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2012-05-12

5月11日 生き物たちが消えた奥山の林内 一体日本の山の中で何が起きているのか

くまもり調査研究部は、クマたち野生動物たちの生息環境が保たれているかどうかを調べるため、毎週兵庫の奥山に入り続けています。5月11日に調査した山は、かつてクマたちが棲んでいた豊かな森でした。今は、クマはもちろん、虫に至るまで、生き物たちの気配がほとんど感じられません。標高900メートルまで登ってみましたが、林内の様子に驚きました。

ほとんどのコナラ、ミズナラが枯れているか、今にも枯れそうに弱っていました。これでは、秋のドングリは、望めません。
冬ごもり明けのクマたちの大好物のひとつは、スズコ(チシマザサのタケノコ)です。しかし、ササが全部枯れているのです。
枯れたササを触ってみると、茎がぼろぼろと崩れていきます。酸性雨?シカ?

国は増え過ぎたシカが原因だと言っていますが、本当でしょうか。ディアラインのようなものが感じられなくもなかったのですが、シカ生息の痕跡もほとんどないのです。フンは少しはありましたが、それでもほとんど見られませんでした。シカの角とぎしたと思われる痕跡もありましたが、昔の古いものばかりでした。2週間の間、仕掛けていたビデオカメラに映っていたのは、夜間に現れた1頭のシカが2回だけでした。

シカの死体を3頭だけ発見しました。今年の大雪が原因でしょうか。

まさに沈黙の森の中で、カエルの卵と、ヘビを見つけました。生き物が少し残っていた…!

一体、日本の山に何が起きているのでしょうか。これでは、冬ごもり明けのクマたちが食べる物は何もありません。稚樹を探しまわりましたが、わずかにツツジらしき稚樹を何本か発見しただけでした。一体、山はどうなっていくのでしょうか。

やっと雪が消えたので、くまもりは今後も奥山を歩き続け、みなさんに奥山状況を報告し続けていきます。

小出裕章さんの反原発教室「優しく生きることと原子力」 於 青山学院大学

4月22日、青山学院大学の講堂1700席が埋まりました。(クレヨンハウス主催)

奥山保全・再生に取り組んでいるくまもりにとっても、今や放射能汚染問題は避けて通れない重大な問題です。素晴らしい内容ですので、ご紹介します。ご覧ください。

リンゴ農家悲鳴 ハチが消えた 今やハチはまぼろし


リンゴの花は、本当に清楚で美しいです。今年も、受粉の季節がやってきました。しかし、今、リンゴ園には異変が起きています。ミツバチが来ないのです。

兵庫県宍粟市にあるリンゴ園では、近年、すべての花に人手をかけて人工授粉をして回っています。ミツバチが来てくれると、まんべんなく全体に花粉が付いて完璧な形のリンゴがとれるそうです。人間が受粉すると、どうしても花粉の付きに偏りが出るということで、ミツバチが戻ってきてくれることを、心から願っておられました。

以下、リンゴ園の方の証言です。
「以前は、裏山に行くと、ハチの巣でいっぱいだった。ハチだけではなく、山の中はいろいろな虫、鳥、生き物たちの命があふれていた。今は、何もおらんよ。ハチなんてまぼろしだ。あんなにいた生き物たちが、山から消えてしまった。ツバメも見かけなくなった。なぜだかわたしたちにはわからない」

なぜハチが消えたか

最近、農薬のネオニコチノイドが原因だとする説が強力です。日本在来種蜜蜂の会も、ネオニコチノイド原因説です。この農薬が使われ出した時期と、ハチが消えた時期が一致しているそうです。フランスやイタリアでは、既に使用禁止になっています。日本も早く動いてほしいものです。

環境省 ナショナル・トラスト法作り、立ち消え

国民がお金を出し合って、守るべき自然を買い取り永久保全するナショナル・トラストは、自然を守るための有効な手段のひとつです。ところが、日本では、なかなかナショナル・トラスト活動が進みません。その理由の一つに、ナショナル・トラスト活動を支援するための法整備がないことがあげられます。

2年ほど前、環境省が、ナショナル・トラスト法作りに取り組み始めたことを知って、ナショナル・トラスト活動を大きく進めている当協会としては、大いに期待しました。先日届いた(社)日本ナショナル・トラスト協会の会報に、今年の全国大会に環境省大臣官房審議官小林正明氏が出席され、「ナショナル・トラスト活動を支援する法律も徐々にできて来ています」と挨拶されたと書かれていたのを読んで、いよいよだとうれしくなりました。

当協会が作成し、雑誌「ビッグイシュー1月1日号」で今年発表させていただいた「日本版ナショナル・トラスト法案」を持参して、意見交換会を持っていただこうと思い立ち、環境省担当部署である生物多様性施策推進室に電話をしました。部署替えによって、以前の熱心だった担当者はもうおられず、新しい方にかわられていました。

くまもり「いよいよナショナル・トラスト法の原案が形になってきたのですか」
環境省「生物多様性地域連携促進法(2011年10月1日施行)が施行されました」
くまもり「ええっ、その法律に、ナショナル・トラスト活動のことなど載っていましたか」
環境省「12条です」

注:12条 国は、生物の多様性の保全を目的として国民又は民間の団体が行う生物の多様性の保全上重要な土地の取得が促進されるよう、これらの者に対し、情報の提供、助言その他の必要な援助を行うものとする。     

くまもり「この一文だけですか。今までと何も変わっていませんが」
環境省「今、新たな法制定は考えておりません」
       
なぜかわかりませんが、私たちが知らない間に、日本版ナショナル・トラスト法を作ろうという話は、国の方で立ち消えになってしまったようです。 

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