々、林内は砂漠化した人工林は、災害に弱くて、人命や財産を奪います。スギを植えてはいけないところに植えた戦後の森林政策の失敗が、大災害を引き起こしているのです。メディアや林野庁の方たちは黙っていますが、地元はみんな知っています。
以下、ネットで得た毎日新聞記事より

<土砂ダム>奈良、和歌山で厳戒続く…排水路を設置へ

毎日新聞 9月16日(金)11時37分配信

<土砂ダム>奈良、和歌山で厳戒続く…排水路を設置へ
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土砂ダムが決壊する危険性があるため田辺市熊野地区へ通じる市道に鍵付きの門扉を設置する作業員ら=和歌山県田辺市で2011年9月16日午前9時55分、長谷川直亮撮影

奈良、和歌山両県では16日朝から一部で雨となり、台風12号による豪雨で両県内にできた土砂ダムは決壊の恐れが高まった。16日午後から17日にかけ て激しい雨が予想されている。近畿地方整備局は警戒を強めるとともに16日、和歌山県田辺市熊野(いや)と、奈良県五條市大塔町赤谷の土砂ダムで土砂の一 部を削って水を抜くための排水路を設ける緊急工事をすると発表した。この日午後から工事のために現場につながる道路を補修する作業に着手するが、いずれも 排水路完成まで数カ月かかる見通しという。

【写真で振り返る】台風12号 甚大な被害

近畿地方整備局によると、排水路はいずれも長さ500メートル、幅15メートルで、土砂をくりぬいて造り、内部を金属のネットと石で固めて崩れるのを防 ぐ。熊野の土砂ダムについては、ポンプ排水も同時進行で進める方針で、早ければ17日にも着手する。赤谷の土砂ダムでは大雨の時にポンプ排水も行う方針だ が、現場に重機やポンプを運ぶのに少なくとも3日間はかかるという。

関係自治体も警戒態勢を取った。田辺市はこの日朝、土砂ダムによる土砂災害の恐れがあり、避難指示が出ている熊野地区を封鎖するため、地区に通じる市道に、金属製門扉(幅4.5メートル、高さ1.4メートル)を設置した。

大阪管区気象台によると、奈良、和歌山両県では沖縄付近でほとんど停滞状態になっている台風15号の影響で南から湿った空気が入り、16日昼過ぎから雷 を伴った激しい雨が予想される。同日正午からの24時間雨量は、多いところで300ミリ~200ミリに達する見通し。紀伊半島では18日まで強い雨に警戒 が必要で、普段よりも少ない雨量で土砂崩れや土石流が起きる恐れがあることから、気象台は大雨警報を発令する基準を暫定的に引き下げて、警戒を呼びかけて いる。【堀江拓哉、熊谷豪、川口裕之】

9月11日 太郎と花子に、熊本産早生グリを与えてみると・・・

今日の「和歌山たろはなのお世話」は、大阪南地区が担当しました。
熊本産の大きな早生グリがお店に出ていましたので、早速購入して持って行きました。以下、この日持参した食料(真ん中の白いのは、おからです)

太郎の大好物はニンジン、花子はキュウリで、いつも真っ先に各自の大好物を心行くまで食べます。
その後、リンゴやモモなどの果物を一つづつあげ、途中、クリをあげて反応を見てみました。

・・太郎は他のものをそのままにして、栗にとびつき、ボリボリいい音を立てておいしそうに食べ始めました。
花子はなんと・・知らんぷりで、モモやトマト、ブドウなどを食べ続けています。
クマはドングリが好物ではなかったの?野生の味を忘れてしまったのかしらと心配になりました。

わたしたちが獣舎のお掃除などを終えて、クマたちを観察していると、2頭ともお腹が大きくなったのかゆったりとした動きになっています。
その時、驚いたことに、突然、花子がクリに手をのばしたのです。そうして本当に嬉しそうに、手で中身をほじくりながらゆっくりゆっくり味わうように食べ始めました。
まるで、一番の好物を最後に残して味わっている人間の子どもみたいでした。

プールにはきれいな水が満タンにたたえられ、クマたちが水遊びをして、ゆっくとりした時間が流れていきます。やさしいクマたちとふれあえた幸せな一日でした。
会員のみなさん、たろはなお世話に参加されませんか。本当に、心が癒されますよ。


お腹がいっぱいになると、もうこれ以上食べ物を入れないでと、おしりで食料投入口にふたをする太郎


きれいになったプールに、すぐには入らず、手で水をたたいて楽しむ花子

マスコミは、崩れた山の多くが人工林であることを報道すべき


土砂崩れで川がせき止められてできたダム湖=和歌山県田辺市熊野で2011年9月6日午前9時46分、本社ヘリから幾島健太郎撮影

土砂崩れによりふさがれた道路の復旧作業を行う自衛隊員ら=奈良県五條市で2011年9月6日午前8時39分、川平愛撮影

土砂崩れで通行できなくなった熊野古道=和歌山県田辺市内で、県教委提供

熊野古道が土砂にのみ込まれた崩落現場=和歌山県田辺市で2011年9月12日午前10時56分、小松雄介撮影
(以上の写真は、毎日新聞ネットより)

紀伊半島豪雨による山崩れなどの災害は、実態が分かって来るにしたがって、想像を超える大災害となっています。被災された方々、被災した動物達には、痛ましい限りです。奈良県の奥山、和歌山県の奥山、私たちは何度か調査に行っていますが、見渡す限りのスギの放置人工林で埋まっています。(奈良県平均人工林率63%)(和歌山県平均人工林率62%)

早く自然林に戻さないと、下草の生えない放置人工林内では雨のたびに表土が流出しており、大雨の時一気に崩れる。野生動物たちがすめないだけでなく、地元の人たちの命や財産が脅かされている。私たちは長年、地方行政や国に奥山の自然林復元を訴え続けてきましたが、行政も国も動いてくれませんでした。自然林でも、あまりの大雨には崩れることがありますが、人工林の崩れやすさはその比ではありません。マスコミは決して書きませんが、今回の災害は、自然災害ではなく人災なのです。

2年前の兵庫県佐用町の大洪水の時もそうでした。マスコミは、人工林の「じ」の字も書きませんでした。大手マスコミの責任者に電話をして、記者さんたちは現地に行かれるから、佐用町大災害の原因が分かっておられるのではないかと熊森が聞くと、いともあっさりと、「スギの人工林です」といわれました。「わかっておられるのなら、なぜ、書いてあげないのか」と、たずねると、「書けません」という答えでした。「多くの人命が失われたのですよ。2度と繰り返さないように、大災害が起こった原因をきちんと書いてあげてください。でないと、人々は気づかないのです」必死で訴えましたが、無駄でした。研究者、行政、マスコミ、みんなで大災害の原因を自然災害にして終わらせました。

今回も私たちは訴えます。「研究者、行政、マスコミは、大災害を引き起こした本当の原因を、きちんと発表して下さい。死者まで出ているのですよ」命よりも経済が大切という構図は、原発事故問題と全く同じですね。
今度こそ、奥山人工林を自然林に戻そうという声を、全国民であげましょう。

元来、野生鳥獣との共存に科学者など不要

わが国の森には、大きなクマから小さなバクテリアに至るまで、自然界に元々生息していた多種多様な生き物たちが、絶滅せずにたくさん生き残ってきました。この事実は、わたしたちの祖先がこれらの生き物たちに、深いやさしさや畏敬の念を持って接し、棲み分けによってかれらに生息地を保障していた結果です。

自然生態系が守れたのは、科学研究の成果なんかではないのです。この、だれにでもわかる当たり前の簡単なことを、今一度人々にかみしめてもらいたい。

しかるに、ふつう3年ごとに部署が変わっていく行政の人たちは、権威のある大学の先生や、裏でこのような研究者としばしばつながっているかしこい業者たちの、「わたしたちの科学研究と科学的データが行政に必要です。予算を付けてください」という甘い言葉に、すぐ、ひっかかってしまう傾向にあります。自然生態系は複雑すぎて、人間には永久にわからないことでいっぱい。元々数字やグラフで表すことなど不可能な世界なので、いったん研究者や業者に付けた研究費や事業費は、毎年毎年いつはてるともなく要求され続けます。

長年クマ保全に関わってみてわかったことは、こうした①次々と論文を書きたい研究者、②お金を儲けたい業者、③専門知識がないので肩書きのある専門家によっかかるしかないと思い込んでいる行政、④保身のためには権威者たちの顔色を見ながら物書きをするしかないと思っているジャーナリスト精神を失っている記者たち、かれらによって、本来守られるべきクマたちが、ぐちゃぐちゃにもてあそばれているという事実です。

クマたちがしゃべれたら、研究者や業者に、きっとこう叫ぶでしょう。「捕まえないで。解剖研究の対象にしないで。わたしたちに、もう今後一切手を触れないで!体に化学物質を注入するのはやめて!生息地の森を返してほしい。あとはそっとしておいて」子供たちは人間であっても心が澄んでいるから、きっとみんな動物たちの叫びがわかってくれることでしょう。

行政の出している膨大なワイルドマネジメント用の予算を、生息地復元に使えば、クマも、山から出てくる野生動物たちに悩んでいる地元の人々も、みんな幸せになれるのです。

①シカ一網打尽捕獲装置の開発成果を誇り、②シカ肉を食べる文化の普及啓発を行う 兵庫県森林動物研究センター一般公開日8月21日報告

兵庫県青垣町にある兵庫県森林動物研究センターは、設立計画時に、くまもり森山会長が、「センター名のどこかに、保護という言葉を入れてほしい」と強く申し入れましたが、当時の県担当者がこれを拒否し、「森林動物研究センター」という名にした所です。

このセンターは名前の通り、兵庫県立大学の研究者たちに、野生動物の捕獲や解剖など研究の場を提供する場所として、2007年4月に開所しました。、研究者数名と兵庫県庁職員である専門官数名が、126ヘクタールという広大な敷地(スギ人工林)の中の1.7ヘクタールを造成して、その中に造られた建物や設備を使っています。建設費5億円はもちろん、今でも年間維持費に7千万円以上の私たちの多くの税金が使われています。

以前、くまもり森山会長や兵庫県県会議員である和田副会長ら、くまもりスタッフ数名が見学に出かけたところ、玄関を入ったクマのはく製などが置いてある展示場所より奥は一切入ってはいけない、国会議員でも通せないとして、職員たちに通行を阻止され、疑惑が膨らんだものの仕方なく帰ってきたという話が語り草になっているセンターです。なんと、そのセンターが今回、一般県民に公開されるというのです。

以下、参加した会員より

8月21日、兵庫県青垣町の森林動物研究センターの一般公開日に、何人かのくまもり会員と参加して来ました。11時からセミナー①「堅果類の豊凶調査方法」があり、午後1時からはセミナー②「新型シカ捕獲装置人工知能ゲートによる捕獲方法」がありました。来場者数十名はほとんどが男性で、壮年~高齢の方々が多く、地元や近隣市町村からの農業者らしき人たちが多く集まっておられました。

(感想)

・公開内容は、人間の生活だけが大切で、それを守るためには野生動物を殺しても食べても良いとする考えに貫かれたもので、以下の2本立てになっていると感じました。

(1)野生動物駆除装置の売り込み(新型シカ捕獲装置人工知能ゲートは1台90万円)

(2)駆除したシカ肉の食文化作りと販売

今回の一般公開は、上の(1)(2)でもうけようとする民間業者のプレゼンテーション会のようなものでした。なぜ野生動物たちが人里に出て来ざるを得なくなったのか、どうしてやればいいのかなど、動物たちの立場に立って考えてやろうとする優しさは全くなく、不快感でいっぱいになりましたが、黙って見てきました。特に、セミナー②では、発表している研究者が、まるでゲーム機の説明でもしているかのように、時には笑いながら、「これなら、簡単便利に人手を掛けずともシカを大量捕獲が出来ますよ」と言っていました。この人たちには、たったひとつしかない野生動物たちの命を奪うんだという感覚は全くないんだとわかり、悲しいきもちになりました。農業者の方たちは、クマ、サル、シカ、イノシシたちに農作物を荒らされるようになったからでしょうが、彼らを敵視する雰囲気で会場が充満していました。しかし、農家らもまた、髙いシカ捕獲機械を買わされて、捕獲したシカ肉をペットフード業者らに買いたたかれる経路に組み込まれて利用されるだけになるのではないだろうかという疑問もわいてきました。想像の域を出てはおりませんが。

いくら最新性能シカ捕獲機械を導入したところで、山が荒廃して動物たちが住めなくなっているという根本問題を解決しない限り、人里に出てくる野生動物たちはなくならないでしょう。これぐらい、子供でも分かるのではないでしょうか。ここでの野生動物による農作物被害対策はあまりにも一方的でその場しのぎ。改めて、熊森協会の存在意義を大きく確認することとなりました。

(1枚目写真)やっと中を見れた。

(2枚目写真)クマの頭骨標本がずらり。研究者は頭骨を並べるのがお好き。わたしたちは生きたクマさんを見る方が楽しい。

(3枚目写真)兵庫県のクマの成獣27頭を解剖し、骨を調べたところ、骨盤奇形7%、骨過形成59%、骨粗鬆33%などの異常が見つかったそうです。このことについて以前は、この研究者は、近親交配による遺伝劣化が考えられるとしておられましたが、今回は原因不明として発表されていました。

(4枚目写真)シカ肉コロッケの製造販売。動物好きの人や肉食の弊害を知っている人は、絶対に買わないだろう。おいしかったら何を食べても良い、栄養があったら何を食べても良いというものではなかろう。

*

紀伊半島豪雨後の三重県大台町トラスト地   「池ノ谷」は今 

(地元からの報告1)
今回、大台町では、いつ止んでくれるのだろうかと思うほど、雨が続きました。家の近くの砂防ダムがずり落ちてきて(!)川をせき止め、洪水となって、道路は通行不能、大変なことになりました。今日、やっと応急処置で道路の通行が再開されたので、さっそく池ノ谷を見にいってきました。
①橋を渡ってトラスト地に入っていくと、トラスト地に隣接するワサビ田とアマゴの養殖場が、かろうじて残されていることがわかりました。(住民も無事でした。よかった)
②さらに上がっていくと、谷川沿いの道路が崩落しているのが見えてきました。
③結局、車は砂防ダムの所までしか入れませんでした。車で池の所まで行くのは、当分不可能でしょう。3億円で造られた砂防ダムですが、今回一気に埋まってしまっていました。
④池はスギの人工林から土砂が流入して、少し小さくなってましたが、豪雨だった割には、幸い影響は少ないようです。(本部より:池より上が自然林のままだからだと思います)人工林からの間伐材が流れ出して、池に溜まっていたのが気になりました。

尚、父ヶ谷はバス停より奥が通行止めで、現在もまだ見に行くことができません。行けるようになったら、見に行ってまた報告します。

(本部の考え)山が崩れるのも自然です。人命や財産に影響がない限り、崩れるところは崩して山を安定させたいと考えています。崩れないようにコンクリートで固めたり砂防ダムを造ったりする気はありません。そのような工事によって起きる弊害の方が大きいと考えるからです。



8月25日 本部若手リーダーたちが貝原前兵庫県知事(くまもり顧問)を訪問

夏休みの恒例となった、熊森若手リーダーたちの貝原前兵庫県知事訪問。

貝原さんが部屋に入ってこられた瞬間、いつものことながら、一同、その風格に圧倒されてしまいました。このすごい存在感はなんなのだろうと思いました。

お話の内容が世界にとんだり歴史に戻ったり、そのスケールの大きさに、わたしたちはついていくのにフラフラ。あっという間に夢のような90分間が過ぎてしまいました。もっともっと貝原さんと話していたい、貝原さんから学びたい。そんな懇談会でした。今回初めて参加した青年リーダーの一人は、「今日ほど自分が小さく見えたことはない。もっともっと勉強しなければならないと思った」と、感想を述べていました。各界の超一流の人物に会わせる。これが、熊森の青年リーダーの養成法です。

10/20~21 秋のトラスト地見学ツアー 岐阜県奥飛騨温泉郷のご案内 

参加者募集先着14名!

今回のくまもりトラスト地ツアーは、2006年に購入した岐阜県高山市奥飛騨温泉郷の焼岳の山麓に位置する中尾深谷のトラスト地(天然林82ヘクタール)の見学です。山は秋の実りの真っ最中。クマたちの生息地では、ゆったりとした時が流れています。ブナやミズナラの巨木にふれながら、案内者の説明を聞いてトラスト地のまわりを2時間かけてゆっくり歩いていただく予定です。奥山森林生態学の基礎が学べます!(熊森本部からスタッフ2名随行)


~「日本の屋根」北アルプスのふもとに残る、本当の森を体験しませんか~

2011年 秋 熊森トラスト地見学ツアーのご案内

日時:2011年10月20日(木)~21日(金)

行き先:岐阜県高山市奥飛騨温泉郷中尾深谷(天然林82ha)

集合場所:JR高山駅10月20日昼12:30 (電車または自家用車、どちらで来られてもいいです)

行程

10/20

①飛騨産業株式会社新工場訪問 くまもり岐阜県支部長である岡田社長から、お話をお聞きします。

②奥飛騨クマ牧場視察 クマ牧場の実態を見て頂きます。

③宿に到着後、勉強会、夕食、温泉入浴、懇親会

10/21  ①トラスト地を周りから調査

解散場所:JR高山駅10月20日昼12:30

応募締切:2011年10月13日(木)
定員:14名(先着順)
参加費用:15,000円 (宿泊費、

夕・朝食事付き。ただし、高山駅までの往復費用は各自でご負担下さい)
※ボランティア保険について…2011年度ボランティア保険に未加入の方は、保険代500円が必要となりますので、早めに日本熊森協会事務所までご連絡ください。
宿泊地:奥飛騨温泉郷 新穂高温泉「うちのペンション」 住所:奥飛騨温泉郷中尾283-1 電話:0578-89-2694
申込み方法:参加ご希望の方は、熊森本部事務所までお電話、FAX、メールにてお申込みください。(FAX、メールでお申込みの方は、お名前・電話番号・ご住所・会員番号・高山までの交通手段をご明記ください。


日本熊森協会 本部事務所

電話:0798-22-4190 FAX:0798-22-4196

論文書きに追われる研究者の実態

今日、本部事務所の近くにある関西学院大学で、環境科学会という学会が開かれました。この学会で発表された研究者が、帰りに熊森本部に寄ってくださいました。

学会で15分間発表(うち質問5分)するには6千円も出さねばならないそうです。研究者たちが全国から集まってきて、こんな髙いお金を出してまでなぜあちこちの学会をはしごしながら発表するかというと、その年に何回発表したか、何回論文を出したかによって、国からもらえる研究費が決まるからだそうです。中身よりも回数ということで、多く発表すればするほど、大学内の地位も上がり、大学のランクも上がるのだそうです。そのため、研究者は共同研究したような感じにして、自分がやっていない研究にまで、とにかくあちこちに名前を出そうとするのだそうです。日本では、研究費を出してくれるのは国か企業だけ。企業はもうかりそうなテーマにしかお金を出さない。そういうわけで、環境科学会なのに、経済にからめた発表でいっぱいだったそうです。

国策に反するような研究内容の論文を書いても、論文を提出したとカウントされるのかきくと、そういう論文は学会から突っ返されて受け付けてもらえないから、カウントされないんだそうです。こうやって、国は見事に研究者をコントロールしていくんでしょう。これが、日本の研究者、学会の実態なんですね。ちなみに、アメリカでは中立の財団があって、国策に反するような内容でも、研究費が付くということでした。日本はまだ、お上の国だったんだ。

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